働き方改革と選択的週休3日制の導入目的

2021/11/25|1,389文字

 

<骨太方針2021>

令和3(2021)年6月18日、「経済財政運営と改革の基本方針2021日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」(骨太方針2021)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。

この中で、選択的週休3日制について、育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図るとしています(23ページ(5)多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実)。

このことから、政府が選択的週休3日制を推進していくことは間違いありません。

 

<選択的週休3日制>

選択的週休3日制は、希望する従業員のみ週休3日制(週4日勤務)とすることができる制度です。

全社的に週休3日制とするものではありません。

また非正規社員は、元々勤務日数が少ない場合が多いので、基本的には正社員を対象としたものとなります。

 

<制度設計>

一口に選択的週休3日制と言っても、具体的には様々なタイプの制度が考えられます。

・対象者について、全員とする、特定の部署に限定する、上位役職者を対象外とするなど

・目的について、育児・介護・ボランティア・兼業などに限定する、限定しない

・期間について、期間限定とする、無期限に行う

・3日目の所定休日について、全員一律とする、会社が指定する、対象者の希望によるなど

・1日の所定労働時間について、8時間勤務とする、10時間勤務(週40時間)とするなど

・給与について、減額しない、8割程度に減額するなど

他にも、週単位・月単位で週休3日制を選択できるか、週休2日制に戻れるかなど、制度の導入にあたっては数多くのことを検討する必要があります。

 

<導入目的>

骨太方針2021でこの制度について述べられているのが、「(5)多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実」という項の中であることから、制度の導入目的が働き方改革の推進であることは明らかです。

つまり、選択的週休3日制を多様な働き方の実現ととらえており、ワーク・ライフバランスを意識するものであると考えられます。

この趣旨からすれば、労働時間が減少しても給与が減額されない制度が理に適っていることになります。

一方で、政府の思惑とは別にコロナ禍の影響もあって、人件費削減を目的として選択的週休3日制を導入する企業もあるでしょう。

この趣旨からすれば、給与が減額される代わりに、労働時間が減少する制度とすることになります。

 

<育児を理由に利用する場合>

育児を理由に週休3日制を希望する従業員の中には、子供を保育園に預けている人もいます。

親が週休3日制となると、保育に欠ける度合いが低減するため、子供を保育園に預ける場合の優先順位が下がり、預かってもらえなくなる可能性があります。

認可保育園では、この傾向が強いため念の為確認が必要でしょう。

 

<解決社労士の視点から>

選択的週休3日制を導入しても、希望者が少なければ所期の目的が果たされません。

反対に、希望者が多すぎても業務の正常な運営が困難となってしまう可能性があります。

制度の導入にあたっては、案の段階で、アンケートや聞取り調査を行い、従業員のニーズに合っているか、希望者が何人程度出るかを探っておいたほうが安全です。

 

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