2021/11/07|1,204文字
<リアル雑談>
オンラインではなく、直接顔を合わせて行う雑談を「リアル雑談」と呼ぶことにします。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、働き方改革の一環で、在宅勤務などのリモートワークが増えてきたため、リアル雑談が減ってしまいました。
オンライン雑談も可能なのですが、相手の様子が判らないので、簡単には声が掛けられません。
それでも、事実の伝達であればメールの方が確実で便利ですし、意思の伝達についても相手が内容を認識できますから、それほどの不自由は感じません。
<個別の雑談>
リアル雑談の利点は、何より相手の理解度や本心を探れることにあります。
たとえば「最近、〇〇の件については、××だと思うよ」と言ったのに対して、相手が「なるほど××ですね。気がつきませんでした」と答えたとします。
このときの、相手の顔色というかリアルな反応は、端末の画面では探りにくいものです。
返事があったのだから、おそらく内容を認識したとは思えるものの、どこまで理解したのか、本音で賛成しているのか反対しているのかは、リアル雑談のようには確信が持てません。
この話をさらに続けるべきか、やめるべきか、判断がつかないときには、ここで話を終了してしまいます。
リアル雑談であれば、相手の反応を見ながら説明を追加したり、話をふくらませたりもできます。
こうして理解と共感が深まり、これをベースとして新たな思考や発想も生まれてくるでしょう。
また、孤独感に苛まれて、メンタルヘルス不調に陥る人も出にくくなるわけです。
<雑談の集積>
特定の人とリアル雑談を繰り返すうちに、その人の興味の対象、思考の傾向、論理の流れなどを把握できるようになりますし、何をどう説明すれば理解してもらえるか、納得してもらえるかといったコツも分かってきます。
会議のメンバー間で、こうした関係が形成されれば、合意が得られやすくなりますし、結論の出ない会議のための会議は発生しにくくなります。
これはリアル雑談でも、必ずしも容易なことではないのですが、オンライン雑談では困難を極めます。
<人間関係の構築>
社内での信頼関係や人間関係は、業務の協力関係の中でも構築されますが、リアル雑談の効用も大きいと考えられます。
雑談をしないで業務だけで信頼関係を築くのは難しいものです。
営業マンは雑談力が重視されますし、会議の中にも雑談が持ち込まれるのは、雑談に大きな効果が認められているからでしょう。
また、信頼関係や人間関係を維持するには、コミュニケーションの継続と直近性が大事です。
「去る者は日々に疎し」という言葉が示すとおり、コミュニケーションを取ってから長い期間が経過してしまうと、人間関係が薄れる傾向にあります。
まれにオンライン雑談をする程度では、不安を感じる人も多いでしょう。
退職者の退職理由は、大半が人間関係であるとも言われます。
リアル雑談は、離職率の改善にも一役買っていることになります。