在宅勤務の勤務地

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2021/08/08|1,259文字

 

<自宅外勤務の発生>

会社が在宅勤務を命じたところ、社員の判断で自宅ではなく、友人宅、カフェ、ホテル、レンタルオフィスなどで業務を行っていたということがあります。

在宅勤務について、詳細な規程があれば、形式的にルール違反ということが多いでしょう。

しかし、大雑把なルールしか無いため、必ずしもルール違反とはいえず、迂闊に指導できないということもあります。

こうしたことでのトラブル発生を防ぐためのポイントを、検討したいと思います。

 

<在宅勤務の趣旨・目的>

在宅勤務を命じたのに、自宅で勤務しないからルール違反であり、指導や懲戒の対象となるというのは少し乱暴です。

やはり、在宅勤務を命じた趣旨・目的を軸に据えて考える必要があります。

まず、育児や介護との両立のために、本人からの希望もあって在宅勤務を命じた場合には、自宅よりも実家での勤務の方が現実的なこともあります。

自宅や実家以外での勤務であっても、配偶者の実家、兄弟の家、介護施設など、そこで業務をこなすことに合理性を見出しうる場合もあります。

つぎに、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、通勤や社内での密を避けるために在宅勤務を導入したのであれば、電車やバスで遠くに出かけて業務を行うのは趣旨に反します。

密になりやすい場所での勤務も同様です。

しかし、近所のホテルやレンタルオフィスであれば、多くの場合には、感染拡大防止の趣旨には反しないことが多いでしょう。

さらに、業務効率化の目的で在宅勤務が行われているのであれば、本人が業務に集中しやすい環境で勤務することが趣旨に適います。

たとえば、学生時代からカフェでの勉強が効率的であったという社員であれば、カフェでの勤務も趣旨に適うわけです。

 

<勤務場所の届出>

会社としては、社員がどこで業務を行っていようとも、きちんと業務が遂行されていれば基本的には問題ありません。

勤務場所は就業規則の必要記載事項でもないですし、労働条件通知書でも、雇入れ直後のものを記載すれば足りますし、将来の就業場所を含め網羅的に明示することも許されています。

しかし、勤務場所により情報漏洩のリスクが高まる、労災発生のリスクが高まる、容易に連絡がつかないなど就業管理が困難になるなどは困りものです。

これらを総合的に考えると、会社が社員に在宅勤務を指示した時点で、社員が自宅以外の場所を勤務場所としたいのであれば申し出てもらう必要がありますし、勤務場所を途中で変更する場合にも申告が必要です。

そして、その勤務場所が実質的な不都合をもたらすものであれば、会社から社員に対して、勤務場所の適正化を求めることができるようにしておくことも必要です。

これらのことから、在宅勤務を命じた場合に、社員が自宅とは異なる就業場所を希望するのであれば、会社への届出を義務付け、その就業場所が実質的な不都合をもたらすのであれば、会社は就業場所の変更を求めることができるルールとし、届出とは異なる場所での業務遂行や届出の懈怠に対しては、懲戒を規定しておくのが合理的だといえるでしょう。

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