2025/03/27|1,144文字
<アルコール依存症>
アルコール依存症とは、お酒の飲み方(飲む量、飲む間隔、飲む状況)を自分でコントロールできなくなった状態のことをいいます。
仕事、家庭、人間関係よりも、飲酒が優先となり治療が必要な状態です。
<コロナ禍でのアルコール依存症増加>
新型コロナウイルスの感染が拡大していた時期に、アルコール依存症が増加したと言われています。
生活の制限や働き方の急変によってストレスが増大し、アルコールに頼る気持が強くなってしまいました。
また、在宅時間が長くなったことから、自由にアルコール飲料を手にするチャンスも増えていました。
こうして、長時間にわたり多量に飲酒できる環境下で、アルコール依存症となるリスクが増大していたのです。
<飲酒の自由>
しかし、成人であれば、プライベートの時間に飲酒するのは基本的に本人の自由です。
体質にもよりますが、度を越した飲酒は、肝臓、膵臓、心臓、脳、血管、神経などに障害をもたらします。
これによって、生産性の低下や欠勤などが発生すれば、会社は具体的なダメージを受けますから、定期健康診断などの結果を踏まえ、対象者に健康指導を行う必要があります。
場合によっては、節酒や禁酒を求めることもあるわけです。
これは、アルコール依存症への対応ではなく、飲酒による健康障害への対応、あるいは予防策ということにもなります。
<アルコール依存症による職場の問題>
アルコール依存症となれば、内臓に大きな障害が発生していなくても、集中力・注意力の低下により、業務効率の低下、ミスの多発、労災やその危険の発生が見られるようになります。
生活習慣の乱れから、遅刻・早退・欠勤や年次有給休暇取得の急増もあるでしょう。
<治療に向けて>
飲酒はプライベートなこととはいえ、アルコール依存症の影響により発生した事実の中には、懲戒の対象となるものもあります。
会社は、これを軽視せず、就業規則に従って適正な懲戒を行う必要があります。
無断遅刻・無断欠勤、正当な理由の無い遅刻・早退・欠勤、不注意により会社に損害をもたらす、飲酒し酔った状態で勤務などは、発生しやすいものです。
懲戒を受けることによって、本人がアルコール依存症と正面から向き合うきっかけが生まれます。
またこれに先立ち、懲戒手続の中で本人に弁明の機会を与えることになりますから、ここで出てきた情報を元に、アルコール依存症の可能性を説明し受診を促すこともできます。
本人のことを考えれば、決して対応に遠慮があってはなりません。
<実務の視点から>
在宅勤務が長期化している場合には、上司や人事担当者との定期的なオンライン面談も必要です。
話し方やしぐさの変化から、ストレスの蓄積具合や生活習慣の乱れが感じられたなら、適切なフォローが必要となってきます。