医療費の全額負担と療養費での払い戻し

2022/11/30|712文字

 

<健康保険の現物給付>

健康保険では、保険医療機関の窓口に保険証を提示して診療を受ける現物給付が原則です。

現物給付というのは、お金ではなくて診察や治療行為が提供されていることを言います。

やむを得ない事情で現物給付を受けることができないときや、治療のために装具が必要になったときなどは、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費(被扶養者の場合は家族療養費)として、払い戻しを受けることができます。

保険証を提示して診療を受けると3割負担で済むというのが実感ですが、健康保険で7割は現物の診療が給付されたと考えます。

父親が母親の外出中に子供の発熱に気づき、あわてて病院に連れて行って保険証を忘れた場合、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで家族療養費を請求します。

腰痛のため医師が必要を認めてコルセットを使うことになった場合、コルセットを作り販売する業者に、直接には健康保険が適用されません。

この場合にも、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費として、払い戻しを受けることができます。

 

<払い戻される療養費の範囲>

療養費は、必ずしも支払った医療費の全額が払い戻されるわけではありません。

保険加入者(被保険者)や扶養家族(被扶養者)が、保険医療機関で保険診療を受けた場合を基準に計算した額(実際に支払った額が保険診療基準の額より少ないときは、実際に支払った額)から一部負担金相当額を差し引いた額が払い戻されます。

また、健康保険で認められない費用は除外されます。

さらに、コルセットの予備を作った場合や、耐用年数が過ぎる前に新調した場合など、全額自己負担になることもありますので注意しましょう。

 

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