平均賃金が使われる場合と使われない場合

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2019/11/21|1,118文字

 

<平均賃金>

平均賃金というのは、賃金の相場などという意味ではなく、労働基準法などで定められている手当や補償、減俸処分の制限額を算定するときなどの基準となる金額です。

原則として事由の発生した日の前日までの3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額です。〔労働基準法第12条〕

賃金の締日がある場合には、事由の発生した日の直前の締日までの3か月について、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金などの控除をする前の額(賃金総額)の合計額を算出します。これを3か月の暦上の日数で割って、銭(1円の100分の1)未満を切り捨てます。

例外として、賃金が日額や出来高給で決められ労働日数が少ない場合には、総額を労働日数で割った金額の6割に当たる額が高い場合にはその額を適用します(最低保障額)。

 

<平均賃金が使われるケース>

労働者を解雇する場合の解雇予告手当、使用者の都合により休業させる場合に支払う休業手当、年次有給休暇を取得した日について平均賃金で支払う場合の賃金、減給制裁の制限額などで使われます。

解雇予告手当は、所定労働日数や出勤予定日とは無関係に、平均賃金の原則として30日分を支払います。〔労働基準法第20条第1項〕

休業手当は、たとえば使用者の都合で金曜日から月曜日までの4日間休業する場合、元々土日が休日の労働者に対しては、金曜日と月曜日の2日分について、平均賃金の6割以上を支払うことになります。〔労働基準法第26条〕

年次有給休暇を取得した日について、平均賃金で支払うこともできます。〔労基法第39条第7項〕

減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならないとされています。〔労働基準法第91条〕

この他、労災保険の休業(補償)給付は、給付基礎日額の60%ですが、この給付基礎日額の実体は平均賃金です。

 

<平均賃金とは違う計算方法>

失業手当(雇用保険の基本手当)が支給される1日当たりの金額のことを「基本手当日額」と言います。

この「基本手当日額」を求める計算式は、「離職する直前の6か月間に支払われた賃金の合計金額を、180で割った金額(賃金日額)の、およそ80%~45%」になります。

期間が6か月であることと、ざっくり180日で割ることが、平均賃金とは異なっています。

また、健康保険の傷病手当金や出産手当金の計算には、「支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額」が使われます。

1日あたりの支給額は、これを30日で割って、3分の2倍した金額となります。

賃金の実額ではなく、標準報酬月額を基準とする点で、平均賃金とは考え方が異なっています。

 

解決社労士