週6日勤務のパート・アルバイト

2022/04/05|2,267文字

 

<休日>

労働基準法には、休日について次の規定があります。

 

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。

2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

つまり、日曜日から土曜日までの1週間で1日の休日を与えるか、4週間ごとに4日の休日を与えればよいということになります。

正社員、パート、アルバイトなどの区分にかかわらず、週6日勤務は違法ではありません。

 

<労働時間>

一方で、労働基準法には、労働時間について次の規定があります。

 

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

 

つまり、労働時間には上限があって、日曜日から土曜日までの1週間で40時間、1日について8時間が限界ということになります。

 

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

 

週6日勤務の場合でも、1日6時間の勤務であれば、週36時間の勤務になりますから適法です。

1日6時間40分であれば、6日間でちょうど40時間です。

また、週のうち5日は7時間勤務、1日は5時間勤務とすれば、週40時間の勤務になりますから、これも適法ということになります。

 

<特例事業場の例外>

事業場の規模が10人未満の、次の業種は、1週 44 時間、1日 8 時間となります。〔労働基準法第40条〕

この事業場を「特例事業場」といいます。

 

【特例事業場】

商業(卸小売業、理美容業など)

映画演劇業(映画の製作の事業を除く)

保健衛生業(診療所、歯科医院、社会福祉施設など)

接客娯楽業(旅館、飲食店など)

 

<職種による例外>

次の職種は、労働時間のほか、休憩、休日に関する労働基準法の規定は適用されません。

 

農業、畜産業、水産業従事者

管理監督者(イメージとしては取締役に近い仕事をしています)

機密の事務を取り扱う者(秘書など)

監視断続的労働、宿日直勤務を行う者で、労働基準監督署長の許可を受けた者

 

<三六(さぶろく)協定による例外>

労使の合意に基づく手続きによって、週40(44)時間を超える勤務を可能にしたり、例外的に週7日勤務する場合があるという取り決めをしたりすることができます。

労働基準法第36条第1項に規定があるので、三六協定と呼ばれます。

 

【労働基準法第36条第1項】

第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。

 

この法定の手続を取らずに残業させると、「違法残業」となります。

三六協定には最長でも1年間の有効期限があります。

期限切れの状態で残業が発生しても「違法残業」です。

もちろん、三六協定の上限を超える残業も違法です。

 

<年次有給休暇>

年次有給休暇の付与日数は、1週間の所定労働日数、1週間の所定労働時間、勤続年数によって決まります。

これを示す表には、週6日の欄が書かれていないこともありますが、週6日勤務の労働者には、週5日の欄が適用されます。

 

<就業規則にも注意>

パートやアルバイトに適用される就業規則に、「週5日までの勤務」という規定がある場合には、これによる制限を受けますから週6日勤務はできません。

会社として必要ならば、法定の手続を経て、就業規則を変更する必要があります。

 

<働き方改革との関係>

働き方改革の本質は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革に関する現在までの動向をもとに考えると、その本質は「働き手の不安を解消し満足度を高めるための多面的な施策により、質の高い労働力を確保するための変革」といえるでしょう。

それぞれの企業にとっては、「働き方の効率と社員の向上心を高めて、企業の利益を伸ばす改革」ともいえます。

中小企業であっても、従業員の希望を少し叶えて、会社の利益を伸ばす作戦であることを納得し、積極的に働き方改革に取り組まなければなりません。

 

会社からの強制で週6日勤務にすることは、働き方改革とは逆の方向に進むことになります。

しかし、労働者側の都合で週6日勤務を希望し、会社がこれを認める形ならば働き方改革の推進になります。

子育て中で朝遅めの出勤、夕方早めの退勤の方が、都合が良いという人もいます。

家が近くて出勤が苦にならないとか、満員電車を避けて通勤したいとか、1日の勤務時間が短いパート・アルバイトなので勤務日数を増やしたいとか、様々なニーズに応えるのは働き方改革の流れに沿ったものとなります。

 

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