時間外労働の上限規制についての労働基準法の解釈基準

2022/03/07|1,021文字

 

労働条件通知書、就業規則、三六協定

 

<労働基準局長の通達>

労働基準法の「時間外労働の上限規制」について、企業独自の解釈で運用している例が見られます。

しかし、平成30(2018)年12月28日、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あてに、働き方改革を推進するための関係法律整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について、指針となる通達が出されていますので、これに従って運用する必要があります。

主な内容は次のとおりです。

 

<時間外・休日労働協定(三六協定)の対象期間と有効期間>

「対象期間」とは、労働基準法第36条の規定により労働時間を延長し、または休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものであり、三六協定でその起算日(期間の初日)を定めることによって特定されます。

「有効期間」とは、その協定が効力をもつ期間をいうもので、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間になります。

なお、三六協定で1年間を超える有効期間を定めた場合の「対象期間」は、その「有効期間」の範囲内で、三六協定で定める「対象期間」の起算日(期間の初日)から1年ごとに区分した各期間となります。

 

<1日、1か月、1年以外の期間についての協定>

1日、1か月、1年以外の期間について延長時間を定めることもできますが、その期間について定めた延長時間を超えて労働させた場合には、労働基準法第32条に違反することになってしまいます。

 

<限度時間を超える協定の効力>

法定の限度時間、法定の延長時間の上限、法定の月数の上限を超えている三六協定は、全体として無効になります。

 

<対象期間の途中での破棄・再締結>

対象期間の途中で三六協定を破棄・再締結し、対象期間の起算日を当初の三六協定から変更することは、原則として認められません。

やむを得ず行う場合には、新旧両協定を遵守しなければなりません。

 

<限度時間を超えて労働させる必要がある場合>

「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは、全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期に、一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいいます。

そのうえで、具体的にどのような場合を協定するかについては、労使当事者が事業や業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要があります。

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