賞与支払届の提出もれが見つかったときの対応

2022/03/01|1,092文字

 

<社会保険の賞与支払届>

賞与についても、健康保険・厚生年金保険の毎月の保険料と同率の保険料を納付することになっています。

事業主が加入者(被保険者)や70歳以上被用者へ賞与を支給した場合には、支給日より5日以内に「被保険者賞与支払届」により支給額等を届出します。

「5日以内」というのは、賞与の支給日当日は含まず、翌日から数えて5日目までにということです。

この届出内容により標準賞与額が決定され、これにより賞与の保険料額が決定されるとともに、被保険者が受給する年金額の計算の基礎となるものです。

 

<70歳以上被用者>

70歳以上であって厚生年金保険の適用事業所に新たに使用される人、または加入者(被保険者)が70歳到達後も継続して使用される場合で、次の要件すべてに該当する人を指します。

 

【対象要件】

・70歳以上の人

・過去に厚生年金保険に加入していた人(被保険者期間を有する人)

・厚生年金保険法第27条に規定する適用事業所に使用される人であって、かつ、同法第12条各号に定める者に該当しない人

 

<提出もれが見つかるケース>

ある従業員が、自宅で少し古い「ねんきん定期便」を確認したところ、何年か前の賞与について「標準賞与額」の記載が抜けていたため会社に確認した。

これを受けて、会社が当時の「被保険者賞与支払届」を探したが見つからず、当時の賃金台帳等を調べたところ、他の従業員も含めて届の提出を忘れていたことが判明した。

こんな形で見つかります。

早く気づけば、すぐに年金事務所に書類を提出すれば良いのですが、賞与を支払ってから既に2年以上経過している場合には、時効期間の問題があります。

このような場合には、以下のような対処が必要となります。

 

<年金事務所への相談>

事業主から、自主的に届出もれがあったことを申し出る場合は、「事業主からの自主的な申出にかかる「申出者リスト」(賞与支払届提出もれ用)」を作成し、当時の賃金台帳等の写しを添付のうえ、事業所を管轄する年金事務所の窓口で相談します。

 

<お知らせ文書の送付>

事業主から提出された「申出者リスト」に基づき、届出もれとなっている当時の従業員に、その人の住所地を管轄する年金事務所より「お知らせ文書」が送付されます。

そこには、年金事務所の窓口で記録を確認するように書かれています。

また、質問がある場合や、窓口が開いている時間帯に年金事務所に行けない場合の連絡先も書かれています。

 

こうした手続では、事務処理の負担だけでなく、退職者にも連絡を取り説明するなどの心理的な負担も大きいものです。

社内での対応が難しければ、社会保険労務士にご用命ください。

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