フレックスタイム制の正しい運用

2021/11/18|739文字

 

<スタートは法定手続から>

フレックスタイム制は、労働基準法の規定によって認められています。

この規定に定められた手続を省略して、形ばかりフレックスタイム制を導入しても、すべては違法であり無効となります。

そのポイントは次のとおりです。

・業務開始時刻と業務終了時刻は労働者が決めることにして、これを就業規則などに定めます。

・一定の事項について、会社側と労働者側とで労使協定を交わし、協定書を保管します。これを労働基準監督署長に提出する必要はありません。

 

<無効だとどうなるか>

上記の法定手続をせずに、残業時間を8時間分貯めると1日休むことができるというようなインチキな運用をしても無効です。

無効ということは、フレックスタイム制が無いものとして賃金の計算をしなければなりません。

間違って、フレックスタイム制のルールで賃金を計算して支払ってしまった場合には、不足する差額分を追加で支払わなければなりません。

たとえば、法定労働時間を超える8時間の残業に対しては、10時間分の賃金支払が必要です。

( 8時間 × 1.25 = 10時間 )

しかも、消滅時効の関係で最大3年分遡って精算することになります。

 

<違法だとどうなるか>

正しい手続でフレックスタイム制を導入した場合を含め、次のような違法な運用が見られます。

・残業手当を支払わない。

・残業時間が発生する月は年次有給休暇を取得させない。

・残業時間を翌月の労働時間に繰り越す。

・業務開始時刻や業務終了時刻を上司など使用者が指定してしまう。

・コアタイムではない時間帯に会議を設定し参加を義務づける。

・18歳未満のアルバイトにフレックスタイム制を適用してしまう。

違法だと、労働基準法の罰則に触れるため罰せられることがあります。

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