労災保険が適用される通勤のスタートとゴール

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<法律の規定>

労災保険の適用される労働災害には、業務災害と通勤災害があります。

このうち、通勤災害は通勤途上の災害です。

通勤には典型的なものとして「住居と就業の場所との間の往復」があります。〔労働者災害補償保険法第7条第2項第1号〕

 

<出勤のスタート地点>

出勤のスタート地点は住居ですが、一軒家と集合住宅とでは、微妙にスタート地点が違います。

これは、一般の人が自由に通行できるところで起こった災害が、通勤災害の対象となることによるものです。

一軒家の場合には、外に出る門を身体の半分以上が通過したところがスタート地点です。

集合住宅の場合には、玄関のドアを身体の半分以上が通過したところがスタート地点です。

ただし、玄関ドアの外側は、誰でも自由に通行できることが前提となります。

セキュリティーの厳しいマンションなどでは、外部の人の自由な立ち入りを許さないドアが基準となります。

 

<出勤のゴール地点>

出勤のゴール地点は就業の場所ですが、勤務先企業の管理が敷地と建物全体に及ぶ場合と、その建物の一部にのみ及ぶ場合とでは、微妙にゴール地点が違います。

事業主の支配管理権の及んでいる事業場施設での災害は、業務災害の対象であり通勤災害の対象ではないからです。

業務災害で仕事を休んだ場合には、休業の最初の3日間について、事業主が平均賃金の60%以上の休業補償をします。〔労働基準法第76条第1項〕

通勤災害で仕事を休んだ場合には、この休業補償がありません。

また、労基署に労災保険の手続きで書類を提出するときに、業務災害と通勤災害とでは様式が違います。

勤務先企業の管理が敷地と建物全体に及ぶ場合には、身体の半分が敷地に入る直前がゴール地点となります。

勤務先企業の管理が店舗など建物の一部にのみ及ぶ場合には、その部分に身体の半分が入る直前がゴール地点となります。

 

こうした細かい区別を全従業員に周知しておくことは困難ですから、通勤中にケガをしたり事故に遭ったりした場合には、必ず会社に連絡するというルールにしておくのが現実的でしょう。

 

2019.07.24. 解決社労士 柳田 恵一