2022/05/16|886文字
<同居の親族のみを使用する事業>
同居の親族のみを使用する事業には、労基法(労働基準法)が適用されません。
同居は、同一の家屋に住んでいるだけではなく、実質的に生計を一にしているか否かで判断されます。
同居の親族ではない人を1人でも雇用すれば、労基法が適用されます。
しかもこの場合、同居の親族であっても、働き方の実態が同居の親族ではない人と同様であれば、労働者と解されることがあり、労基法が適用されます。
<家事使用人>
家事使用人には労基法が適用されません。
家事使用人であるかどうかは、従事する作業の種類・性質などを踏まえて、具体的にその人の働き方の実態により決定されます。
会社に雇われていても、その役職員の家庭で、その家族の指揮命令のもとで家事一般に従事している人は、家事使用人に当たります。
家政婦紹介所や家事サービス代行会社などに雇われて、各家庭をまわり家事を行う場合には、行った先の家庭の人の指示は受けないので、家事使用人には当たりません。
個人開業医の見習看護師、旅館の女性従業員、個人事業の見習・内弟子などが「家事に従事する」あるいは「事業を手伝う」などの場合は、「本来の業務は何か」によって判断されます。
<国外や外国企業の労働者>
商社・銀行等の国外支店・出張所などの労働者には、労基法が適用されません。労基法は行政取締法規であり、国内にある事業にのみ適用されます。
国外の作業場が事業としての実態を備えている場合にも、労基法は適用されません。
しかし、国外の作業場が独立した事業としての実態がなく、国内の業者の指揮下にある場合には、国外の事業も含めて労基法が適用されます。
ただし、現地にいて労基法違反を犯した者は処罰の対象とはならず、国内の使用者に責任がある場合にはその者が処罰の対象となります
海外出張者については、労基法が適用されます。
<外国人、外国人が経営する会社、外国籍の会社>
外国人であっても日本の国内の事業場で働く労働者であれば、労基法は全面的に適用されます。
外国人が経営する会社、外国籍の会社であっても日本国内に所在する事業場であれば労基法が適用されます。