欠勤控除の計算方法が不合理ではありませんか

2022/02/02|1,134文字

 

不可抗力だから休業手当の支払不要

 

<欠勤控除>

遅刻や早退を含め欠勤によって労働時間が減少した分だけ、給与を減らすことを欠勤控除と言います。

時間給であれば、労働時間分の賃金を計算しますから、欠勤控除は問題となりません。

主に月給制の場合に問題となります。

また、「完全月給制」のように欠勤控除をしない場合には問題となりません。

 

<法律の規定>

労働基準法その他の法令には、欠勤控除の計算方法についての規定がありません。

しかし一般に、労働者の労務の提供が無い場合には、使用者は賃金を支払う義務が無く、労働者も賃金を請求できないという「ノーワーク・ノーペイの原則」が認められています。

これは、労働契約が「働きますから賃金を支払ってください」「賃金を支払いますから働いてください」という労使の合意によって成立していることから当然に導かれます。〔労働契約法第6条〕

欠勤控除をすることは違法ではないのですが、計算方法について就業規則等に明記しておく必要はあります。〔労働基準法第89条第2号〕

 

<時間単価の計算>

欠勤控除を考える場合、まず時間単価を計算します。

1日の所定労働時間に、1か月の所定労働日数を掛けるなどして、1か月の所定労働時間を計算します。

月給を1か月の所定労働時間で割った金額が、時間単価となります。

所定労働日数や所定労働時間が決まっていなければ、こうした計算はできないことになります。

しかし、労働条件を書面で通知することは使用者の義務ですから、決まっていないのでは困ります。

 

<減額方式>

月給から欠勤時間分の賃金を控除する計算方法です。

これは欠勤控除の考え方を、そのまま計算方法に反映させているので、多くの会社で用いられています。

しかし、31日ある月など、その月の勤務シフト上の労働日数が所定労働日数を超える場合、1か月すべて欠勤すると給与がマイナスになるという不都合が生じます。

このとき、対象者からマイナス分の給与を支払ってもらったり、翌月の給与から天引きしている会社もあるようですが、全く勤務しない場合にゼロになるのはともかく、マイナスになるのは明らかに不合理でしょう。

 

<加算方式>

出勤した分の賃金を時間給で計算する方法です。

これなら給与がマイナスになることはありません。

しかし、28日しかない月など、その月の勤務シフト上の労働日数が所定労働日数を下回る場合、支給額が大幅に減ってしまいます。

減額方式よりも明らかに不利になります。

 

<併用方式>

たとえば、減額方式と加算方式の両方で計算して多い金額の方で給与を支給するなど、2つの方式を併用することによって欠点を解消することができます。

2通りの計算をしてから控除額を決定しますので手間はかかりますが、合理性が確保され従業員の納得も得やすいでしょう。

PAGE TOP