ソジハラ防止対策は進んでいますか

2021/12/22|1,422文字

 

パワハラの定義

 

<男女平等>

かつての男尊女卑は否定され、憲法は平等権を保障しています。

 

日本国憲法第14条第1項:平等権

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

これを受けて、労働基準法は男女同一賃金の原則を定めています。

 

労働基準法第4条:男女同一賃金の原則

使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 

さらに、男女雇用機会均等法は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図る」として、募集・採用における機会均等を保障し、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新について、性別による差別を禁止しています。

 

<LGBTQの保護>

しかし、上記の男女平等の考え方は、男性と女性を峻別し、両者の平等をいうものであって、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー等の性的マイノリティ(少数者)   の存在を十分に踏まえたものではありません。

そこで、性的マイノリティを保護する必要性について、社会的に認識されるようになってきました。

かつてはLGBTと言われていたのですが、これらに含まれない性的マイノリティの保護も必要であることから、LGBTに分類されないこうした人たちをQで表し、LGBTQと言うことが多くなってきました。

 

<SOGIによる差別の禁止>

ところが、性的マイノリティと性的マジョリティ(多数者)を分断して対応することにも、疑問が生じてしまいます。

全体の何%未満ならマイノリティなのか、そうした比率を把握できるのかという問題があります。

そこで、SOGIという言葉が使われるようになりました。

SOはセクシャルオリエンテーションの略で、恋愛の対象は、男女どちらか、両方か、いないかという性的指向を意味します。

GIはジェンダーアイデンティティーの略で、自分の心の中の性別は、男女どちらか、不明かという性自認を意味します。

SOGIによる差別の禁止は、性別や少数者・多数者という分断をせずに、すべての人が保護の対象となります。

 

<国の考え方>

令和3(2021)年2月には、性同一性障害特例法により男性から女性に変更した看護助手が、ソジハラで精神障害を発生したとされ労災認定を受けました。

ソジハラは、SOGIハラスメントの略で、性的指向・性自認に関するハラスメントです。

ソジハラの内容は、戸籍上も女性となったにも拘らず、職場で男性のような名前で呼ばれていたというものです。

これに先立ち、大企業では令和2(2020)年6月から義務化された職場におけるパワハラ防止措置の実施に伴い、「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)」が適用されています。

この中で、ソジハラがパワハラに該当すると明記されています。

 

<解決社労士の視点から>

押印廃止のように、政府の取組が民間に先行するものもあります。

ソジハラ対策もまた、これに含まれるでしょう。

社内で、SOGI、ソジハラについて周知できていない企業も多いのではないでしょうか。

思わぬことで、企業の責任が問われることにもなりかねません。

すべての企業で、SOGIハラスメント防止対策に取組んでいただきたいと思います。

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