2021年 7月 14日

2021/07/14|1,903文字

 

労働基準監督官の行動規範https://youtu.be/gmncel00ZWc

 

<労働基準監督署への申告>

労働基準監督署への申告については、労働基準法に次の規定があります。

 

【監督機関に対する申告】

第百四条 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

 

申告事案は、最低労働基準を定めた労働基準法などに違反するとして、労働者が労働基準監督署に救済を求めるものですから、労働基準監督署では、労働者が置かれた状況に配慮し、懇切・丁寧な対応に留意しつつ、迅速・的確に処理を行っています。

 

<令和2(2020)年の申告>

申告受理件数は3,965件で、前年と比べ159件(3.9%)減少しました。

直近10年間の申告受理件数の推移をみると、平成23(2011)年の6,460件をピークとして、その後減少が続いていましたが、平成29(2017)年に増加に転じ、平成30(2018)年も引き続き増加していたところ、平成31年(令和元年)以降再び減少に転じています。

申告を内容別にみると、賃金不払が 3,075 件(前年比 6.1%減)で最も多く、業種別では、接客娯楽業(22.3%)、商業(16.1%)、保健衛生業(11.8%)の順となっています。

次いで、解雇が 622 件(前年比 11.7%増)となっており、業種別では、同じく接客娯楽業(27.5%)、商業(15.4%)、保健衛生業(10.3%)の順となっています。

具体的な申告事例としては、次のようなものが公表されています。

 

<賃金不払>

退職した労働者から、退職月の賃金が一部支払われていないとの申告を受け、調査したところ、退職月の賃金額が約定した金額を下回る東京都最低賃金の金額まで減額されていたことが判明した。(その他の事業)

 

労働者が、会社側と感情的に対立したまま退職し、会社側が賃金の一部を支払わないということがあります。

しかし、賃金の全額を支払わないことは、労働基準法違反の犯罪となりますから、会社側がこうした手段に出ることは避けなければなりません。

 

<休業手当不払>

パート労働者から、会社から休業を命じられて休業しているにもかかわらず、休業手当が支給されないとの申告を受け、調査したところ、正社員以外には休業手当を支給していないことが判明した。(接客娯楽業)

 

労働基準法に規定されている労働者の権利には、正社員限定とされているものがありません。

非正規社員には、同一労働同一賃金についての認識も強まっていますので、不公平な格差は是正されなければなりません。

 

<割増賃金不払>

退職した労働者から、在職中の割増賃金が支払われていなかったとの申告を受け、調査したところ、1か月単位の変形労働時間制を採用していないにもかかわらず、1か月単位の変形労働時間制を採用したものとして時間外労働として計算していたことが判明した。(教育・研究業)

 

1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制など、変形労働時間制は法定の手続を踏み、それぞれの制度に特有の正しい賃金計算が必要です。

なんとなく、それらしき制度を運用し、誤った賃金計算を行えば、当然に労働基準法違反となってしまいます。

 

<解雇>

解雇された労働者から、即時解雇されたにもかかわらず、解雇予告手当が支払われていないとの申告を受け、調査したところ、解雇予告手当の支払いを行わないまま即時解雇したことが判明した。(接客娯楽業)

 

解雇予告手当の支払が不要なのは、労働基準法に示された例外に該当する場合だけです。

会社側の裁量で支払わないことは許されません。

即時解雇であれば、特殊なケースを除き、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当の支払が必要となります。

 

<労働時間>

労働者から、違法な時間外労働を行っているとの申告を受け、調査したところ、36協定の上限時間を超えて、月100時間を超える時間外労働、または2か月平均で80時間を超える時間外労働を行わせていたことが判明した。(その他の事業)

 

36協定違反や労働基準法の上限を超える時間外労働は違法です。

こうしたことが発生する恐れがある場合には、緊急避難的に会社全体の業務量を削減する必要があるかもしれません。

また、採用の強化や定着率の向上も大事です。

 

<解決社労士の視点から>

そもそも業界の常識が、労働基準法違反ということも多々あります。

常識を疑い、法令などの情報源に遡って確認することが、経営者に求められています。

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