採用面接で聞いてはいけないこと

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<滋賀県の取組み>

平成30(2018)628日、滋賀県は「県政eしんぶん」で「高校生の就職試験での不適正質問について」を公表しました。

不適正質問をした企業等は全体の3.6%にあたります。また、不適正質問の件数は33件だったそうです。

県、県教育委員会、滋賀労働局の連名で、公正な採用選考の実施に向けての要請を、引き続き企業等に行っていきます。

公共職業安定所(ハローワーク)は、企業等に対して冊子「採用にあたって」(滋賀県商工観光労働部労働雇用政策課)を配布し、基本的人権を尊重した公正な採用選考を求めています。今後も、面接選考の前に十分な打ち合わせを実施すること、あらかじめ面接評価基準を設定することなどの指導を行っていきます。

さらに、不適正質問をした企業等に対しては、滋賀県進路保障推進協議会とともに訪問するなど、改善に向けた指導をしていきます。

 

<労働局の指導>

面接担当官が、採用面接で聞いてはいけないことを聞いてしまい、応募者が労働基準監督署に相談した結果、その会社に労働局の指導が入るということがあります。

これは滋賀県に限らず、全国の労働基準監督署が窓口となっています。

労働局は、その都道府県の労働基準監督署の上位に位置しますから、軽く考えてはいけません。

 

<聞いてはいけない本人に責任のない事柄>

・あなたの本籍はどこですか。

・あなたの家族の職業を言ってください。

・兄弟(姉妹)は何人ですか。

・あなたの自宅付近の略図を書いてください。

・○○町の××はどのへんですか。

企業としては、応募者の家族の状況を聞きたいところです。しかしこれは、応募者の適性・能力にかかわりのない事柄を採否の判断基準に持ち込むことになり、個人の人権を尊重しない考え方です。

現住所の環境についていろいろと聞くことは、身元調査に利用する目的ではないかと考えられても弁明の余地はありません。

 

<聞いてはいけない個人の自由であるべき事項>

・あなたの信条としている言葉は。

・あなたはどんな本を愛読していますか。

・家の宗教は何ですか。

・尊敬する人物を言ってください。

思想・信条や宗教、支持する政党、人生観などは、信教の自由、思想・信条の自由など、日本国憲法で保障されている個人の自由権に属する事柄です。これらのことを記述させ、また聞いたりして採用選考の場に持ち込むことは、応募者の基本的人権を侵すことになります。

 

<企業の採用の自由とその制限>

企業にも職業選択の自由と経済活動の自由、そして契約締結の自由が保障されています。これらが結びついて、企業には採用の自由が認められています。

したがって企業は、労働者の採用基準や採用条件について、原則として自由に決定することができます。

しかし、企業の採用の自由には、法律などによって一定の制限が課せられる場合があります。その代表的なものは以下のとおりです。

・募集採用での性別による差別の禁止〔男女雇用機会均等法5条〕

・労働者の身長、体重、体力を要件とすることの禁止

・転居を伴う転勤ができることを要件とすることの禁止〔男女雇用機会均等法7条〕

・年齢制限の禁止〔雇用対策法10条〕

・障害者差別の禁止〔改正障害者雇用促進法34条〕(平成284月施行)

 

<公正な採用選考の取組み>

企業が、学生・求職者らの応募者に対して、どのような採用手続で選考をするかについて法的な規制はありませんが、応募者である学生・求職者の基本的人権は尊重しなければなりません。

そこで、応募者の就職の機会均等が確保されるよう、公正な募集・採用選考が行われることが求められています。

つまり、本人が職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうかを採用基準とし、これと無関係な事項を採用基準としないことが必要です。

具体的には、本籍地や家族の職業など本人に責任のない事項や、宗教や支持政党などの個人の自由であるべき事項など、本人が職務を遂行できるかどうかに関係のない事項を採用基準とすることは許されません。

また、それらの事項を応募用紙や面接などによって把握することも、就職差別につながるおそれがあるため許されません。

 

<「面接シート」を使った採用面接の実施>

面接担当官が採用面接をするにあたっては、あらかじめ「面接シート」を準備しておくことをお勧めします。

「面接シート」には、面接で確認することをすべて網羅して記載しておき、応募者の回答も記入できるようにしておきます。

これを使いながら面接を進めることによって、聞き漏らしを防ぐことができ、効率よく進行することができますし、うっかり余計なことを聞いてしまうことも防げます。

裏面に面接担当官の評価やコメントを記入できるようにしておけば、記憶が新鮮なうちに情報をまとめることができます。

 

2018.07.10.解決社労士