短時間労働者の就業規則の意見書

2022/02/23|1,236文字

 

就業規則を作るなら

 

<就業規則の作成・届出義務>

就業規則の作成と届出については、労働基準法に次の規定があります。

 

【就業規則の作成及び届出の義務】

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。(以下略)

 

全体で常時10人以上の労働者を使用するようになれば、就業規則の作成・届出義務が発生します。

これは遅くとも、従業員が10人になったら、就業規則が無いとあれこれ不都合が発生するので、労働基準法が警告を発しているのだと思います。

パートやアルバイトなど非正規社員が1人であっても、全体で10人以上であれば、その1人に適用するための就業規則が必要となり、作成・届出義務が発生します。

もし作成しなければ、その非正規社員には正社員の就業規則が適用されることになってしまいます。

 

<意見書の添付>

就業規則の作成や変更を労働基準監督署長に届け出るには、「意見書」の添付が必要です。

これについては、労働基準法に次の規定があります。

 

【意見書の添付】

第九十条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

2 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

 

労働者の過半数で組織する労働組合が無い場合の、「労働者の過半数を代表する者」は、正社員の就業規則の手続きに使用する意見書であっても、非正規社員を含めた「労働者全体の過半数を代表する者」であることが必要です。

 

<短時間労働者の就業規則の意見書>

一方で、パート有期労働法(正式名称:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)は、パートやアルバイトなど短時間労働者の就業規則の作成・変更について、次の規定を置いています。

 

【就業規則の作成の手続】

第七条 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。

 

この規定にある「短時間労働者の過半数を代表すると認められるもの」というのは、労働基準法90条にならって、「当該事業場に、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、短時間労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては短時間労働者の過半数を代表する者」を指すものと考えられます。

また、意見聴取が努力義務とされている以上、短時間労働者の就業規則の作成・変更の届出に、短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの「意見書」を添付する必要は無いことになります。

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