就業規則に規定されていない退職金の支給

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<モデル就業規則では>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)は、次のように規定しています。

 

【退職金の支給】

第52条 勤続  年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続  年未満の者には退職金を支給しない。また、第63条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。

2 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。

 

退職金制度は必ず設けなければならないものではありませんが、設けたときは、適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、額の計算及び支払の方法、支払の時期などを就業規則に記載しなければなりません。

これを怠ると、労働基準法違反になります。

 

<慣行がある場合>

会社に就業規則が無い場合や、就業規則はあっても退職金についての規定が無い場合でも、一定の基準で計算された退職金が現に支給されているのであれば、退職者には退職金を受給する権利があるものと考えられます。

ただし、基準が不明確で、経営者に支給の有無や金額の判断が一任されているような場合には、退職者の方から会社に退職金の支払いを求めるのは困難です。あくまでも恩恵的なものであって、退職金の制度があるわけではないという説明ができるからです。

 

<会社の意向で特別に支給する場合>

もっとも、就業規則の規定や過去の例が無ければ退職金を支払えないわけではありません。

長年にわたり会社に多大な貢献をした人に特別に退職金を支給したり、事業縮小に伴い希望退職者を募る時に退職金の支給を条件としたりということがあります。

また、就業規則が規定する金額を上回る退職金が支給される場合もあります。

これらの特別扱いをする場合には、なぜ特別扱いをするのか、その具体的な理由を社内に明示するとともに、これらが前例となるわけではないことを、明確に説明しておく必要があります。これを怠ると、慣例があるものと勘違いしたその後の退職者から、退職金の支払いを求められてトラブルとなる可能性があるからです。

 

2018.11.06.解決社労士