賃金についての法的な規制

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<金額についての規制>

使用者が支払わなければならない賃金の最低額が、時間単価で定められています。〔最低賃金法〕

これは原則として都道府県単位で定められていて、政府は全国平均が1,000円以上となるように引き上げる方針です。

最低賃金は、毎年のように改定されています。改定されれば、改定日当日に勤務した分の賃金から適用されます。

外国人であっても、日本国内で働いている労働者は、ごく一部の例外を除き、この最低賃金を守ることが必要です。

たとえ労働者が同意しても、基準より低い賃金は認められません。

法律によって、使用者は最低基準額で計算した賃金支払義務を負うことになります。

最低賃金法違反で書類送検された使用者のニュースは、ときどき報道されていますので、現に最低賃金に満たない賃金が支払われることもあるわけです。

 

<減給の制限>

労働者が、無断欠勤や遅刻を繰り返して職場の秩序を乱したり、職場の備品を勝手に私用で持ち出したりするなどの規律違反をしたことを理由に、制裁として、賃金の一部を減額することを減給といいます。懲戒処分の一つです。

1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。

平均賃金は、世間相場とは関係なく、対象者の過去の賃金を基準として法令に従って計算されます。

また、複数回規律違反をしても、減給の総額が一賃金支払期における金額(月給なら月給の金額)の10分の1が限度です。〔労働基準法第91条〕

なお「罰金」というのは、死刑や懲役と同様に、国家権力以外が科すことはできませんから、会社の中で設定することはできません。

 

<支払い方法の規制>

労働者を保護するため、賃金の全額が確実に労働者に渡るように、支払い方法には、次の4つの原則が定められています。〔労働基準法第24条〕

 

<通貨払いの原則>

賃金は現金で支払わなければならず、会社の商品などの現物ではいけません。

ただし、労働組合のある会社で、労働協約により定めた場合には、通貨ではなく現物支給をすることができます。

また、労働者の同意を得た場合には、銀行振込み等の方法によることができます。労働者から振込口座の指定があれば、銀行振り込みの同意があったものと考えられます。

 

<直接払いの原則>

賃金は労働者本人に払わなければなりません。

未成年者だからといって、親などに代わりに支払うことはできません。

 

<全額払いの原則>

賃金は全額支払われなければなりません。

「積立金」などの名目で、強制的に賃金の一部を天引きして支払うことは禁止されています。

ただし、所得税や社会保険料など、法令で定められているものの控除は認められています。

これ以外は、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者と労使協定を結んでいる場合に限り認められます。

また、年次有給休暇を取得すると賃金が減少する、残業代の一部がカットされる、残業代に上限が設けられるなども、全額払いの原則に違反します。

 

<毎月1回以上定期払いの原則>

賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。

したがって「今月分は来月に2か月分まとめて払うから待ってくれ」ということは認められません。

また、支払日を「毎月20日~25日の間」や「毎月第4金曜日」など変動する期日とすることも認められません。

ただし、臨時の賃金や賞与(ボーナス)は例外です。

 

2019.05.31. 解決社労士 柳田 恵一