転勤の記事

<転勤命令の根拠の確認>

会社が労働者に転勤を命ずることができる根拠は、「業務の都合により転勤を命ずることがある」のような就業規則の規定です。

こうした規定は、就業規則のひな形には入っていないこともありますから、漏れていることも多いのです。

会社に転勤命令権が無かったら、必要な配置転換ができないのだから、規定が無ければ転勤命令が自由にできないというのは、「常識」で考えておかしいと考える経営者もいらっしゃるでしょう。しかし、裁判などでは規定の存在が重視されます。

配置転換の多くは、同一事業場内での担当業務等の異動ですが、転勤は勤務地の変更を伴う所属部門の異動ですから、労働者の不安と負担が大きく、必ずしも会社の自由ではないのです。

常用労働者が10人未満の事業場では、就業規則が無くても違法ではありません。10人以上になったタイミングで、会社の営業拠点が1か所であれば転勤も想定していませんから、転勤の規定が無くても、何も問題は無かったはずです。ところが、会社の規模が拡大し営業所ができたりすると、転勤の規定が必要になるのですが、気がつかなければそのままになっています。

結局、どこにも規定が見当たらない場合には、転勤命令の根拠が無いかもしれません。

 

<転勤命令が無効になる場合>

労働契約法には、転勤命令権の濫用による転勤命令の無効を定めた規定はありません。しかし、出向、懲戒、解雇についての規定に示された基準は、裁判の積み重ねによってできた基準です。ですから、実際の裁判では、同様の基準で転勤命令が権利の濫用として無効になる場合が判断されています。

たとえば、業務上の必要性を欠く場合、労働者に通常我慢すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合、不当な動機や目的がある場合には、権利の濫用として転勤命令が無効とされています。〔最高裁昭和61714日東亜ペイント事件判決〕

 

<説明しにくい転勤の理由>

今の担当業務では成果が出ていない、同僚との関係もうまく行っていないという場合には、会社が能力の発揮を期待して転勤させることもあります。しかし、こうした場合に転勤させると、本人にしてみれば能力不足や協調性不足を疑われているのではないかと、落ち込んでしまう可能性もあります。やはり、ストレートに転勤の理由を説明すべきでしょう。

元の職場でケンカしてしまった、セクハラやパワハラをしてしまったという理由での転勤の場合、これが公になっているのであれば、本人への説明は簡単でしょう。

しかし、これが確信の持てるものではなく、疑いに留まっているのであれば、転勤した後に、そうした疑いがかからなくなるのであれば、疑いが晴れることになります。反対に、転勤先でも同じ問題が起こるのであれば、転勤前の職場でも問題があった可能性が高いといえます。

この話をして、転勤対象者に転勤を打診すれば、拒否する可能性は低くなるでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

転勤の前後で悩みを抱えてしまった場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.09.解決社労士

<転勤命令の根拠>

会社が労働者に転勤を命ずることができる根拠は、「業務の都合により転勤を命ずることがある」のような就業規則の規定です。

こうした規定は、就業規則のひな形には入っていないこともありますから、漏れていることも多いのです。

会社に転勤命令権が無かったら、必要な配置転換ができないのだから、規定が無ければ転勤命令が自由にできないというのは、「常識」で考えておかしいと考える経営者もいらっしゃるでしょう。しかし、裁判などでは規定の存在が重視されます。

配置転換の多くは、同一事業場内での担当業務等の異動ですが、転勤は勤務地の変更を伴う所属部門の異動ですから、労働者の不安と負担が大きく、必ずしも会社の自由ではないのです。

常用労働者が10人未満の事業場では、就業規則が無くても違法ではありません。この場合には、雇用契約書や労働条件通知書に転勤命令の規定があれば、それを根拠に転勤命令が行われます。

しかし、どこにも規定が見当たらない場合には、転勤命令の根拠が無いかもしれません。

 

<転勤命令が無効になる場合>

労働契約法には、転勤命令権の濫用による転勤命令の無効を定めた規定はありません。しかし、出向、懲戒、解雇についての規定に示された基準は、裁判の積み重ねによってできた基準です。ですから、実際の裁判では、同様の基準で転勤命令が権利の濫用として無効になる場合が判断されています。

たとえば、業務上の必要性を欠く場合、労働者に通常我慢すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合、不当な動機や目的がある場合には、権利の濫用として転勤命令が無効とされています。〔最高裁昭和61年7月14日東亜ペイント事件判決〕

 

<転勤命令を拒否したら>

転勤命令を無効だと考えて、これを拒否し、元の職場で勤務を続けたら、明らかな業務命令違反です。会社の就業規則に具体的な懲戒規定があって、これが適用されれば、場合によっては懲戒解雇となることもあり得ます。

このような場合には、「転勤命令に異議をとどめて」転勤先で勤務を開始するということが可能です。つまり、転勤命令は無効だと考え争う姿勢を示しつつ、業務命令違反にならないよう、転勤先で働くというやり方です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「転勤命令に異議をとどめて」転勤先で勤務を開始した場合であっても、その勤務が長く続けば、支障なく転勤に応じることができているという実績ができてしまうだけです。

本気で転勤命令を不当と考え拒否したいのなら、転勤を打診された時点で、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.07.解決社労士

<会社が転勤を命ずる権利>

会社の就業規則には、人事異動について、次のような規定が置かれます。

「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。

…労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。」〔厚生労働省のモデル就業規則8条〕

たとえこのような規定が無くても、会社と社員との間で転勤を想定した労働契約が成立していれば、会社が労働契約に基づいて社員の働く職種や場所を決定できるとされています。

一般的に、会社は正社員に対して、人事権の一つとして配転命令権を持っています。

ただし、近頃増えている「多様な正社員」のうちの勤務地限定正社員のような労働契約が成立している場合には、その契約の性質上、会社は遠方への転勤を命ずる権利を持っていないことになります。

 

<権利の濫用となる場合>

会社に配転命令権がある場合でも、次のような事情がある場合には、権利の濫用となり配転命令が無効となります。ほとんど嫌がらせと思われる場合です。

・業務上の必要が無い場合

・配転命令が不当な動機や目的によるものである場合

・社員の不利益が通常の程度を著しく超える場合

 

<会社が権利の濫用を主張されたら>

「会社には配転命令権があり、社員には従う義務がある」という態度を取り続けたのでは、まさに権利の濫用になってしまいます。

会社の取るべき態度について、参考になる条文としては育児介護休業法26条があります。

「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」という規定です。

これは、育児介護休業についてのものですが、その趣旨は、すべての配転命令権に共通する原理です。

つまり、配置転換や転勤について、社員が難色を示した場合には、会社側が具体的な事情を聴き、抱えている問題の解消法を共に考え、どのように対応すべきかを真剣に協議しなければならないということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて、社員の我がままとして片付けて良いのか、権利の濫用として転勤命令が無効となるのか、判断に迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.04.解決社労士