最低賃金の記事

<最低賃金法の罰則>

最低賃金法に示された都道府県別の最低賃金を、単なる指針や目安であると勘違いしている事業主の方もいらっしゃいます。

しかし違反に対しては、罰金や懲役刑といった罰則が規定されています。〔最低賃金法39条、40条、41条〕

そして、実際に適用されることなど無いようにも思われがちですが、書類送検の事例は労働局のホームページなどに公開されています。

 

<居酒屋経営者を逮捕・送検>

新宿労働基準監督署は、平成27年3月2日、居酒屋経営者を最低賃金法違反の疑いで逮捕し、平成27年3月3日、東京地方検察庁にこの経営者を身柄と共に送検し、居酒屋を経営する法人も書類送検しました。

ここで分かることは、労働基準監督署によって、本当に逮捕・送検されてしまうということだけではありません。

罰則は、経営者と法人の両方に適用されるのです。〔最低賃金法42条〕

 

<逮捕・送検の理由>

ある労働者の平成25年6月分の賃金が、東京都の最低賃金を下回っていたのが理由です。

たった1人でも、1か月でも、最低賃金を下回れば違法です。

これだけなら、素直に不足分の賃金を支払って、「今後は最低賃金法を順守します」と約束すれば良かったのです。

ところがもっとひどい事情がありました。

実は、平成23年1月1日から平成25年8月16日までの間に、この会社の元労働者から、勤務した最後の月の給料が支払われないという申告が4件ありました。

新宿労基署では、この申告を受け、会社に対して賃金を支払うよう行政指導を行いました。ところが、会社はその行政指導に従わなかったのです。

そこで新宿労基署は、この会社の社長に対して出頭を要求します。ところが、この社長は再三の出頭要求に応じず、証拠隠滅のおそれもあったことなどから、逮捕のうえ、送検に踏み切ったのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そもそも、賃金は後払いが基本です。〔民法624条〕

「退職者に給料を支払う必要は無い」と勘違いし、退職後に支払われるはずの給料を支払わない社長もいます。今回ご紹介した事例の社長もそうです。「昔からこれでやっていて問題は無かった」と考えていたかも知れません。

労働法違反によって、会社や経営者がどのような不利益をこうむるのか、今まじめに働いている社員に対する影響はどうなのか、少しでも疑問を感じたら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.02.27.解決社労士

<最低賃金の発効日>

たとえば東京都の最低賃金時間額は、平成28年10月1日をもって、907円から932円に引き上げられました。この日が発効日ですから、この日に勤務した分から932円を下回る時間給は違法になってしまいます。日給でも月給でも年俸制でも、1時間あたりの賃金が932円を下回ってはいけません。

 

<「雇い入れ通知書」より「労働条件通知書」が便利>

労働者の採用にあたっては、書面の交付により労働条件を通知しなければなりません。このとき、「雇い入れ通知書」という名称の書面を交付することもあります。雇い入れにあたって交付する書面ですから、「雇い入れ通知書」という名称がしっくりきます。

しかし、契約期間が平成28年10月1日以降にまたがる「雇い入れ通知書」を交付していた場合で、その人の賃金時間額が932円を下回っている場合には、これ以上の賃金に改定した内容の労働条件を示さなければなりません。

このときは、「雇い入れ」ではありませんから、「労働条件通知書」という名称が正しいことになります。

最初から「労働条件通知書」という名称の書面を用意しておけば、採用にあたっても、その後の変更や契約更新でも、同じ書式が使えますので「労働条件通知書」がお勧めです。

 

<「労働条件通知書」のひな形>

「労働条件通知書」のひな形は、厚生労働省のホームページでダウンロードして利用できます。労働条件によって、次の中から適合するものを選んで使います。

【一般労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

【短時間労働者用】常用、有期雇用型

【派遣労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

【建設労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

【林業労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

それぞれに詳しい【記載要領】が、本文と同じ位の分量で添付されていますので、よく読んで作成する必要があります。

 

最低賃金の引き上げに限らず、有期契約の無期化や、社会保険加入基準の変更などで、労働条件の管理は少し複雑になってきています。面倒に思えてきたら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.10.08.

<最低賃金の発効日>

平成28年10月1日をもって、東京都の最低賃金時間額は907円から932円に引き上げられます。この日が発効日ですから、この日に勤務した分から932円を下回る時間給は違法になってしまいます。日給でも月給でも、1時間あたりの賃金が932円を下回ってはいけません。

 

<雇用契約書を変更する必要性>

契約期間が平成28年10月1日以降にまたがる雇用契約書(労働契約書)であれば、その人の賃金時間額が932円を下回っている場合に、これ以上の賃金に改定した内容で雇用契約書を交わしなおす必要があります。

賃金という重要項目でもありますし、いつの分からの変更か明らかにする意味でも、また、最低賃金改定の説明をするチャンスでもあることから、修正して訂正印ではなくて、きちんと作り直して説明のうえ交付することをお勧めします。

 

<雇用契約書が複数ある場合の効力>

古い雇用契約書には、まだ契約期間が残っていて、新しい雇用契約書と期間がダブることになります。

そして古い雇用契約書も、その期間の雇用契約を明らかにする重要な文書ですから、回収するわけにもいきません。

実は、雇用契約書を含め契約書には必ず作成年月日が記されています。これは、契約内容が変更され新しい契約書が作成された場合には、作成年月日の新しいものが優先的に効力を持つという約束事があるからです。

ですから期間の重なった複数の雇用契約書があっても、最新のものが適用されるということで安心なのです。ただし、雇用契約書の作成年月日を空欄にしたままではいけません。きちんと契約書を完成させた日の日付を入れておきましょう。

 

最低賃金の引き上げに限らず、有期契約の無期化や、社会保険加入基準の変更などで、雇用契約の管理は少し複雑になってきています。面倒に思えてきたら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.26.

<最低賃金の意味>

「最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす」というのが法令の規定です。〔最低賃金法4条2項〕

最低賃金を下回る賃金しか支払わない場合、最低賃金との差額は、サービス残業と同様に未払い賃金となります。

ここで「最低賃金の適用を受ける労働者」の例外は、一定の条件を満たす人について、労働局長の許可を受けた場合のみです。〔最低賃金法7条〕

最低賃金は時間額で示されていますが、日給や月給にも適用があります。

日給は、最低賃金時間額×1日の所定労働時間 を下回ってはいけません。

月給は、最低賃金時間額×1か月の所定労働時間 を下回ってはいけません。

そして、1日や1か月の所定労働時間は、書面で労働者に示されなければ違法です。〔労働基準法15条1項〕

この場合の書面とは、労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書などの名称で作成され、労働者に交付されているものです。

 

<最低賃金の発効>

最低賃金は都道府県ごとに決められますが、発効年月日も都道府県ごとにバラバラで、平成27年は10月1日から18日までの間に発効しています。この発効年月日に勤務した分の賃金から、最低賃金を下回る賃金は強制的に最低賃金に引き上げられます。

たとえば京都府では、平成27年10月7日をもって最低賃金時間額が789円から807円に引き上げられました。時間給790円で働いていた人も、10月7日の勤務分からは強制的に807円に引き上げられたのです。そして、賃金計算の締日が月末であれば、期間の途中での変更となり、計算が複雑となって手間がかかり、シフト変更などがあった場合には間違えやすくなります。

 

<結論としてお勧めなのは>

こうした不都合を避けるためには、改定された最低賃金時間額の発効日の直前の賃金計算締日までは従来の賃金、締日の翌日からは最低賃金時間額以上の賃金に改めて運用するということになります。そしてこの期間の労働に対する賃金支払い日の給与から、変更が反映されることになります。

たとえば、平成27年10月の京都府の例でいえば、あらかじめ10月1日からの勤務は時間給810円などと決めておいて、1か月同じ時間給で計算できるようにします。そして、10月勤務分の賃金支払い日から支給額が変更となります。

こうした措置をとらずに、最低賃金時間額の発効日から新たな最低賃金に合わせて賃金が変わるとなると、働き手の皆さんは「自分は最低の賃金で働かされているのだ」という思いが強くなってしまいます。これを避けるため、5円単位、できれば10円単位で端数を切り上げて賃金を支給したいものです。モチベーションの低下を防ぐための費用として、これくらいの人件費アップは必要でしょう。

 

2016.08.29.

<試用期間だけ低めの月給>

試用期間中は低めの月給にしておいて、本採用になったら本人の働きぶりに見合った月給に引き上げるのは、よく行われていることです。

労働基準法も試用期間中の賃金が低めになることに配慮して、平均賃金を計算する場合には、試用期間を除くことになっています。〔労働基準法12条3項5号〕

求人広告でも、入社時の労働条件通知書でも、試用期間の月給について正しく明示していれば問題ありません。

 

<最低賃金法との関係>

月給を1か月の所定労働時間で割って、都道府県ごとの最低賃金を下回れば、最低賃金法違反となります。

入社にあたっては、労働条件通知書などで所定労働時間を示さなければ違法なのですが、計算方法としては次のようになります。

土日のみが休日で、あとは一切休日がない場合、1日8時間勤務なら、

365日×(5日÷7日)×8時間÷12か月=173.8時間

となりますから、174時間と定めればよいでしょう。

都道府県ごとの最低賃金×174時間 を月給が下回れば、月給が安すぎるので、最低賃金法違反ということになります。

月給が15万円で、月間所定労働時間が174時間であれば、

150,000円÷174時間=862円

ですから平成28年7月現在、最低賃金がこれを上回る東京都と神奈川県では違法となってしまいます。

 

<さらに定額残業代を含む場合>

月給に定額残業代を含むのであれば、求人の段階からこれを明示する必要があります。

たとえば、月間所定労働時間が174時間で、15万円の月給に20時間分の定額残業代を含むのであれば、残業代抜きの純粋な基本給をPとすると、

150,000円=P+P÷174時間×20時間×1.25 ですから、これを解いて、

残業代抜きの基本給が131,155円、20時間分の残業代が18,845円となります。

すると、今度は131,155円が最低賃金の基準となりますから、

131,155円÷174時間=753.8円

ですから平成28年7月現在、最低賃金がこれを上回る北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県では違法となってしまいます。

 

2016.07.28.