協定の記事

2021/11/16|1,146文字

 

<労使協定>

労使協定とは、労働者と使用者との間で締結される書面による協定のことです。

法令に「労使協定」という用語があるわけではなく一種の通称です。

そして、使用者と労使協定を交わす主体は、事業場により2通りに分かれます。

・労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合

・労働組合が無いとき、あるいは、労働組合があっても労働者の過半数で組織されていないときは、労働者の過半数を代表する者

労働者の過半数を代表する者は、その事業場で民主的に選出されます。

 

<36(サブロク)協定>

その事業場で、時間外労働(法定労働時間を超える早出、残業)や休日出勤(法定休日の出勤)が全くない事業場を除き、これらについての労使協定を所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

根拠規定が労働基準法第36条にあるので、36協定と呼ばれます。

労使協定の中には、所轄の労働基準監督署長への届出を義務づけられたものがいくつかありますが、届出をしなくても罰則が適用されるだけで、効力そのものは発生するのが原則です。

しかし、唯一の例外として36協定だけは届出をするまでは無効です。

しかも、届出をした日からの時間外労働などについてのみ有効とされ、日付をさかのぼっての効力は認められません。

さらに、有効期限が最長でも1年間なので、毎年届出が必要なため注意が必要です。

 

<24(ニイヨン)協定>

根拠規定が労働基準法第24条にあるので、24協定と呼ばれます。

労働組合がある会社では、むしろチェックオフ協定と呼ばれることが多いでしょう。

労働者の給与から労働組合費を控除して集め、労働組合に納入する制度をチェックオフといい、多くの労働組合で行われていますが、これはこの労使協定に基づいて行われているわけです。

賃金からは法令に基づき、労働者の同意を得ることなく、所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料が控除されています。〔労働基準法第24条第1項但書〕

これは源泉徴収ですが、労働者各個人が納付するより効率的で、確実に徴収できるためです。これに対し、組合費、寮費、昼食費など法定外のものを賃金から控除することは、賃金全額払の原則(労働基準法第24条第1項本文)に反することから、24協定の範囲内で許されます。〔労働基準法第24条第1項但書〕

24協定は、所轄の労働基準監督署長への届出義務がありませんし、有効期限を設ける必要もありません。

それだけに、紛失の危険があります。

万一、労働基準監督署の立入調査(臨検監督)が入ったときのために、保管場所だけはきちんと確認しておきましょう。

また、24協定についても、36協定や就業規則と同様に労働者への周知義務があります。〔労働基準法第106条第1項〕

まとめて周知することをお勧めします。

2021/08/13|1,586文字

 

<周知の意味>

周知(しゅうち)というのは、広く知れ渡っていること、または、広く知らせることをいいます。

「周知の事実」といえば、みんなが知っている事実という意味です。

会社で「周知」という場合には、社内の従業員に広く知らせるという意味です。

 

<就業規則についての義務>

労働基準法には、次のように規定されています。

 

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 

つまり、従業員が10名以上の会社では、就業規則を作成し所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。

しかし、従業員が10名未満の会社が就業規則を作成し届け出るのは任意です。

 

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法第106条第1項〕

従業員が10名以上の会社で、就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出たとしても、周知しなければ効力が発生しません。ここは重要なポイントです。

 

<労使協定の周知義務>

よくある勘違いに、「うちには労働組合が無いので労使協定は関係ない」というのがあります。

しかし、労働組合が無い会社では、「労働者の過半数を代表する者」が選出され、この過半数代表者との間で労使協定が交わされます。

労使協定というと、三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が特に有名です。〔労働基準法第36条〕

この協定書を作成して、所轄の労働基準監督署長に届け出なければ、法定労働時間を超える残業は1分たりともさせられません。

無届での残業は違法残業となってしまいます。

労働基準法には、他にも多くの労使協定が規定されています。

特別なことを何もしなければ、これらの労使協定は要りません。

しかし、必要に応じて協定を交わし、周知することが会社に義務付けられています。

 

<周知の方法>

周知の方法には、常時各作業場の見やすい場所に掲示/備え付ける、書面で交付する、磁気テープ/磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置するというのがあります。

 

<労働基準法の要旨の周知>

会社は、労働基準法の要旨も就業規則も周知しなければなりません。

たとえば、就業規則に「年次有給休暇は法定通り」と定めたならば、別に労働基準法の年次有給休暇の定めの内容を周知することになります。

就業規則や労働基準法に基づく労使協定ならば、会社が作成するのですから、それをそのまま周知すれば良いので、何も迷うことはありません。

しかし、「法令の要旨」となると、まさか『労働法全書』や『六法全書』を休憩室に置いて、従業員の皆さんに見ていただくというわけにはいきません。

しかも、労働基準法第106条は、法令そのものではなく「法令の要旨」としています。

 

<解決社労士の視点から>

厚生労働省のホームページには、パンフレット、リーフレット、ポスターが豊富に収録されています。

パンフレットは数ページにまとめられたもので、リーフレットは基本的に1枚でまとめられたものです。

たとえばネットで「厚生労働省 パンフレット マタハラ」で検索すると、「妊娠したから解雇は違法です」というページが検索され、そこに「パンフレット:働きながらお母さんになるあなたへ」という項目が見つかります。

厚生労働省とパンフレットの間に空白(スペース)を入れ、パンフレットとマタハラの間にも空白(スペース)を入れて検索すると、3つの言葉を含んだページが表示されますので、この検索方法を活用しましょう。

それでもなお、自社の従業員に合った上手い説明が見つからない場合には、国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

2021/06/17|1,170文字

 

バラバラに取る昼休みhttps://youtu.be/ngjJ_i4-1JE

 

<政府の感染症対策方針にも>

令和3(2021)年5月28日、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策本部は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の一部を変更し、職場における感染防止のための取組として、事業者に対して昼休みの交代制などを促すこととしました。

休憩室や食堂などでの密を避けるため、交代制の昼休みは手軽で有効な手段ではありますが、一定の配慮と手続が必要となります。

 

<一斉付与の原則>

【労働基準法第34条第2項本文:休憩の一斉付与】

前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。

この根拠としては、一斉でなければ心理的に休憩を取りづらいとか、会社が管理しにくいとか、労働基準法の前身である工場法の名残であるとか言われています。

しかし、一斉付与でなくてもよい業種が、労働基準法施行規則第31条に定められています。

運輸交通業、商業、金融保険業、興業の事業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業がこれに該当し、一斉に休憩を取ったのでは、お客様にご迷惑をお掛けするということのようです。

ですから、これらの業種に該当する企業では、昼休みの時差取得をするのに特別な手続は不要です。

 

<労使協定の締結>

【労働基準法第34条第2項但書:一斉付与の免除】

ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

このように、休憩の一斉付与を免除されていない業種であっても、労使協定の締結によって、一斉付与の義務を免れることができます。

この労使協定は、所轄の労働基準監督署長に届け出なくてもよいものです。

 

<同一労働同一賃金への配慮>

食堂や休憩室の利用について、正社員は午前11時から午後2時、非正規社員はこれ以外の時間帯などと定めるのは、こうすることに合理的な理由がなければ、同一労働同一賃金の観点から問題ありです。

「同一労働同一賃金」は、「賃金」という文字が入っているものの、休暇や福利厚生にも及ぶ原理ですから、昼休みの時差取得にあたっては、同一労働同一賃金の趣旨に反しないように配慮する必要があります。

 

<公平性の確保や業務への配慮>

結局、部署毎に交代で休憩を取得することになると思われますが、休憩時間が固定では部署間の不公平が発生してしまいます。

そこで、毎月のローテーションで休憩時間が変更になる仕組を考えることになります。

しかし、あまり早い時間帯、あるいは遅い時間帯に昼休みを取ったのでは、業務に支障が出る部署もあり、この辺の調整が難しいかもしれません。

昼休みの交代制について仕組を考える部署は、各部署からの聞き取りを行い、よく考えてローテーションを組む必要があるでしょう。

2021/05/09|1,959文字

 

<フレックスタイム制のイメージ>

フレックスタイム制では、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めるので、その労働者は次のように考えるかも知れないわけです。

朝、目覚めたとき「今日は出勤しようか、それとも休もうか」

起きてから「いつ出勤しようか」

家を出て通勤の途中で「やはり映画を観に行こうか」

会社に到着して仕事を始めてから「やる気が起きないから帰ろう」

しかし、これでは仕事が回りません。

労働基準法が、このような制度を法定した筈がありません。

 

<働き方改革の推進>

平成31(2019)年4月、働き方改革の一環で労働基準法が改正され、フレックスタイム制の清算期間の上限が1か月から3か月に延長されました。

もし、フレックスタイム制が現実離れした使い物にならない制度であれば、廃止されている筈ですが、労働者ひとり一人の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための制度であり、働き方改革の趣旨に適っているため拡充されたのです。

実際、フレックスタイム制は生活と業務との調和が図れる便利な制度です。

 

<労働基準法の規定>

フレックスタイム制に関する労働基準法の規定は次の通りです。

 

第32条の3第1項 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。

一 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、三箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)

三 清算期間における総労働時間

四 その他厚生労働省令で定める事項

 

ここで、条文にある「労働者」というのは、単数と複数を区別しない日本語の特性から「労働者たち」という意味であると考えられます。

そうであれば、業務開始時刻と業務終了時刻に使用者が介入してはならないということであって、業務都合と私生活とのバランスを考えつつ、労働者間で相談して決めることは差し支えないわけです。

このように考えても法の趣旨に反しませんし、むしろこのように考えないと運用が極めて困難になってしまいます。

個々の労働者が自分だけの考えで、始業・終業時刻を決めるというのは現実的ではありません。

やはり相談しながら決めることになります。

 

<フレックスタイム制の法的要件>

フレックスタイム制に関する条文は長いですが、法的要件は次のとおりです。

・業務開始時刻と業務終了時刻は労働者たちが決めることにして、これを就業規則などに定めます。

・一定の事項について、会社側と労働者側とで労使協定を交わし、協定書を保管します。

・清算期間が1か月を超える場合には、協定書を労働基準監督署長に届け出る必要があります。〔労働基準法第32条の3第4項→第32条の2第2項〕

 

<フレックスタイム制の運用条件>

上記の法的要件を満たせば、問題なく運用できるというわけではありません。

まず対象労働者は、業務都合と私生活とのバランスを考えて、業務開始時刻と業務終了時刻を自主的に決定できる人に限定する必要があります。

対象者は、特定の部署の全員あるいはその一部とすることもできますし、1人だけにすることもできます。

対象となる労働者が複数であれば、各個人の業務開始時刻と業務終了時刻について協議のうえ決定できるメンバーである必要があります。

また、各個人の業務開始時刻と業務終了時刻は前もって決定し、自部署と関連部署で情報共有する必要があります。

変更があった場合には、タイムリーに情報共有できる必要があります。

無料のスケジュール共有ツールを利用して、スマートフォンでチェックできるようにすれば便利です。

 

<解決社労士の視点から>

まずは、清算期間1か月のフレックスタイム制でワークライフバランスや生産性の向上を目指すことをお勧めします。

上手くいかないときは、対象労働者の中に制度活用の難しいメンバーがいないか、情報共有が不十分ではないかの2点をチェックし、必要に応じ労使協定の内容を見直してはいかがでしょうか。

2021/05/07|1,055文字

 

<労働者の過半数を代表する者>

就業規則の新規作成・変更の所轄労働基準監督署長への届出や、「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」など労使協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

 

<正しい選出手続が必要な理由>

過半数代表者になることができる労働者の範囲は限定されていて、選出手続にも制限があります。

この過半数代表者の選出が適正に行われていない場合には、たとえば36協定を締結し労働基準監督署長に届け出ても無効となります。

つまり、36協定書の届出をきちんとしてあっても、そもそもその協定書が無効とされれば、残業させたことがすべて違法になってしまうというリスクがあります。

 

<過半数代表者となることができる労働者>

労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者ではないことが必要です。

管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。

しかし、この基準を誤って解釈している会社が多いのが実態です。

過半数代表者の選出に当たっては、役職者は避けた方がよいでしょう。

 

<労働者全員での選出>

選出手続は、投票、挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続がとられていることが必要です。

また、選出に当たっては、パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者が手続に参加できるようにします。

こうした手続がとられたことの記録を残しておくことをお勧めします。

 

<会社側が関与しない選出>

会社の代表者が特定の労働者を指名したり、候補者を数名指定してその中から選出したりするなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出されたと疑われる場合、その過半数代表者選出は無効です。

 

<選出手続を行うこと>

社員親睦会の幹事などを自動的に過半数代表者にした場合や、社内で特定の立場にある人が自動的に過半数代表者になるというのでは、その人は「選出」されたわけではありませんので、過半数代表者の選出にはなりません。

過半数代表者の選出手続は、それ自体を独立させて行いましょう。

 

<解決社労士の視点から>

思わぬところで足元をすくわれないよう、専門家の関与は必要です。

労務管理について専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

2021/05/04|1,596文字

 
YouTube労使協定の役割https://youtu.be/Nkt306ptvUg

 

<労使協定>

労使協定とは、各事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者と使用者との書面による協定のことをいいます。

つまり、次のような当事者間に交わされた協定です。

労働組合 ― 使用者  または  労働者の代表 ― 使用者

 

<代表は三六協定>

労働基準法第36条は、労使協定を締結し、これを労働基準監督署長に届け出ることによって、労働基準法第32条に定められた法定労働時間を超えて労働させ、または労働基準法第35条に定められた法定休日に労働をさせることができる旨を定めています。

この三六(さぶろく)協定は、労働基準監督署長に届け出て初めて効力を認められますから、届け出前の期間に法定労働時間を超える残業があれば、使用者に罰則が適用されうることになります。

 

<労働基準法の労使協定>

労働基準法に規定されている労使協定を条文順に挙げると次の通りです。

 

貯蓄金管理協定(第18条)

労働者の貯蓄金の使用者による管理を、労使協定の締結と届け出を条件に認めるものです。

 

賃金控除協定(第24条)

財形貯蓄の積立金などについて賃金からの控除を認めるものです。

 

1か月単位の変形労働時間制の労使協定(第32条の2)。

 

フレックスタイム制の労使協定(第32条の3)

フレックスタイム制を導入するためには、労働基準法の他、労働基準法施行規則12条の3に定められた項目について労使協定を締結する必要があります。

 

1年単位の変形労働時間制の労使協定(第32条の4)。

 

1週間単位の変形労働時間制の労使協定(第32条の5)

常用労働者30人未満の小売業、旅館、飲食店、料理店の事業所に限定された労使協定です。

 

休憩時間の一斉付与を免れるための労使協定(第34条第2項)

休憩時間の一斉付与は、多くの事業で適用が除外されていますので、除外されていない事業について必要となります。

 

時間外・休日労働に関する労使協定(第36条)

 

割増賃金の割増率引き上げ分に相当する有給代替休暇を付与する労使協定(第37条第3項)

1か月に60時間を超える時間外労働に対して必要な50%以上の割増賃金について、労使協定を締結することにより、60時間を超えかつ割増賃金が引き上げられた部分に対応した部分(25%部分)について、割増賃金の支払いに代えて有給の代替休暇を付与することが可能となります。

 

事業場外労働のみなし労働時間の労使協定(第38条の2)

 

専門職型裁量労働制の労使協定(第38条の3)

労使委員会が設立されればその決議をもってこの協定に代えることができます。

 

年次有給休暇の分割付与についての労使協定(第39条第4項)

1年に5日分を限度として、時間単位の年次有給休暇の取得を可能にするものです。

 

計画年休制度の労使協定(第39条第5項)

各労働者の有する年次有給休暇のうち5日間を超える部分について、計画的に付与するための協定です。

 

年次有給休暇の賃金を標準報酬月額で支払う労使協定(第39条第7項)

平均賃金や給与計算上の1日当たりの賃金額を使わず、標準報酬月額で支払う場合に必要となります。

 

このほか、育児・介護休業法や雇用保険法などにも労使協定についての規定が見られます。

 

<労使協定の効力>

労使協定の多くは、労働基準法などの最低基準を解除する効力や、罰則の適用を免除する効力を持っています。

労働協約のように、各従業員の労働契約を直接規律する効力は認められませんが、事業場の全従業員との間で効力を持っています。

 

<解決社労士の視点から>

労使協定書の作成・届け出は形式的なものですが、これを怠ると違法となり罰則が適用されうるのです。

労使協定書が不要な会社は稀ですから、遵法経営のために必要なことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

2021/01/03|659文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

https://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<一斉休憩の原則>

労働基準法の前身は工場法でした。

工場では、労働者に一斉に休憩を与えるのが効率的です。

現在、休憩時間は事業場ごとに一斉に与えなければならないというのが、工場だけではなく原則的なルールとなっています。〔労働基準法第34条第2項本文〕

つまり、労働者に対して交代で休憩時間を与えることは、原則として認められません。

 

<事業の種類による例外>

運送事業、販売・理容の事業、金融・保険・広告の事業、映画・演劇・興業の事業、郵便・電信・電話の事業、保健衛生の事業、旅館・飲食店・娯楽場の事業、官公署等では、労働基準法のこの規定の適用が除外されています。〔労働基準法第40条第1項、労働基準法施行規則第31条〕

つまり、これらの事業では、労働者に一斉に休憩を与える必要がありません。

 

<他の事業での例外>

上記の例外に含まれない事業でも、労使協定を締結すれば、休憩時間を一斉に与える必要はなくなり、交代で休憩時間を与えることもできるようになります。〔労働基準法第34条第2項但書〕

しかも、この労使協定は三六協定などと違って、労働基準監督署長への届出が不要です。

それでも、無ければ労働基準監督署の監督(調査)が入ったときには指摘されますから、一斉に休憩を取らせない事業場では、労使協定書を作成して保管しておきましょう。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

三六協定書すら届出していない会社もありますが、必要な労使協定が無いのは違法ですから、一度、信頼できる社労士にご相談のうえ、作成して保管しておくことを強くお勧めします。

 

解決社労士

2020/05/20|921文字

 

<労使協定>

労使協定とは、労働者と使用者との間で締結される書面による協定のことです。

法令に「労使協定」という用語があるわけではなく一種の通称です。

法令には「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定」と書かれています。

この表現からわかるように、使用者と労使協定を交わす主体は、2通りに分かれます。

・労働者の過半数で組織する労働組合があるとき ― その労働組合

・労働組合が無いとき、あるいは、労働組合があっても労働者の過半数で組織されていないとき ― 労働者の過半数を代表する者

労働者の過半数を代表する者は、その事業場で民主的に選出されます。

 

<三六(さぶろく)協定>

その事業場で、時間外労働(法定労働時間を超える早出、残業)や休日出勤(法定休日の出勤)が全くない事業場を除き、これらについての三六協定を所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

労使協定の中には、所轄の労働基準監督署長に届け出を義務づけられたものがいくつかあります。

そして、ほとんどの労使協定は、届出をしなくても罰則を適用されるだけで、効力そのものは発生するのですが、この三六協定だけは届出をするまで無効です。

しかも、届出をした日からの時間外労働などについてのみ有効とされ、日付をさかのぼっての効力は認められません。

三六協定書を届け出た日の前日までの残業が違法になります。

 

<労働協約>

労使協定と混同されるものに労働協約があります。

労働協約は、労働組合法に定められた労働組合と使用者または使用者団体と結ばれた取り決めで、書面にされたものをいいます。

この労働協約は、労働組合が無ければ作成することができないわけです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

うっかり三六協定の届出を忘れたり、期限切れの三六協定を放置しておくと、たった1分の残業でも「違法残業」となります。

三六協定の有効期間は最長で1年間ですから、更新が必要です。

社労士は、正しい三六協定の届出と更新をタイムリーに行います。

うっかりすることがないように、信頼できる社労士にお任せください。

 

解決社労士

<作成支援ツールの公開>

2019年4月1日施行の改正労働基準法に対応した「三六協定届」を作成するための支援ツールを、厚生労働省が公開しています。

これを使えば、パソコン画面上で、入力フォームから必要項目を入力し印刷して、労働基準監督署長に届け出る三六協定書が作成できます。

 

<スタートアップ労働条件>

事業者のための労務管理・安全衛生管理支援サイト「スタートアップ労働条件」のページから入って利用することができます。

 

↓こちらです。

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support.html

 

入力フォームから必要項目を入力・印刷することで、労働基準監督署に提出する次の4種類の書面を作成することができます。

〇時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定届)

〇1年単位の変形労働時間制に関する書面

協定届、労使協定書、労働日等を定めたカレンダー

 

<会員登録>

会員登録をしないで利用することもできますが、会員登録をしておけば、36協定届、1年単位の変形労働時間制に関する書面の入力データを保存し、過去に登録したデータを呼び出して書き換えることができます。

次回の届けを作成する手間が省けますし、今後新たなサービスが追加されるでしょうから、会員登録することをお勧めします。

 

<適用が猶予される企業にも>

中小企業のうち、2024年3月31日まで上限規制が適用猶予される事業場・労働者(建設業、鹿児島・沖縄の砂糖製造業、自動車運転者、医療に従事する医師)に向けたツールも用意されています。

 

2019.03.07.解決社労士

 

厚生労働省が、「働き方改革関連法」の一環で、平成31(2019)年4月から施行される改正労働基準法に盛り込まれた新しい時間外労働の上限規制に基づく新36協定の内容・記載方法などのリーフレットを公表しました。

法改正後は、36(サブロク)協定で定める時間外労働に、罰則付きの上限が設けられます。

厚生労働省は、時間外労働と休日労働を適正なものとすることを目的として、新たに指針を策定しました。 

 

<36(サブロク)協定とは>

時間外労働(残業)をさせるためには、36協定が必要です。

労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。これを「法定労働時間」といいます。

法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、協定書を所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

この届出が無いまま残業させると、たとえ1分でも厳密には違法残業となります。

36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「1日、1か月、1年当たりの時間外労働の上限」などを決めなければなりません。

 

<時間外労働の上限規制とは>

平成30(2018)年6月に労働基準法が改正され、36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられることとなりました。

この改正法は、平成31(2019)年4月施行ですが、中小企業への適用は2020年4月からとなります。

時間外労働の上限(「限度時間」)は、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。

この「休日労働を含む」というのは、今回の法改正から取り入れられた基準です。

また、月45時間を超えることができるのは、年間6回(6か月)までです。

 

【36協定の締結にあたって留意すべき指針の内容】

① 時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめましょう。(指針第2条)

 

②使用者は、36協定の範囲内であっても労働者に対する安全配慮義務を負います。また、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が強まることに留意する必要があります。(指針第3条)

36協定の範囲内で労働させた場合であっても、労働契約法第5条の安全配慮義務を負うことに留意しましょう。

「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(平成13年12月12日付け基発第1063号厚生労働省労働 基準局長通達)で、

・1週間当たり40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとされていること

・さらに、1週間当たり40時間を超える労働時間が月100時間または2~6か月平均で80時間を超える場合には、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとされていること

に留意しなければなりません。

 

③時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にしましょう。(指針第4条)

 

④臨時的な特別の事情がなければ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えることはできません。限度時間を超えて労働させる必要がある場合は、できる限り具体的に定めなければなりません。この場合にも、時間外労働は、限度時間にできる限り近づけるように努めましょう。(指針第5条)

・限度時間を超えて労働させることができる場合を定めるに当たっては、通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければなりません。

「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。

・時間外労働は原則として限度時間を超えないものとされていることに十分留意し、

(1)1か月の時間外労働と休日労働の時間、

(2)1年の時間外労働時間、

を限度時間にできる限り近づけるように努めましょう。

・限度時間を超える時間外労働については、25%を超える割増賃金率とするように努めなければなりません。

 

⑤1か月未満の期間で労働する労働者の時間外労働は、目安時間を超えないように努めましょう。(指針第6条)

ここで目安時間とは、1週間:15時間、2週間:27時間、4週間:43時間です。

 

⑥休日労働の日数及び時間数をできる限り少なくするように努めましょう。(指針第7条)

 

⑦限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保しましょう。(指針第8条)

・限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するための措置について、次の中から協定することが望ましいことに留意しましょう。

(1)医師による面接指導

(2)深夜業の回数制限

(3)終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)

(4)代償休日・特別な休暇の付与

(5)健康診断

(6)連続休暇の取得

(7)心とからだの相談窓口の設置

(8)配置転換

(9)産業医等による助言・指導や保健指導

 

⑧限度時間が適用除外・猶予されている事業・業務についても、限度時間を踏まえて、健康・福祉を確保するよう努めましょう。(指針第9条、附則第3項)

・限度時間が適用除外されている新技術・新商品の研究開発業務については、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しましょう。

また、月45時間・年360時間を超えて時間外労働を行う場合には、⑦の健康・福祉を確保するための措置を協定するよう努めなければなりません。

・限度時間が適用猶予されている事業・業務については、猶予期間において限度時間を勘案することが望ましいことに留意しましょう。 

 

<指針への対応>

こうした指針は、会社の実情を踏まえて、会社に都合の良い解釈がとられがちです。

36協定書を所轄の労働基準監督署長に届け出ることだけでなく、その運用についても、専門家の客観的な解釈に沿って考える必要があるでしょう。

 

2018.09.26.解決社労士

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