協定の記事

<周知の意味>

周知(しゅうち)というのは、広く知れ渡っていること、または、広く知らせることをいいます。

「周知の事実」といえば、みんなが知っている事実という意味です。

会社で「周知」という場合には、社内の従業員に広く知らせるという意味です。

 

<就業規則についての義務>

労働基準法には、次のように規定されています。

 

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 

つまり、従業員が10名以上の会社では、就業規則を作成し所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。

しかし、従業員が10名未満の会社が就業規則を作成し届け出るのは任意です。

 

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法1061項〕

従業員が10名以上の会社で、就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出たとしても、周知しなければ効力が発生しません。ここは重要なポイントです。

 

<労使協定の周知義務>

よくある勘違いに、「うちには労働組合が無いので労使協定は関係ない」というのがあります。しかし、労働組合が無い会社では、「労働者の過半数を代表する者」が選出され、この過半数代表者との間で労使協定が交わされます。

労使協定というと、三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が特に有名です。〔労働基準法36条〕

この協定書を作成して、所轄の労働基準監督署長に届け出なければ、法定労働時間を超える残業は1分たりともできません。無届での残業は違法残業となってしまいます。

労働基準法には、他にも多くの労使協定が規定されています。特別なことを何もしなければ、これらの労使協定は要りません。しかし、必要に応じて協定を交わし、周知することが会社に義務付けられています。

 

<周知の方法>

周知の方法には、常時各作業場の見やすい場所に掲示/備え付ける、書面で交付する、磁気テープ/磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置するというのがあります。

 

<労働基準法の要旨の周知>

会社は、労働基準法の要旨も就業規則も周知しなければなりません。

たとえば、就業規則に「年次有給休暇は法定通り」と定めたならば、別に労働基準法の年次有給休暇の定めの内容を周知することになります。

就業規則や労働基準法に基づく労使協定ならば、会社が作成するのですから、それをそのまま周知すれば良いので、何も迷うことはありません。

しかし、「法令の要旨」となると、まさか『労働法全書』や『六法全書』を休憩室に置いて、従業員の皆さんに見ていただくというわけにはいきません。しかも、労働基準法106条は、法令そのものではなく「法令の要旨」としていますから悩んでしまいます。

 

厚生労働省のホームページには、パンフレット、リーフレット、ポスターが豊富に収録されています。パンフレットは数ページにまとめられたもので、リーフレットは基本的に1枚でまとめられたものです。

たとえばネットで「厚生労働省 パンフレット マタハラ」で検索すると、「妊娠したから解雇は違法です」というページが検索され、そこに「パンフレット:働きながらお母さんになるあなたへ」という項目が見つかります。

厚生労働省とパンフレットの間に空白(スペース)を入れ、パンフレットとマタハラの間にも空白(スペース)を入れて検索すると、3つの言葉を含んだページが表示されますので、この検索方法を活用しましょう。

それでもなお、自社の従業員に合った上手い説明が見つからない場合には、国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.05.06.解決社労士

<労働者の過半数を代表する者とは>

就業規則の新規作成・変更の所轄労働基準監督署長への届出や、「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」など労使協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

 

<正しい選出手続きが必要な理由>

過半数代表者になることができる労働者の範囲は限定されていて、選出手続きにも制限があります。

この過半数代表者の選出が適正に行われていない場合には、たとえば36協定を締結し労働基準監督署長に届け出ても無効となります。

つまり、36協定書の届出をきちんとしてあっても、そもそもその協定書が無効とされれば、残業させたことがすべて違法になってしまうというリスクがあります。

 

<過半数代表者となることができる労働者>

労働基準法412号に規定する管理監督者でないことが必要です。

管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。

しかし、この基準を誤って解釈している会社が多いのが実態です。

過半数代表者の選出に当たっては、役職者は避けた方がよいでしょう。

 

<労働者全員での選出>

選出手続きは、投票、挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きがとられていることが必要です。

また、選出に当たっては、パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにします。

こうした手続きがとられたことの記録を残しておくことをお勧めします。

 

<会社側が関与しない選出>

会社の代表者が特定の労働者を指名したり、候補者を数名指定してその中から選出したりするなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出されたと疑われる場合、その過半数代表者選出は無効です。

 

<選出手続きを行うこと>

社員親睦会の幹事などを自動的に過半数代表者にした場合や、社内で特定の立場にある人が自動的に過半数代表者になるというのでは、その人は「選出」されたわけではありませんので、過半数代表者の選出にはなりません。

過半数代表者の選出手続きは、それ自体を独立させて行いましょう。

 

思わぬところで足元をすくわれないよう、専門家の関与は必要です。

労務管理について専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2017.12.25.解決社労士

<労使協定>

労使協定とは、労働者と使用者との間で締結される書面による協定のことです。法令に「労使協定」という用語があるわけではなく一種の通称です。

法令には「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定」と書かれています。

この表現からわかるように、使用者と労使協定を交わす主体は、2通りに分かれます。

・労働者の過半数で組織する労働組合があるとき ― その労働組合

・労働組合が無いとき、あるいは、労働組合があっても労働者の過半数で組織されていないとき ― 労働者の過半数を代表する者

労働者の過半数を代表する者は、その事業場で民主的に選出されます。

 

<三六(さぶろく)協定>

その事業場で、時間外労働(法定労働時間を超える早出、残業)や休日出勤(法定休日の出勤)が全くない事業場を除き、これらについての三六協定を所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

労使協定の中には、所轄の労働基準監督署長に届け出を義務づけられたものがいくつかあります。

そして、ほとんどの労使協定は、届出をしなくても罰則を適用されるだけで、効力そのものは発生するのですが、この三六協定だけは届出をするまで無効です。しかも、届出をした日からの時間外労働などについてのみ有効とされ、日付をさかのぼっての効力は認められません。

 

<労働協約>

労使協定と混同されるものに労働協約があります。労働協約は、労働組合法に定められた労働組合と使用者または使用者団体と結ばれた取り決めで、書面にされたものをいいます。

この労働協約は、労働組合が無ければ作成することができないわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

うっかり三六協定の届出を忘れたり、期限切れの三六協定を放置しておくと、たった1分の残業でも「違法残業」となります。

三六協定の有効期間は最長で1年間ですから、更新が必要になるわけです。

社労士は、正しい三六協定の届出と更新をタイムリーに行います。うっかりすることがないように、信頼できる社労士にお任せください。

 

2017.01.24.解決社労士

<特別条項付き三六協定>

原則として、三六協定の範囲内で時間外労働や休日出勤が許されるわけですが、どうしても臨時的に「限度時間」を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き三六協定」を結ぶことにより、「限度時間」を超える時間を延長時間とすることができます。

ここで「限度時間」とは、「時間外労働の限度に関する基準」が定める時間のことで、1か月45時間、1年間360時間です。

 

<特別条項に定める内容>

「特別条項付き三六協定」では、次の項目について定める必要があります。

・原則としての延長時間(限度時間以内の時間)

・限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない「特別の事情」

・一定期間途中で「特別の事情」が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続

・限度時間を超える一定の時間

・限度時間を超えることができる回数

 

<特別条項を定めるときの注意点>

「特別の事情」はできるだけ具体的に定めます。また、臨時的なものに限られ、一時的または突発的であること、全体として1年の半分を超えないことが見込まれることが必要です。

さらに、長時間の労働(週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を有している労働者が申し出た場合には、医師の面接指導を受けさせる義務が会社に発生します。〔労働安全衛生法66条の8、66条の9、104条〕

このことから、特別条項付き三六協定によっても、1か月の延長時間は80時間までと考えられます。

 

2016.03.07.

<フレックスタイム制とは?>

労働者が、決まった期間の中で、決まった時間だけ労働する約束にします。そして、出勤日も、始業終業の時間も、柔軟に決められることにします。

たとえば、カレンダー上の日数で、1か月が30日の月ならば、171時間働くというように、決めておきます。そして、6時間しか働かない日、10時間働く日など、フレキシブルに勤務するのです。

 

<フレックスタイム制のメリット>

労働者にとっては、生活と仕事のバランスを図ることができます。ワークライフバランスですね。

また、使用者にとっても、効率的な労働力の提供を受けることにより、生産性の向上を図ることができます。

この制度を使わなければ、ある日に2時間残業して、別の日に2時間早帰りして、相殺するというのはできません。なぜなら、割り増し賃金の分だけ、労働者が損するからです。でも、フレックスタイム制なら、この相殺もOKです。

 

<生産性向上のハズが…>

労働者の一人ひとりが、自分の好きなときに勤務してもいいとなると、昨日も朝寝坊、今日も朝寝坊、一体いつ来るの?ってことになりそうです。

そして、さっきまでいた人が、いつの間にか帰ってしまった!頼みたいことがあったのに…ということにもなるでしょう。

こんなことでは、仕事が回りません。

 

<こうして活用しましょう!>

労働者が、始業終業の時間を、自由に決められるというのは、会社から強制されないという意味なのです。一人ひとりが、その日の気分で変えられるというわけではありません。

出勤日と勤務時間帯は、職場内での仕事の連動をよく考えて、みんなで話し合って決めましょう。この話し合いによるコミュニケーションの強化も、隠れた効果の一つです。

そして、決めた結果は、自分の部署だけでなく、よその部署にも知らせておくようにしましょう。事務所内のホワイトボードと、ネットで共有したスケジュール表があれば万全です。

 

2016.01.11.