傷病手当金の記事

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法106条1項〕

労使協定というと三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が有名です。〔労働基準法36条〕

しかし、傷病手当金は健康保険の制度ですから、会社が従業員に周知する義務を負っていません。

健康保険や年金、労災保険や雇用保険、所得税の還付などについては、国が広報に努めるべき内容です。

 

<会社が説明する必要>

とはいえ、健康保険や年金、労災保険や雇用保険などの給付は、すべて請求手続きをしなければ給付されません。「求めよ、さらば与えられん」という感じです。

健康保険の保険料は、会社と従業員とで折半します。つまり、会社も保険料を負担しています。それなのに、わからないから給付を受けられないというのでは勿体ないです。

会社は、保険料を無駄にせず、従業員が給付を受けられるようにするため、傷病手当金、高額療養費、療養費支給申請など健康保険の給付や、労災保険で受けられる給付について、従業員に説明しておくべきです。少しでも記憶に残っていて「何かお金がもらえる制度があったような…」ということになれば、あとは人事担当者にたずねるなどして、手続きへと結びつくでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士に給与計算を委託している場合、ある従業員が長期間休んでいれば、会社にその理由を確認します。

健康保険に入っている従業員であれば傷病手当金の手続きに進みますし、勤務中のケガで休んでいれば労災保険の手続きに進みます。わからないから受け取れないということが防げるわけです。

また、様々な仕組みにより従業員が給付を受ける場合について、社労士が会社でレクチャーを行い、従業員からの質問にわかりやすく答えるというサービスもしています。

もし社内でまかなえないことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.11.26.

<第三者の行為による傷病届>

もともと保険というのは、保険料を負担した人やその関係者に給付があるわけです。

健康保険では会社と従業員が保険料を折半して、従業員や扶養家族が治療を受けると健康保険から給付が行われて、治療費の3割を負担するだけで済みます。

ところが無関係な第三者からケガをさせられて、治療費に保険が使われると、ケガをさせた第三者は、治療費の負担が減ったり負担がなくなったりして、不当に利益を得てしまいます。

こうした不都合が起こらないように、保険者である協会けんぽなどが、加害者に費用の負担を求めるための手続きが加わるのです。

 

<病院に提出が必要な書類>

協会けんぽなどの保険者に次の書類を速やかに提出しましょう。傷病手当金の請求をしなくても、治療を受ける場合には必要です。

・第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届

・損害賠償金納付確約書→加害者が書きます。治療費支払いの約束です。

・念書→被害者の損害賠償請求権を健康保険の保険者に譲り渡す約束です。

・負傷原因報告書→いつ、どこで、どうしてケガをしたのかの報告書です。

 

<保険給付の制限>

ケンカや、酒を飲みすぎてケガした場合には、全く健康保険が使えない場合と一部だけ使える場合があります。〔健康保険法117条〕

 

勤務中のケンカによるケガなど、労災保険の手続きについても同様の書類が必要になります。急がないと関係者の記憶が薄れたり、情報が集まらなくなったりします。第三者がからむ保険の手続きは複雑ですから、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談することをお勧めします。

 

2016.10.31.

<傷病手当金>

傷病手当金は、業務以外の原因による病気やケガでの休業中に、健康保険加入者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、健康保険加入者が病気やケガのために仕事を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

その条件の一つに、「労務不能」があります。仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、健康保険加入者の仕事の内容を考慮して判断されます。

 

<労務不能の基準>

労務不能の期間は、主に療養担当者つまり治療を担当する医師の判断によります。対象者の仕事内容から考えて、病気やケガの回復具合から働けるかどうかを判断するのです。

医師は病気やケガの具合を判断することは得意なのですが、対象者の仕事内容を具体的に知っているわけではありませんから、労務不能の判断はこの点でむずかしいものがあります。

傷病手当金を受給する人は、担当する医師にご自分の仕事内容をわかりやすく説明する必要があります。特に病気との関係で、仕事上の困難な部分をよく説明しておきたいものです。

 

<実際に支給対象となる期間>

仕事を休んだ日と、労務不能と判断された日の重なった日が、支給対象の期間です。ただし、最初の3日間は待期期間といって、支給されない期間です。

労務不能とされない日に仕事を休んでも、ご本人の意思で大事をとって休んだにすぎないことになります。

また、労務不能とされた日に仕事をすれば、働いて給料がでている限り、傷病手当金は支給されません。

 

2016.05.28.

<傷病手当金とは?>

傷病手当金は、休業中に健康保険の加入者(被保険者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

被保険者は、給与天引きなどにより保険料を支払っている人です。

 

<支給の条件は?>

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

 業務や通勤によるケガは労災保険で補償されますから対象外です。

・仕事に就くことができないこと

 医師の判断によります。大事をとって休業しても対象外です。

・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

 最初の3日が、たまたま年次有給休暇でもOKです。

・休業した期間について給与の支払いがないこと

 給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 

<支給される期間は?>

傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。

これも、医師が労務不能を認めた期間に限ります。

 

<支給される金額は?>

傷病手当金は、1日につき健康保険加入者(被保険者)の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。

標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。

標準報酬月額は、原則として4月から6月までの給与の総支給額を基準に、その年9月以降の保険料の計算基準となる月給です。

 

2016.02.22.

<傷病手当金とは?>

健康保険に入っている人が、業務外の病気やケガで仕事ができず、給料がもらえないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、業務外の病気やケガで仕事ができない期間について、医師の証明が必要です。仕事ができないわけではないけれど、大事をとってお休みするというのは対象外となります。

また、4日以上連続して仕事を休んでいることが必要です。最初の3日間を「待期期間」といって、ここに公休や有給休暇が含まれていてもかまいません。

さらに、給料の支払いが無いか、傷病手当金の金額より少ないことが条件です。

医師が証明した期間と、実際に仕事を休んだ期間とで、重なる日について支給されます。

 

<支給金額は?>

〔平成28年3月31日までの支給金額〕

1日あたりの金額=(休んだ日の標準報酬月額)÷30日×2/3

〔平成28年4月1日からの支給金額〕

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<注意したいこと>

たとえば4日間の休業だと、もらえる傷病手当金は1日分です。「傷病手当金支給申請書」に医師の証明を書いてもらうのに、3千円から1万円の文書料がかかります。交通費などの経費や手間を考えると、申請を見送った方が良い場合もあるでしょう。

 

2016.02.04.