コロナハラスメント防止法

2021/02/18|1,662文字

 

YouTubeコロナハラスメント

 

<コロナハラスメント>

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、コロナ関連のハラスメントが発生しています。

これは、コロナハラスメントと呼ばれています。

コロハラは私生活の場でも発生しますが、職場で発生するコロハラは会社が見過ごすわけにはいきません。

ハラスメントは、どれも嫌がらせであり人権侵害です。

これを会社が放置すると、生産性の低下や退職者の増加をもたらします。

 

<発生のシーン>

勤務中にマスクを着用していない従業員に怒りがぶつけられます。

東京や外国の感染拡大地域から帰ってきた従業員が、出勤しないように強く求められます。

会議の席で、マスクを着用していない取締役が、大声で発言するのを他の従業員が制止できずにいます。

会社の飲み会では、会場が十分な感染拡大防止策をとっていて、参加者全員がマナーを守るのでなければ、感染を恐れる従業員にとってはコロハラとなりえます。

運悪く感染した従業員は、なかなか職場に復帰させてもらえませんし、復帰後も「いつ、どこで、どのように感染したのか」と、プライバシーを詮索されてしまいます。

従業員の家族が感染した場合にも、その従業員は家族の感染を責められます。

 

<感染防止ハラスメント>

誰しも、新型コロナウイルスに感染することを恐れています。

その一方で、「こうすれば絶対に感染しない」と言い切れる予防法はありません。

手指や机・椅子のアルコール消毒、マスクやフェイスシールドの着用、自宅や会社での検温と体調管理など、やるべきことは多岐に渡ります。

こうした対策を徹底している従業員の「常識」から見れば、感染防止対策をあまりしない従業員の行動は許せないものに感じ、嫌がらせをしてしまいがちです。

故意にアルコールを吹きかけるなどの暴挙も聞かれます。

 

<感染疑いハラスメント>

繰り返し咳込んだり、額に手を当ててぼんやりしたりすると、周囲から新型コロナウイルスに感染したのではないかと、疑いの目を向けられます。

喘息持ちであったり、額に手を当てのるが癖だったりしても、疑いが晴れることはありません。

周囲の従業員は、ソーシャルディスタンスを遥かに超える距離をとったり、帰宅を促したりと、本人からすれば嫌がらせと感じる行動をとることがあります。

特にこうした様子が見られなくても、東京への出張から帰ってきたばかりとなると、出勤せずに在宅で勤務することや、年次有給休暇を取得することを迫られたりすることもあります。

 

<感染者へのハラスメント>

運悪く新型コロナウイルスに感染し、隔離され、PCR検査で陽性反応が出なくなり、さらに一定の期間自宅療養してから出勤しても、バイキン扱いされてしまうことがあります。

また、周囲への感染リスクが無いことが分かっても、どこでどうやって感染したのか詮索されます。

感染者の多い場所に出掛けていたことが判明すれば、それを非難の対象とされることもあります。

 

<コロハラの防止>

コロハラは、被害者の「常識」と加害者の「常識」とが食い違っているために発生します。

「常識」というのは、各個人に固有のものですから、食い違うのが当たり前です。

会社でコロハラの発生を防止するには、全従業員が各個人の「常識」ではなく、社内ルールに従って行動することにすれば良いのです。

ここで、社内ルールとして定めておくことが必要なのは、次のようなものです。

 

・従業員が社内外で講ずる感染防止策のルール・従業員が体調不良で感染が疑われるときの行動ルール・従業員の家族が体調不良で感染が疑われるときの行動ルール

・従業員や家族が感染したときの行動ルール

・従業員が濃厚接触者とされたときのルール

 

注意したいのは、「本人」に当たる従業員のルールだけでなく、周囲の従業員が取るべき行動のルールも必要だということです。

 

<解決社労士の視点から>

上記に掲げたルールの中には、新型コロナウイルスに特有のものもありますが、多くはインフルエンザなどの感染症にも共通するものです。

納得できるルールを定められるよう、社内でよく話し合って策定することが大切です。

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