健康保険のオンライン資格確認

2020/10/30|1,375文字

 

<アナログな方法による資格確認>

退職や転職などにより、受診者の保険証(健康保険の保険者)に変更があった場合、このことが医療機関に正しく伝わらないと、医療機関は診療報酬のうちの健康保険適用部分を正しく受け取ることができません。

この場合、電話や文書で受診者などに確認をして、正しい保険者に再申請する等の、医療機関での業務負担が発生しています。

保険者の食い違いが発生するのは、受診者が会社を退職して健康保険の資格を失ったのに、保険証を会社に返却することを怠り、無効な保険証を医療機関に提示した場合などが考えられます。

医療機関が気付かずに、その保険証を有効なものとして手続してしまうと、医療機関も受診者も、手続のやり直しを求められることになってしまいます。

保険証が無効であることを知りながら、あえて不正使用をする受診者がいると、医療機関の収入は、保険証の不正使用者から「自己負担分」として受け取った金額だけになってしまい、本来は不正使用者が全額負担するはずであった金額との差額だけ、損失が発生してしまうことになります。

また、月の途中で保険者が変わる等の異動があった場合、窓口での資格確認にタイムラグが生じる可能性があります。

 

<資格確認オンライン化>

こうした不都合を解消するため、令和3(2021)年3月から、オンラインによる加入者(被保険者)資格と扶養家族(被扶養者)資格の確認が行われるようになる予定です。

オンライン資格確認が開始されると、被保険者や被扶養者が医療機関で受診した際に、その場で最新の資格情報を確認できるようになります。

月の途中で保険者が変わった場合にも、審査支払機関でのオンライン資格確認システムでの資格確認により、レセプトを分割してその保険者に送付する等が行えるようになります。

 

<保険証の記載事項追加>

オンライン資格確認の開始にあたっては、資格の確認を個人単位で行えるようにするため、被保険者記号・番号の個人単位化が必要になります。

このため、令和2(2020)年10月19日以降、協会けんぽで新たに発行される保険証には、記号・番号の右隣に2桁の枝番が印字されるようになっています。

この変更に伴い、プライバシー保護の観点から、健康保険事業とこれに関連する事務以外に、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限する「告知要求制限」が設けられています。

なお、この変更により令和2(2020)年10月18日以前に発行された保険証の差替えは、不要です。

 

<マイナンバーカードの保険証利用>

マイナンバーカードによる資格確認も、令和元(2019)年5月成立の改正健康保険法で規定され、令和3(2021)年3月に導入される予定です。

これは、マイナンバーカードのICチップの電子証明書を用いて行うもので、マイナンバーは使いません。

保険医療機関・薬局でのシステム導入の支援のため、「医療情報化支援基金」が創設され、令和5(2023)年3月末までに、概ね全ての医療機関・薬局での導入を目指すものとされています。

転職した場合にも、新しい保険証の発行を待たずに、マイナンバーカードで受診ができるなど便利になります。

医療機関は、マイナンバーカードの顔写真を確認し、窓口では預からないという運用が予定されています。

顔認証付き端末で確認する運用も検討されています。

 

解決社労士

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