社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインの改訂

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2020/08/09|1,517文字

 

<社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン改訂の経緯と趣旨>

令和元(2019)年度の建設業法等の一部改正で、建設業許可基準の見直しが行われ、令和2(2020)年10月から、建設業者の社会保険の加入が建設業許可・更新の要件とされるなど、企業単位での社会保険の加入確認の厳格化が講じられました。

この法改正により、施工体制台帳に社会保険の加入状況等を記載することが必要となり、実質的に作業員名簿の作成が義務化されたことから、技能者単位での社会保険の加入確認の厳格化についても措置を講ずることが求められます。

国土交通省は、企業にとって効率的に加入確認が行えるよう、建設キャリアアップシステムの活用を図るなど、技能者の現場単位での社会保険の加入徹底に向けた取組みを推進することとしています。

一方で、元請企業に対しては、新たに以下のような取組を求めることとしています。

 

<下請企業選定について>

・建設キャリアアップシステムに登録している建設企業を選定することを推奨する。

・建設キャリアアップシステムを使用せず、社会保険の加入確認を行う場合、元請企業は選定の候補となる建設企業に保険料の領収済通知書等関係資料のコピーを提示させるなど、真正性の確保に向けた措置を講ずるよう徹底する。

・雇用保険については、厚生労働省の労働保険適用事業場検索サイト、厚生年金については、日本年金機構の厚生年金・健康保険適用事業所検索システムで適用状況を確認する。

・適用除外でないにもかかわらず未加入である建設企業は、下請企業として選定しない。

・建設業者たる元請企業は、再下請負通知書の「健康保険等の加入状況」欄により下請企業が社会保険に加入していることを確認する。

 

<作業員名簿の活用>

・令和元(2019)年度の建設業法等の一部改正により、実質的に作業員名簿の作成が義務化され、各作業員の加入している健康保険、厚生年金保険および雇用保険の加入状況に関する事項を記載することされている。これを受け、元請企業は、新規入場者の受入れに際して、各作業員(建設業に従事する者に限る)について作業員名簿の社会保険欄を確認する。

・確認の結果、全部または一部の保険について空欄となっている作業員等がある場合には、作業員名簿を作成した下請企業に対し、作業員を適切な保険に加入させるよう指導する。

・確認を行う際には、建設キャリアアップシステムの登録情報を活用し、同システムの閲覧画面等において作業員名簿を確認して保険加入状況の確認を行うことを原則とする。

・建設キャリアアップシステムを使用せず、社会保険の加入確認を行う場合、元請企業は下請企業に対し、社会保険の標準報酬決定通知書等関係資料のコピー(保険加入状況の確認に必要な事項以外を黒塗りしたものでも構わない)を提示させる(電子データによる確認も含む)など、真正性の確保に向けた措置を徹底する。

・上記の方法により保険加入状況が確認できない場合は、当該作業員は適切な保険に加入していることを確認できないと判断されることから、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いを徹底すべきである。

 

<今後の見通し>

当面は、「指導による徹底」が図られることになります。

しかし、ある程度まで浸透したタイミングで、罰則付きの法的義務とされることが予想されます。

また、これに伴い発生する下請企業の経営難や、下請企業の労働者の生活難への支援も行われることでしょう。

さらに、実質的には雇用している労働者を、形式的に請負扱いしている場合には、関係法令に抵触するため、一人親方との請負契約についても、行政の指導が徹底されるようになると考えられます。

 

解決社労士