経済財政運営と改革の基本方針2020

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2020/07/13|2,729文字

 

令和2年7月8日、政府は規制改革推進会議を開催し、経済財政運営と改革の基本方針2020(仮称)(原案)を公表しました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえた内容となっています。

 

<雇用の維持と生活の下支え>

・事業主に対しては、雇用調整助成金についてのオンライン申請の確実な稼働など手続きの簡素化等によるできる限り迅速な支給に加え、休業手当が支払われない中小企業の労働者に対しては、休業前賃金額の一部を休業実績に応じて直接支給する休業支援金の円滑な実行を通じ、雇用の維持に全力を尽くす。

・ニーズの高い職種、成長分野へのマッチングを進めるとともに、優良な職業紹介事業者の明確化等により、医療介護福祉保育等の人材を円滑に確保する。

コロナショックでダメージを受けた事業主・労働者への支援と、医療関係などの人材充実を目指しています。

 

<マイナンバー制度の抜本的改善>

・国民にとって使い勝手の良いものに作り変えるため、抜本的な対策を講ずる。

・2021年に必要な法制上の対応を行い、2022年を目途に、マイナンバーカードを活用して、生まれてから職場等、生涯にわたる健康データを一覧性をもって提供できるよう取り組むとともに、当該データの医療研究等への活用の在り方について検討する。

・マイナンバーカードの公的個人認証の活用により障害者割引適用の際に障害者手帳の提示が不要とできるよう、デジタル対応を推進する。

・在留カードとマイナンバーカードとの一体化について検討を進め、2021年中に結論を得る。

・運転免許証について、海外の事例を踏まえつつ、発行手続やシステム連携の在り方等を含めた検討を開始する。あわせて、自動車検査証および自動車検査登録手続についても、マイナンバーカードを活用した手続の一層のデジタル化の推進に向けて、検討を開始する。

・国税還付、年金給付、各種給付金(国民向け現金給付等)、緊急小口資金、被災者生活再建支援金、各種奨学金等の公金の受取手続の簡素化・迅速化に向け、マイナポータル等を活用し、公金振込口座設定のための環境整備を進める。様々な災害等の緊急時や相続時にデジタル化のメリットを享受できる仕組みを構築するとともに、公平な全世代型社会保障を実現していくため、公金振込口座の設定を含め預貯金口座へのマイナンバー付番の在り方について検討を進め、本年中に結論を得る。

マイナンバー関連のサービス充実による利便性の向上という、従来の方向性が維持されています。

「預貯金口座へのマイナンバー付番」など、賛否の別れる施策については、検討のうえ結論を出すことにしています。

マイナンバーカードに対する不信感や無関心への対応は示されていません。

 

<国・地方を通じたデジタル基盤の標準化の加速>

・行政手続のオンライン化、ワンストップ・ワンスオンリー化を抜本的に進める。

・原則として対面や押印の不要化、申請書類の可能な限りの縮減、法人データ連携基盤(Gビズコネクト)による情報連携等を加速する。特に、雇用調整助成金、運転免許証に係る運転可能期間の延長等について、電子申請等による手続の簡素化・迅速化の一層の促進に取り組む。

・建設業許可の電子申請化など関係手続のリモート化を進める。

密閉、密集、密接を避けて行政手続を行えるよう、急いで体制を整える方針です。

 

<働き方改革>

・労働時間の管理方法のルール整備を通じた兼業・副業の促進など複線的な働き方や、育児や介護など一人一人の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を労働者が自由に選択できるような環境を整備し、RPAの活用を含むさらなる生産性向上に向けた好循環を作り出す。あわせて、不本意非正規雇用の解消を図る。

・事業場外みなし労働時間制度の適用要件に関する通知内容の明確化や関係ガイドラインの見直しなど、実態を踏まえた就業ルールの整備に取り組む。

・ジョブ型正社員のさらなる普及・促進に向けた格好の機会と捉え、必要な雇用ルールの明確化や各種支援に取り組む。

・労働者が職務の範囲内で裁量的・自律的に業務を遂行でき、企業側においても、こうした働き方に即した、成果型の弾力的な労働時間管理や処遇ができるよう、裁量労働制について、実態を調査したうえで、制度の在り方について検討を行う。

・フリーランスの適正な拡大を図るため、保護ルールの整備を行う。

働き方改革は、労働力不足を踏まえて、同一労働同一賃金、年次有給休暇の取得促進、長時間労働の抑制、残業の制限などに取り組むものでした。

上記の内容は、新型コロナウイルス感染拡大を防止しつつ労働力を確保できる施策、雇用維持のための施策が中心となっており、大きく様変わりしています。

 

<書面・押印・対面主義からの脱却等>

・すべての行政手続を対象に見直しを行い、原則として書面・押印・対面を不要とし、デジタルで完結できるよう見直す。

・押印についての法的な考え方の整理などを通じて、民民間の商慣行等についても、官民一体となって改革を推進する。

行政手続と民間取引の両方について、対面を不要とすべく、押印の必要性見直しなどが進められます。

 

<最低賃金の引上げ>

・より早期に全国加重平均1,000円になることを目指すとの方針を堅持する。

・今は官民を挙げて雇用を守ることが最優先課題であることを踏まえ、今年度の最低賃金については、中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況を考慮し、検討を進める。

年々急速に最低賃金が上がっています。

コロナ禍の中、今年の最低賃金は引き上げるべきではないという意見もありますが、全国加重平均1,000円を目指す方針が維持されました。

ただ、雇用の維持の観点から、例年よりは引き上げ幅が縮小される見込みです。

 

<社会的連帯や支え合いの醸成>

・特定技能外国人の受入分野追加は、分野を所管する行政機関が人手不足状況が深刻であること等を具体的に示し、法務省を中心に適切な検討を行う。

・あわせて、技能実習制度について、運用の適正化を行う。

・これらを含めて、施行2年後の制度の在り方に関する見直しの検討を行う。

外国人の受け入れについては、大幅に修正せざるを得ません。

 

<本年度の特徴>

「経済財政運営と改革の基本方針2020」は、本来は年度方針ですから、1年間にわたって取り組むべき内容が示されるはずのものです。

しかし、現在の情勢下では、政府として新型コロナウイルス感染症への対応が喫緊の課題であることから、記載内容を絞り込み、今後の政策対応の大きな方向性に重点を置いたものとなっています。

よく言われるように、新型コロナウイルス感染症拡大が、世界を大きく変えるきっかけとなったことは間違いありません。

 

解決社労士