配偶者手当の見直し

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2019/10/24|1,415文字

 

<モデル就業規則の改訂>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版は、平成31(2019)年3月版です。

しかし、これ以前、平成28(2016)年3月版から平成30(2018)年1月版に改定されたとき、家族手当の規定から配偶者手当が削除されています。〔第33条〕

モデル就業規則は、労働基準法など労働法の改正があったときには、法改正に対応して適法な内容となるように改訂されています。

ですから、モデル就業規則が改訂されたときには、各企業の就業規則も変更しなければ、違法な内容を含んだままになる可能性が高いことになります。

また、政府の方針に変更があった場合や、政府が新しい方針を打ち出した場合にも、これに沿った改訂が行われます。

家族手当の規定から配偶者手当が削除されたのは、政府が少子高齢化対策の継続的な推進をより強化していることに対応しています。

 

<家族手当の規定> 

モデル就業規則の最新版では、家族手当が次のように規定されています。

 

【家族手当】

第33条  家族手当は、次の家族を扶養している労働者に対し支給する。

 ① 18歳未満の子

    1人につき  月額     円

 ② 65歳以上の父母

    1人につき  月額     円

 

 昔ながらの就業規則とは、その内容が大きく異なっています。

 

<配偶者手当の在り方>

モデル就業規則の中で、家族手当の規定がこのようになっているのは、配偶者手当の在り方について、厚生労働省が次のように考えているからです。

 

【配偶者手当の在り方】

配偶者手当は、税制・社会保障制度とともに、就業調整(働く時間の抑制)の要因となっています。今後人口が減少していく中で、働く意欲のあるすべての人がその能力を十分に発揮できるようにするため、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる収入要件がある配偶者手当については、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれます。

 

この考え方は、働き方改革の推進にも沿った内容となっています。

 

<配偶者手当の見直しに当たっての留意点>

配偶者手当を減額するにせよ、廃止するにせよ、現在手当を受けている従業員にとっては、不利益変更となります。

そのため、厚生労働省は配偶者手当の見直しに当たっては、次の点に留意するよう注意を呼びかけています。

 

【配偶者手当の見直しに当たっての留意点】

配偶者手当を含めた賃金制度の円滑な見直しに当たっては、労働契約法、判例等に加え、企業事例等を踏まえ、以下に留意する必要があります。

①ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組

②労使の丁寧な話合い・合意

③賃金原資総額の維持

④減額になる方への必要な経過措置

⑤決定後の新制度についての丁寧な説明

 

就業規則の変更にあたって、従業員のニーズを把握すること(①)、労使の話し合い(②)は、常に必要なことですし、働き方改革の推進にあたっては不可欠な手順です。

また、賃金の総額が減少するような変更は、就業規則の改定に名を借りた人件費削減であることが疑われます(③)。

そして、賃金が減額となる従業員に必要な経過措置(④)、たとえば調整給の支給などは、不利益変更をカバーするための措置です。

最後に、就業規則の変更については、周知することでその効力は発生しますが、配偶者がいない、または扶養していない従業員が、配偶者を扶養するようになっても、かつてのように配偶者手当は支給されないということを、丁寧に説明しておかなければ期待を裏切ることになりますので、この点で特別な配慮が必要だということです。

 

解決社労士 柳田 恵一