令和元年版労働経済白書

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<労働経済白書>

厚生労働省は、令和元(2019)年9月27日の閣議で「令和元年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)を報告し公表しました。

「労働経済白書」は、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書です。

今回の「労働経済白書」では、人手不足下における「働き方」について、「働きやすさ」と「働きがい」の観点から分析が行われています。

 

<白書の主なポイント>

厚生労働省は、白書の主なポイントを次のようにまとめています。

 

【白書の主なポイント】

・多くの企業が人手不足を緩和するために、求人条件の改善や採用活動の強化などの取り組みを強化している一方で、「働きやすさ」や「働きがい」を高めるような雇用管理の改善などについては、さらに取り組んでいく必要がある。

 

・「働きやすさ」の向上が定着率などを改善し、「働きがい」の向上が定着率に加え、労働生産性、仕事に対する自発性、顧客満足度などさまざまなアウトカムの向上につながる可能性がある。

 

・「働きがい」を高める取り組みとしては、職場の人間関係の円滑化や労働時間の短縮などに加えて、上司からの適切なフィードバックやロールモデルとなる先輩社員の存在を通じて、将来のキャリア展望を明確化することが重要である。

 

・質の高い「休み方」(リカバリー経験)が疲労やストレスからの回復を促進し、「働きがい」を高める可能性があり、仕事と余暇時間の境目をマネジメントする能力(バウンダリー・マネジメント)を高めていくことが重要である。

 

<第1のポイント 雇用管理の改善>

人手不足に対処するため、採用条件を良くしたり、募集採用活動に多額の経費をかけたりする企業は多いといえます。

「とにかく採用しなければ」という切実な思いの現われでしょう。

しかし、入社後の労働環境の改善、教育訓練の充実、キャリアアップの道筋の明確化、達成感を自覚できる人事考課制度の構築などには、手付かずということもあります。

せっかく苦労して採用した人材が、快適に働くことも、将来を見通すことも、充実感を得ることもできないのであれば、その心は会社から離れてしまいます。

採用することだけに重点を置くのではなく、採用後に定着してもらうための努力が求められているということです。

 

<第2のポイント 定着率と生産性の向上>

労働環境の改善により定着率は向上します。

これに加えて「働きがい」の向上は、モチベーションを向上させますから、意欲的な労働を誘発し、自分で考えて働くようになり、お客様にも喜ばれるという効果をもたらします。

自分で考えて行ったことの結果が評価されたり、お客様から感謝の言葉を戴いたりすれば、これがまたモチベーションを向上させて、らせん階段を駆け上がるような良い循環をもたらします。

 

<第3のポイント 働きがい向上の方法>

「働きがい」を高めるために、人間関係の円滑化や労働時間の短縮に取り組むべきだとしています。

会社の一方的な施策で、単純に労働時間を短縮すると、人間関係を良好に保つためのコミュニケーションの時間も減ってしまいます。

労働時間の短縮にあたっては、労使の話し合いや、労働者からの提案に基づいて行うことがポイントとなるでしょう。

上司からのフィードバックというのは、「上司から部下への指示 → 部下が業務を行う → 部下から上司に報告」までで止まってしまわず、「→ 上司から部下への評価・指導」という流れが続くことをいいます。

「ここは、自分で考えて行動できて良かった。ここは、こうすればもっと良くなった」という話が、上司から部下へのフィードバックとして行われていれば、部下の「働きがい」やモチベーションは向上します。

さらに、模範となる先輩社員を具体的に示せば、新人たちは自分が将来どうなっているべきかが分かり、将来のキャリア展望が明確になります。

実際には、模範となる先輩社員の自覚が高まり、最も成長するのではないでしょうか。

 

<第4のポイント 休み方改革>

完全に仕事から離れ、心身ともにリフレッシュできる時間を確保することによって、体力・気力・能力の高まった状態で仕事に取り組むことができます。

存分に能力を発揮できる状態での勤務は、とても気持ちの良いものであり、「働きがい」が感じられるものです。

これを可能にするためには、会社が従業員をきちんと休ませることが必要です。

年次有給休暇の取得促進の他、勤務間インターバル制度の活用もあります。

より具体的に、仕事の持ち帰りの禁止、プライベートの時間に仕事の連絡を取ることの禁止など、ルールを設定して、労使ともに遵守することが必要になってくるでしょう。

 

2019.10.07. 解決社労士 柳田 恵一