傷病手当金の支給が制限される場合

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<制限の理由>

傷病手当金は、健康保険により支給されます。

健康保険では、故意の犯罪行為など、制度の趣旨に反する恐れがあるときは、社会保険の公共性の見地から、給付の全部または一部について制限が行われます。

また、給付を行うことが事実上困難な場合や、他の制度から同様の給付が行われた場合の調整により、給付が制限される場合もあります。

 

<健康保険に共通の理由>

次のような場合には、健康保険に共通の制限または調整が行われます。

 

・故意の犯罪行為または故意に事故を起こしたとき

・喧嘩や酩酊など著しい不行跡により事故を起こしたとき

・正当な理由がなく医師の指導に従わないか保険者の指示による診断を拒んだとき

・詐欺その他不正な行為で保険給付を受けたとき、または受けようとしたとき

・正当な理由がないのに保険者の文書の提出命令や質問に応じないとき

・感染症予防法等他の法律によって、国または地方公共団体が負担する療養の給付等があったとき

 

<給与が支払われた場合>

傷病手当金は、働けず給与の支給が無い場合に、収入を補うための制度です。

ですから、休業期間中に給与の支払いがあった場合には、原則として、傷病手当金が支給されません。

ただし、休業中に支払われる給与の日額が、傷病手当金の日額よりも少ない場合には、その差額が支給されます。

 

<出産手当金と重なる場合>

女性が産前産後休業で出産手当金を受給している場合に、出産手当金と傷病手当金の給付を同時に受けることはできません。

ただし、傷病手当金の金額が出産手当金の金額を上回っている場合、その差額が支給されます。

出産手当金も傷病手当金も、1日当たりの金額は次のように計算されます。

 

支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × (2/3)

 

ただし、支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合は、次のア・イのうち低い額となります。

ア 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額

イ 標準報酬月額の平均額(現在は30万円)

 

計算式は同じなのですが、出産手当金と傷病手当金とで「支給開始日」が異なりますので、具体的な金額に差が生じることもあるのです。

 

<労災保険の給付と重なる場合>

労災保険から休業(補償)給付を受けている場合、これは業務(通勤)上の傷病によって働けない状態であることが前提となっています。

ところが、別の勤務先で健康保険に加入していて、私傷病で働けない状態となった場合には、傷病手当金の手続が行われることもあります。

こうした場合には、休業(補償)給付の日額が傷病手当金の日額を下回っている差額分だけが、傷病手当金として支給されます。

 

<障害厚生年金・障害手当金と重なる場合>

障害厚生年金(年額)の360分の1の金額が傷病手当金の日額を下回っている場合には、その差額分が傷病手当金として支給されます。

また、障害手当金が支給されている場合には、その金額に傷病手当金の合計額が達した日以降、傷病手当金が支給されるようになります。

 

<老齢年金と重なる場合>

健康保険の資格喪失後、傷病手当金の継続給付を受けている間に、老齢年金を受給することがあります。

この場合、老齢年金(年額)の360分の1の金額が傷病手当金の日額を下回っている場合には、その差額分が傷病手当金として支給されます。

 

2019.09.14. 解決社労士 柳田 恵一