採用面接後の辞退を防ぐには

LINEで送る

<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を原則として書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

1人につき30万円の損失で済むわけではなく、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。

というのは労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も、取得した場合の給与計算の方法も不明です。月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。こうしたことから、労働条件を通知しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と表明しているようなものだからです。

平成31(2019)年4月からは、使用者に年次有給休暇を取得させる義務が課されます。これに全く対応できていない状態であれば、採用後に辞退されても仕方がないでしょう。

 

<通知義務のある法定事項>

通知義務のある事項は、次に示すように多岐にわたります。

 

【書面による通知義務がある事項】

1. 労働契約の期間

2. 就業の場所、従事する業務の内容

3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項

5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

さらに、パートタイマー(短時間労働者)については、現在でもパートタイム労働法により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

【口頭による通知義務がある事項】

1. 昇給に関する事項

2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項

3. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4. 労働者に負担される食費、作業用品その他に関する事項

5. 安全・衛生に関する事項

6. 職業訓練に関する事項

7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8. 表彰、制裁に関する事項

9. 休職に関する事項

 

これらの事項は、労働条件通知書に漏れていても違法ではありません。

ただし、現在でもパートタイマー(短時間労働者)については、1.~3.の事項がパートタイム労働法により、文書の交付等による労働条件明示が必要な事項とされています。

 

<労働条件の事前公開>

応募者が採用面接後に辞退したくなる理由は、面接官の態度・対応への不満もありますが、主にシフトや仕事内容など労働条件が事前のイメージと違うというのが最も多いのです。

これは、求人広告の内容にすべてを盛り込むのが困難で、具体的なことよりも、良いイメージを抱かせようとする記述が多くなってしまうことが原因でしょう。

求人広告への応募を検討する場合、多くの求職者は、会社のホームページを参考にします。

求人広告に書ききれないことは、ここに詳しく具体的に示しておきましょう。

就業の場所は写真も添えることをお勧めします。

表彰制度があるのなら、表彰式の様子や表彰状も掲載しましょう。

「こんなものを載せたら応募者が減るのでは?」という心配は無用です。入社してから事実を知り、ショックを受けて突然退職されるよりは、応募前にすべてを知ったうえで採用面接を受けてもらう方が、会社の負担も減るというものです。

 

<教育の情報も忘れずに>

会社のホームページに求人情報を掲載するのであれば、「どの仕事を誰がどのように教えるのか」も具体的に明示しておきましょう。

応募者の過去の実務経験に頼ったり、自己啓発に任せたりというのでは、特に若者は応募してきません。

表示できる情報が無いのであれば、新たに仕組みを作ってでも掲載すべきです。

 

2019.03.21.解決社労士