残業削減とアマゾンの1%ポイント還元

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<ポイント還元を巡る問題>

2019年2月26日、公正取引委員会が、ネット通販大手のアマゾンジャパンを調査する方針を固めたそうです。

アマゾンジャパンでは、5月23日に1%ポイント還元を導入する予定ですが、これはポイント還元の費用を出品者の負担とするものです。

アマゾンジャパンが、出品者に対する優越的地位を濫用して、出品者との契約を一方的に変更するのであれば、独占禁止法に触れる可能性があります。

出品者の負担で、アマゾンジャパンが利益を得るというのは、弱い者いじめになるのではないかということです。

もちろん、アマゾンジャパンが自分の負担でポイント還元を行うのであれば、こうした問題は発生しません。

 

<残業削減を巡る問題>

働き方改革の一環で、残業削減が進んでいます。

会社が一方的に、全社員に命じて残業時間を減らさせた場合には、残業手当も減ります。

これで業務の停滞が無く、売上が低下しないのであれば、会社の社員に対する優越的地位を濫用して、社員の負担で会社が利益を得る形になります。

アマゾンジャパンの出品者であれば、商品の価格をわずかに上げて対応できるのかもしれません。

しかし、社員は自分の基本給を少し上げて対応することなどできません。

 

<働き方改革の本質>

そもそも働き方改革とは何なのか、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革に関する現在までの動向をもとに考えると、その本質は「働き手の不安を解消し満足度を高めるための多面的な施策により、労働生産性( 付加価値額 / 実労働時間 )を向上させる変革」といえるでしょう。

それぞれの企業にとっては、「働き方の効率と社員の向上心を高めて、企業の利益を伸ばす改革」ともいえます。

長期的に見れば企業の安定と成長を促す施策ばかりですが、目先にとらわれると企業の負担が強く意識されますので、関係法律の整備により政府が推進する形がとられています。

中小企業であっても、従業員の希望を少し叶えて、会社の利益を伸ばす作戦であることを納得し、積極的に働き方改革に取り組まなければなりません。

 

<現実的な対応>

社員が逃げ出さないようにするための現実的な対応としては、次のようなものがあります。

 

・残業削減の指示とともに基本給を一律増額する。

・残業代が削減された実績を踏まえて賞与に生産性向上手当を上乗せする。

 

こうしたことは、中小企業でも現に行われています。

働き方改革が進まない会社から、働き方改革が正しく進んでいる会社へと、労働者の移動が盛んになっているように思われます。

実際、働き方改革が正しく進んでいる会社では、「人手不足」という言葉がピンと来ません。

求人広告を出せば、すぐに多くの応募者が連絡してきます。

すでに「人手不足」が発生している会社では、働き方改革への取組みを急いだほうが良いと思います。

 

2019.03.01.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。