正社員など通常の労働者と同視される短時間・有期雇用労働者の待遇

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<法改正による対象者の拡張>

「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」には次の規定があります。

 

【通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止】

第九条 事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

 

この法律は改正され、名称が「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」となって、2020年4月1日に施行されます。

対象者が短時間労働者だけでなく、有期雇用労働者に拡張されます。

その施行に先立ち、2019年1月30日に詳細な通達が出されています。

 

<差別的取扱いの禁止>

短時間・有期雇用労働者の職務の内容や「職務の内容及び配置」の変更の範囲(人材活用の仕組み、運用等)といった就業の実態が、正社員など通常の労働者と同様であるにもかかわらず賃金などの取扱いが異なるなど、短時間・有期雇用労働者の待遇は就業の実態に見合った公正なものとなっていない場合があります。

しかし、就業の実態が通常の労働者と同じ短時間・有期雇用労働者については、全ての待遇について通常の労働者と同じ取扱いがなされるべきだとされます。

つまり、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならないということです。

 

ただし、「職務の内容及び配置」の変更の範囲が、事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、正社員など通常の労働者と同一であることが条件となっています。

これは、その事業所の慣行その他の事情からみて、事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容・配置が、正社員など通常の労働者の職務の内容・配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるということです。

なぜなら、我が国における雇用管理が長期的な人材育成を前提になされていることが多いため、差別的取扱いの禁止の規定の適用に当たっては、ある一時点において短時間・有期雇用労働者と通常の労働者が従事する職務が同じかどうかだけでなく、長期的な人材活用の仕組み、運用等についてもその同一性を判断する必要があるからです。

 

<具体的な対応としては>

「正社員」「パート社員」「契約社員」などの用語は、法律用語ではありません。ですから、こうした言葉の意味内容は、それぞれの会社が自由に決めています。

実際のところ、「正社員」の求人広告に応募して採用されると正社員として扱われ、「契約社員」の求人広告に応募して採用されると契約社員として扱われています。

そして、勤務時間の違いこそあれ、仕事の中身が全く同じになってしまっていることは少なくありません。

仕事内容が同じなら、待遇も同じであるのが正常なのですが、本人が納得?しているだろうということで、待遇の差が退職まで残っているという不合理が見られます。

正社員などフルタイムの労働者よりも、勤務時間が短かったり、勤務日数が少なかったりする「短時間労働者」については、現在でも差別的取扱いが禁止されています。

これが、2020年4月1日になると、フルタイムの労働者ではあるものの、契約期間に区切りのある有期雇用労働者に対しても、この法律が適用されるようになるということです。

従業員の待遇を決定するに当たっては、職務の内容や「職務の内容及び配置」の変更の範囲を基準としなければならなくなったわけです。

 

2019.02.10.解決社労士