医師による面接指導についての労働安全衛生法の解釈基準

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<労働基準局長の通達>

平成30(2018)年12月28日、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あてに、働き方改革を推進するための関係法律整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法関係の解釈について、指針となる通達が出されました。

医師による面接指導について、主なものは次のような内容となっています。

 

<医師による面接指導の対象となる労働者の基準>

新安衛則第52 条の2第1項の規定では、時間外・休日労働時間が1月当たり80 時間を超えた場合(かつ、当該労働者が疲労の蓄積の認められる者である場合)に面接指導の対象となります。所定労働時間が1週間当たり40 時間に満たない事業場では、この所定労働時間ではなく、1週間当たり40 時間の法定労働時間を基準として算定することになります。

 

<労働者への労働時間に関する情報の通知>

労働者に通知する「当該超えた時間に関する情報」とは、時間外・休日労働時間数を指し、通知対象は、その超えた時間が1月当たり80 時間を超えた労働者です。この通知は、疲労の蓄積が認められる労働者の面接指導の申出を促すものであり、「当該超えた時間に関する情報」のほか、面接指導の実施方法・時期等の案内を併せて行うことが望ましいとされます。

事業者は、新安衛則第52 条の2第2項の規定により、1月当たりの時間外・休日労働時間の算定を毎月1 回以上、一定の期日を定めて行う必要があり、その時間が1月当たり80 時間を超えた労働者に対して、その超えた時間を書面や電子メール等により通知する方法が適当とされます。ただし、給与明細に時間外・休日労働時間数が記載されている場合には、これをもって「当該超えた時間に関する情報」の通知としても差し支えありません。なお、「当該超えた時間」の算定後、速やか(おおむね2週間以内)に通知する必要があります。

労働者が自らの労働時間に関する情報を把握し、健康管理を行う動機付けとする観点から、時間外・休日労働時間が1月当たり80 時間を超えない労働者から、労働時間に関する情報について開示を求められた場合には、これに応じることが望ましいとされます。

 

<労働時間の状況の把握>

新安衛法第66 条の8の3に規定する「労働時間の状況」の把握とは、労働者の健康確保措置を適切に実施する観点から、労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものです。事業者が「労働時間の状況」を把握する方法としては、原則として、タイムカード、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録、事業者(事業者から「労働時間の状況」を管理する権限を委譲された者を含む。)の現認等の客観的な記録により、労働者の労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録等を把握しなければなりません。なお、「労働時間の状況の把握」は、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第54条第1項第5号に掲げる賃金台帳に記入した労働時間数をもって、それに代えることができます。ただし、労基法第41 条各号に掲げる者(管理監督者等)並びに労基法第38条の2に規定する事業場外労働のみなし労働時間制が適用される労働者並びに労基法第38条の3第1項および第38条の4第1項に規定する業務に従事する労働者(裁量労働制の適用者)については、この限りではないものとされます。

面接指導の要否については、休憩時間を除き1週間当たり40 時間を超えて労働させた場合の超えた時間(時間外・休日労働時間)により判断することとされていますが、個々の事業場の事情により、休憩時間や食事時間を含めた時間により、労働時間の状況を把握した場合には、その時間をもって、面接指導の要否を判断することとしてもかまいません。

なお、労働時間の状況を把握しなければならない労働者には、裁量労働制の適用者や管理監督者も含まれます。

 

<やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合>

労働時間の状況の把握方法について、「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」としては、例えば、労働者が事業場外において行う業務に直行または直帰する場合など、事業者の現認を含め、労働時間の状況を客観的に把握する手段がない場合があり、この場合に該当するかは、その労働者の働き方の実態や法の趣旨を踏まえ、適切な方法を個別に判断します。

ただし、労働者が事業場外で行う業務に直行または直帰する場合でも、例えば、事業場外から社内システムにアクセスすることが可能であり、客観的な方法による労働時間の状況を把握できる場合もあるため、直行または直帰であることだけを理由として、自己申告により労働時間の状況を把握することは、認められません。

また、タイムカードによる出退勤時刻や入退室時刻の記録やパーソナルコンピュータの使用時間の記録などのデータがある場合や事業者の現認によりその労働者の労働時間を把握できるのに、自己申告だけで労働時間の状況を把握することは、認められません。

 

<労働時間の状況を自己申告により把握する場合>

労働時間の状況を自己申告により把握する場合には、その日の労働時間の状況を翌労働日までに自己申告させる方法が適当とされます。

なお、労働者が宿泊を伴う出張を行っているなど、労働時間の状況を労働日ごとに自己申告により把握することが困難な場合には、後日一括して、それぞれの日の労働時間の状況を自己申告させることとしても差し支えありません。

ただし、このような場合であっても、事業者は、新安衛則第52条の2第2項および第3項の規定により、時間外・休日労働時間の算定を毎月1回以上、一定の期日を定めて行う必要があるので、これを遵守できるように、労働者が出張の途中であっても、その労働時間の状況について自己申告を求めなければならない場合があることには、留意する必要があります。

 

2019.01.19.解決社労士