産業医の役割強化についての労働安全衛生法の解釈基準

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<労働基準局長の通達>

平成30(2018)年12月28日、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あてに、働き方改革を推進するための関係法律整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法関係の解釈について、指針となる通達が出されました。

産業医の役割強化について、主なものは次のような内容となっています。

 

<産業医の権限の具体化>

産業医が労働者の健康管理等を行うために必要な情報を労働者から収集する方法としては、作業場等を巡視する際などに、対面により労働者から必要な情報を収集する方法のほか、事業者から提供された労働時間に関する情報、労働者の業務に関する情報等を踏まえて選定した労働者を対象に、職場や業務の状況に関するアンケート調査を実施するなど、文書により労働者から必要な情報を収集する方法等があります。

労働者が産業医に提供した情報の内容等がその労働者の同意なしに、事業者、人事担当者、上司等に伝達されることは、適正な情報の取扱い等が阻害されることとなります。そのため、産業医は、労働者の健康管理等を行うために必要な情報を収集しようとする際には、その情報の収集対象となった労働者に人事上の評価・処遇等について、事業者が不利益を生じさせないようにしなければなりません。また、事業者は、産業医がその情報を収集する際の具体的な取扱い(対象労働者の選定方法、情報の収集方法、情報を取り扱う者の範囲、提供された情報の取扱い等)について、あらかじめ、衛生委員会または安全衛生委員会で審議し、決定しておくことが望ましいといえます。

「労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合」とは、保護具等を使用せずに、有害な化学物質を取り扱うことにより、労働災害が発生する危険のある場合のほか、熱中症等の徴候があり、健康を確保するため緊急の措置が必要と考えられる場合などが含まれます。

 

<産業医等に対する健康管理等に必要な情報の提供>

事業者が産業医等に提供する労働者の健康管理等を行うために必要な情報のうち、「休憩時間を除き1週間当たり40 時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間(以下「時間外・休日労働時間」という。)が1月当たり80 時間を超えた労働者の氏名、当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報」について、対象となる労働者がいない場合でも、「該当者がいない」という情報を産業医に情報提供する必要があります。

また、「労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの」には、①労働者の作業環境、②労働時間、③作業態様、④作業負荷の状況、⑤深夜業等の回数・時間数などのうち、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるものが含まれます。なお、必要と認めるものについては、事業場ごとに、あらかじめ、事業者と産業医とで相談しておくことが望ましいとされます。さらに、健康管理との関連性が不明なものについて、産業医等から求めがあった場合には、産業医等に説明を求め、個別に確認することが望ましいとされます。

事業者が産業医等に情報を提供する方法としては、書面による交付のほか、磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録して提供する方法や電子メールにより提供する方法等があります。産業医等に提供した情報については、記録・保存しておくことが望ましいとされます。

 

<労働者からの健康相談に適切に対応するために必要な体制の整備等>

労働者が産業医等による健康相談を安心して受けられる体制を整備するために、事業者は産業医による健康相談の申出の方法(健康相談の日時・場所等を含む。)、産業医の業務の具体的な内容、事業場における労働者の心身の状態に関する情報の取扱方法を、労働者に周知させる必要があります。

また、労働者数50 人未満の事業場については、新安衛法第101 条第3項に基づき、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師または保健師(医師等)を選任した事業者は、労働者に周知させるように努めなければなりません。

周知方法としては、各作業場の見やすい場所に掲示等するほか、書面により労働者に通知すること、イントラネット等により労働者がその事項の内容に電子的にアクセスできるようにすることなどが適当です。

なお、保健指導、面接指導、健康相談等は、プライバシーを確保できる場所で実施できるように、配慮するとともに、その結果については、心身の状態の情報指針に基づき事業場ごとに策定された取扱規程により、適切に取り扱う必要があります。

 

2019.01.18.解決社労士