年5日以上の年次有給休暇の確実な取得についての労働基準法の解釈基準

2022/02/25|1,056文字

 

年次有給休暇が会社に勝手に使われた

 

<労働基準局長の通達>

労働基準法に定められている「年5日以上の年次有給休暇の確実な取得」について、企業が独自の解釈に基づき運用している例が見られます。

しかし、平成30(2018)年12月28日、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あてに、働き方改革を推進するための関係法律整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について、指針となる通達が出されています。

その主な内容は次のとおりです。

 

<使用者による時季指定>

使用者による時季指定は、必ずしも基準日からの1年間の期首に限られず、その期間の途中に行うこともできます。

 

<使用者による時季指定の対象となる労働者>

「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」は、基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者をいいます。

年次有給休暇の比例付与の対象者となる労働者であって、今年度の基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日未満の労働者については、前年度繰越分の年次有給休暇を合算して10労働日以上となったとしても、「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」には含まれません。

 

<半日・時間単位での時季指定・取得>

労働者の意見として、半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合には、時季指定を半日単位で行ってもかまいません。

半日単位の時季指定も、労働者が半日単位で取得した年次有給休暇も、0.5日としてカウントされます。

しかし、時季指定を時間単位で行うことはできませんし、労働者が時間単位で年次有給休暇を取得しても「年5日以上の年次有給休暇」にはカウントされません。

 

<前年度から繰り越された年次有給休暇>

「年5日以上の年次有給休暇」は、当年度の基準日に付与された年次有給休暇でも、前年度からの繰越分の年次有給休暇でもかまいません。

 

<時季変更の可否>

使用者が指定した時季を、労働者の意見を尊重することによって変更することはできます。

 

<年5日を超える時季指定>

労働者の時季指定権を確保するため、5日を超える日数を指定することはできません。

 

<時季指定後に労働者が自ら年次有給休暇を取得した場合>

当初使用者が行った時季指定は、使用者と労働者との間で特別な取決めをしていない限り、当然に無効となるものではありません。

 

<就業規則の規定>

休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項であるため、使用者が時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲や時季指定の方法等について、就業規則に定めておく必要があります。

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