労働者が能力を有効に発揮できるように(労働施策基本方針)

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<労働施策基本方針>

平成30(2018)年12月28日、「労働施策基本方針」が閣議決定されました。

「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」では、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針を定めなければならないこととされています。

これに基づき、厚生労働省では、労働政策審議会労働施策基本方針部会での議論を踏まえ、労働施策基本方針を取りまとめました。この方針には、働き方改革実行計画に規定されている施策を中心とし、労働施策に関する基本的な事項、その他重要事項などが盛り込まれています。

厚生労働省は、今後、この方針に基づき、誰もが生きがいを持ってその能力を最大限発揮することができる社会の実現に向けて取り組んでいくとしています。

 

この労働施策基本方針の中では、一企業が取り組むには無理のある課題が次のように説明されています。

枠内は原文をそのまま引用したものです。

 

【商慣行の見直しや取引条件の適正化】

特に、中小企業等においては、発注者からの著しく短い期限の設定や発注内容の頻繁な変更に応えようとして長時間労働になる傾向にあることから、商慣行の見直しや取引条件の適正化を進めることが重要である。そのため、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)に基づき、著しく短い期限の設定及び発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮し、事業者の取引上必要な配慮が商慣行に浸透するよう、関係省庁が連携して必要な取組を推進する。加えて、国等が行う契約においても「平成30年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」(平成30年9月7日閣議決定)に基づき、物件等の発注に当たっては、早期の発注等の取組により平準化を図り、適正な納期・工期を設定するよう配慮する。 また、労働基準関係法令違反の背景に、極端な短納期発注等に起因する下請代金 支払遅延等防止法(昭和31年法律第 120 号)等違反が疑われる事案について、厚生労働省から公正取引委員会や中小企業庁に通報する制度の強化を図る。

 

ここに掲げられている事項は、確かに国の力を借りなければ到底実現できないことでしょう。

しかし、たとえば取引先との間で、夜8時以降の電話やファックス送信はしないという取り決めをするだけでも、かなり時間外労働を削減することができます。「夜8時以降の電話やファックスはできない」と意識するだけでも、仕事の進め方が変わってくるでしょう。

また、土日の納品や工事は受けないという思い切った見直しも考えられます。納品を受ける側にも、工事の立会いをする側にも、休日出勤が発生するかも知れません。売り上げが減少するリスクもありますが、社員の定着率向上などの良い効果が期待できます。

 

【生産性向上による労働条件の改善】

労働条件の改善を実現するためには、生産性の向上が重要である。しかし、中小企業等は、大企業と比べ、資本が脆弱で効率化に向けた設備投資が困難である場合が多いことから、賃金引上げや経営力の向上につながるような、生産性向上に資する設備投資等に対する支援を行う。また、働き方改革推進支援センターにおいて、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会等と連携して、好事例や支援策を提示するなど、丁寧な相談・支援に努める。

 

人海戦術あるいは労働集約と呼ばれる人手に頼るやり方は、昭和時代であれば美化されている業界も多かったと思います。

しかし、平成時代に入ってからは、こうした業界で働くことを若者が拒み、女性や高齢者がついて行けなくなって、極端な人手不足に苦しむようになってしまいました。

ここから脱却するためには、機械化、IT化などが必須となりますが、中小企業では初期投資が困難であるため、商工会議所などとの連携が必要となるわけです。

 

【働くことについての教育】

AI等の技術革新や働き方の変化も踏まえつつ、若者に働く意義や労働市場の実態の理解を促す等の教育は、適性・能力に応じた就職の実現の基盤であり、各個人・ 経済活動全体の生産性向上にも資する重要な意義を有するものである。このため、学校から職場への移行を円滑にするため、文部科学行政と厚生労働行政の連携強化を図り、学校段階において職場見学やセミナー、インターンシップ等による職業意識啓発等の取組を積極的に推進する。また、多様な就業形態が増加する中で、労働関係法令や各種ルールについて知ることは、労働関係の紛争や不利益な取扱いの未然の防止に役立つとともに、働き方を選択する上で重要であるため、 高校生などの若年者に対して、労働関係法令や社会保障制度に関する教育を推進する。

 

偏差値教育は昭和時代の末期にピークを迎え、その後はゆとり教育に移行したのですが、これもまた見直されています。

少子高齢化で労働力人口が減少しているうえに、働ける年齢層の人々がニートになってしまっては、働き手が不足するのは目に見えています。

こうした事態を防ぐため、学校教育の中でも、働くことについて積極的に学ばせることになっています。

 

2019.01.07.解決社労士