長時間労働に対する面接指導の法改正

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<面接指導対象者の拡充>

平成31(2019)年4月1日付の働き方改革関連法の改正は、労働基準法だけでなく労働安全衛生法にも重要なものが含まれています。

 

【医師による面接指導の対象者】

一般労働者に対する医師による面接指導の対象を、現行の「1月当たり100時間超」から「1月当たり80時間超」へ見直し。〔労働安全衛生法66条の8 1項、労働安全衛生規則52条の2 1項〕

 

これは、労働基準法36条6項2号の改正により、労働時間を延長して労働させた時間と、休日に労働させた時間の合計が、1か月について100時間未満とされたことに呼応するものです。

もっとも、面接指導は労働者からの申し出により行われるものです。〔労働安全衛生規則52条〕

 

<対象者への情報提供>

 

【長時間労働者への通知】

長時間労働者(1月当たり80時間超)に対し、労働時間の状況に関する情報の通知を事業者に義務付け。〔労働安全衛生規則52条の2 3項〕

 

医師による面接指導の対象者であることを本人が認識していなければ、面接指導を希望し申し出るというのは困難ですから、事業者にこのような通知義務を負わせたものです。

もちろん、単純に労働時間の状況を通知しただけでは、これを受けた労働者が事業者の意図を誤解しかねませんから、医師による面接指導の対象者であることも併せて通知すべきです。

 

<研究開発業務従事者の例外>

 

【研究開発業務従事者の場合の面接指導対象者】

新技術、新商品等の研究開発業務に従事する労働者が、長時間労働(労働安全衛生規則により1月当たり100時間超時間外・休日労働)を行った場合、申出なしで医師による面接指導の実施を事業者に義務付け。〔労働安全衛生法66条の8の2〕

 

こちらは、労働者からの申出がない場合でも事業者に実施義務がありますし、50万円以下の罰金という罰則も規定されています。〔労働安全衛生法120条〕

なお、高度プロフェッショナル制対象労働者については、「労働時間」が「健康管理時間」に読み替えられて適用されます。

 

<労働時間把握義務>

医師による面接指導の対象者は、労働時間によって抽出される仕組みですから、事業者による労働時間の把握が客観的で適切な方法によらなければなりません。

従来は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定され、各事業者はこれを参考に労働時間を把握するように努めるものとされてきました。

しかし、今回の労働安全衛生法の改正により、労働時間の適正な把握は法的な義務となりました。

 

【労働時間の把握】

・客観的な方法その他適切な方法により労働時間の状況を把握することを事業者に義務付け。〔労働安全衛生法66条の8の3〕

・労働時間の把握方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピューター等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。〔労働安全衛生規則52条の7の3 1項〕

・把握した労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存するための必要な措置を講じなければならない。〔労働安全衛生規則52条の7の3 2項〕

 

この労働時間の把握義務ですが、その目的は労働者の健康管理にあります。

このことから、労働時間の把握が対象外とされてきた管理監督者についても、事業者は労働時間を適正に把握することが求められるようになりました。

 

2018.12.24.解決社労士