賃上げの実態と働き方改革

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<毎月勤労統計調査>

平成30(2018)年11月22日、厚生労働省が「毎月勤労統計調査」の平成30年9月分結果確報を公表しました。

 

【前年同月との比較】

・現金給与総額は、一般労働者が346,970円(1.2%増)、パートタイム労働者が97,339円(0.6%増)、パートタイム労働者比率が30.98%(0.20ポイント上昇)、就業形態計では269,656円(0.8%増)となった。

なお、一般労働者の所定内給与は311,152円(1.0%増)、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,141円(2.5%増)となった。

・就業形態計の所定外労働時間は10.5時間(3.6%減)となった。

 

つまり、現金給与総額は増加傾向にあり、所定外労働時間は減少しています。

明らかに時間単価が上昇しています。

 

<賃金引上げの実態調査>

平成30(2018)年11月27日、厚生労働省が「平成30 年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」をとりまとめ公表しました。

これによると、定期昇給やベアによる1人平均の賃上げ額は月額5,675円で、比較可能な1999年以降で過去最高を2年連続で更新しました。賃上げ率は2.0%と前年比横ばいでした。

 

【ポイント】

1 賃金の改定

・平成30年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)で、前年より上昇した。

・平成30 年の1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,675円(前年5,627 円)で、前年より増加、改定率は2.0%(同2.0%)で、前年と同水準となった。

 

2 定期昇給等の実施

・平成30年中の賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施しまたは予定している企業および賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同 77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇した。

・定期昇給制度がある企業のうち、平成30年中にベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同 26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇した。

 

<働き方改革との関係>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料、そして現在までの動向をもとに考えると「社員満足度向上により、労働意欲と健康状態を回復させて、労働生産性を高める急速かつ多面的な施策」といえるでしょう。

ここで、労働生産性を高めるために人件費を削減、あるいは従業員の手取り額を減らすことは、明らかに社員満足度を低下させますから、働き方改革にはなりません。

 

テレビで新橋のサラリーマンがインタビューに答えているのを観ていると、「働き方改革のせいで残業代が減り手取りが減った」「働き方改革のせいで妻の勤務時間が減り収入が減った」という声が多数聞かれます。

しかし、統計調査を見る限り、残業は減って給与は増えたということになっています。

これは飽くまでも平均値です。

中には働き方改革にかこつけて、賃金を削っている企業もあるのでしょう。

こうした間違った「働き方改革」を行っている企業には人が集まりません。むしろ、離れていく人が増えてしまいます。

 

働き方改革への向き合い方で、企業が淘汰される時代に入るのでしょう。

 

2018.12.01.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。