労働条件のメールによる通知

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<労働契約の成立条件>

労働契約は、使用者と労働者との口頭による合意で成立しますので、労働条件通知書を交付しなくても、労働契約そのものの効力には影響しません。〔民法623条〕

 

<書面による通知義務のある法定事項>

しかし、労働契約の成否とは別に、労働者を保護するため、労働条件のうち次の法定事項は使用者から労働者に書面で通知する必要があります。〔労働基準法15条1項〕

これを怠ると、1人につき30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法120条〕

 

【書面による通知義務がある事項】

1. 労働契約の期間2. 就業の場所、従事する業務の内容

3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項

5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

さらに、パートタイマー(短時間労働者)については、パートタイム労働法により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

<口頭で通知すれば良い事項>

労働条件のうち次の事項は、書面によらず口頭で通知しても良い事項です。とはいえ、トラブルが発生すれば、言った/言わないの争いとなりやすいわけですから、何らかの証拠を残しておく必要はあります。

 

【口頭による通知義務がある事項】

1. 昇給に関する事項2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項

3. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4. 労働者に負担される食費、作業用品その他に関する事項

5. 安全・衛生に関する事項

6. 職業訓練に関する事項

7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8. 表彰、制裁に関する事項

9. 休職に関する事項

 

これらの事項は労働条件通知書に漏れていても大丈夫です。ただし、パートタイマー(短時間労働者)については、1.~3.の事項がパートタイム労働法により、文書の交付等による労働条件明示が必要な事項とされています。

 

<労働条件のメールによる通知>

厚生労働省は労働基準法に基づく省令を改正して、平成31(2019)年4月からは、書面に代えて電子メールやファクスなどによる労働条件の通知を可能にする予定です。

ただし、これは希望した労働者だけに限った措置とされ、労働者が電子メールなどでの受け取りを拒む場合には、これまで通り書面で交付する必要があります。

労働者からの希望があったという証拠を残しておかずに、電子メールによる労働条件通知を行った場合、これもまた言った/言わないの争いとなりやすいわけですから、何らかの証拠を残しておく必要があります。

 

2018.10.22.解決社労士