複数の会社で働く場合の社会保険と労働保険

LINEで送る

 

次の2つの場合について比較してみましょう。

A : 1つの会社で週40時間働いて約40万円の月給を得る場合

B : 2つの会社で、それぞれ週約20時間働いて、それぞれ約20万円の月給を得る場合

 

<年金保険>

Aの場合には、厚生年金に加入し、厚生年金保険料が給与から控除されます。扶養している配偶者について、保険料を負担せず国民年金に加入できます(第三号被保険者)。

Bの場合には、原則として厚生年金には加入せず、自分で手続きをして国民年金に加入します。扶養している配偶者も、国民年金に加入し保険料を負担します。

将来老齢年金を受け取る場合には、厚生年金の方が有利ですし、これは障害年金や遺族年金でも同様です。

 

例外的にBの場合で、片方の会社が特定適用事業所の場合には、その会社で厚生年金に入ります。特定適用事業所には、任意特定適用事業所が含まれます。

保険料は、その会社の給与や賞与が基準となり、将来受ける年金も保険料に見合ったものとなります。

 

さらに、Bの場合で、両方の会社が特定適用事業所の場合には、両方の会社で厚生年金に入ります。

この場合、「健康保険・厚生年金保険所属選択・二以上事業所勤務届」という書類をメインとなる会社の所轄年金事務所に提出します。

大雑把に言うと、両方の会社の給与を合算して保険料の総額を確定し、各会社の給与の額に応じて按分した金額が、それぞれの会社の保険料となります。

ですから、2つの会社が連動して手続きを行うことになります。

 

<健康保険>

健康保険への加入については、厚生年金への加入とほぼ同様のことがいえます。

Bの場合に、健康保険に入らなければ、たとえばプライベートの傷病で会社を長期間休業しても傷病手当金がもらえません。

片方の会社だけで健康保険に入った場合には、その会社の月給に見合った傷病手当金しかもらえません。

 

<雇用保険>

週20時間以上の勤務の場合に雇用保険に加入します。

しかし、Bの場合のように2つの会社で勤務し、どちらも週20時間以上の勤務であっても、メインの会社の方だけ雇用保険に入ります。

もし、その会社を辞めたら、もう片方の会社で雇用保険に入ります。片方の会社だけ辞めても失業の状態にはなりませんから、失業手当(求職者給付の基本手当)はもらえません。

 

<労災保険>

Bのように、2つの会社で勤務する場合には、どちらの会社での労働災害についても労災保険が適用されます。

ただし、労災事故が発生した側の会社についてのみ給付が行われます。

たとえば、休業した期間の賃金の補償については、その会社の給与のみが基準となります。

 

<結論として>

Bの方が、保険料の負担が少ない分だけ、手取りが増えるケースもあります。

しかし、万一の場合の補償や将来のことを考えると、Aの方が安心といえるでしょう。

 

2018.10.12.解決社労士