年次有給休暇についての通達(働き方改革)

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働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第3 年次有給休暇(新労基法第39条及び新労基則第24条の5等関係)

1 趣旨

 年次有給休暇の取得率が低迷しており、いわゆる正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、また、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者の比率が高い実態にあることを踏まえ、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進む仕組みを導入することとしたものであること。

 

2 年5日以上の年次有給休暇の確実な取得(新労基法第 39 条第7項及び第 8項並びに新労基則第 24 条の5関係)  

 

⑴ 使用者による時季指定(新労基法第39条第7項及び第8項関係)

 使用者は、労働基準法第39条第1項から第3項までの規定により使用者が与えなければならない年次有給休暇(以下「年次有給休暇」という。)の日数が10労働日以上である労働者に係る年次有給休暇の日数のうち、5日については、基準日(継続勤務した期間を同条第2項に規定する6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期 間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下同じ。)から1年以 内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならないものであること。

 この場合の使用者による時季指定の方法としては、例えば、年度当初に労働者の意見を聴いた上で年次有給休暇取得計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与すること等が考えられるものであること。

 ただし、労働基準法第39条第5項又は第6項の規定により年次有給休暇を与えた場合においては、当該与えた年次有給休暇の日数(当該日数 が5日を超える場合には、5日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しないこと。すなわち、労働者が自ら時季指定して5日以上の年次有給休暇を取得した場合や、労働基準法第39条第6項に基づく計画的付与により5日以上の年次有給休暇を取得した場合には、使用者による時季指定は不要であること。 

 

 ⑵ 年次有給休暇を基準日より前の日から与える場合の取扱い(新労基則 第24条の5関係)

 

ア 10労働日以上の年次有給休暇を前倒しで付与する場合の取扱い(新労基則第24条の5第1項関係) 使用者は、年次有給休暇を当該年次有給休暇に係る基準日より前の日から10労働日以上与えることとしたときは、当該年次有給休暇の日数のうち5日については、基準日より前の日であって、10 労働日以上の年次有給休暇を与えることとした日(以下「第一基準日」という。) から1年以内の期間に、その時季を定めることにより与えなければならないものであること。  

 

イ 付与期間に重複が生じる場合の特例(新労基則第24条の5第2項関係)

上記アにかかわらず、使用者が10労働日以上の年次有給休暇を基準日又は第一基準日に与えることとし、かつ、当該基準日又は第一基準日から1年以内の特定の日(以下「第二基準日」という。)に新たに10 労働日以上の年次有給休暇を与えることとしたときは、履行期間(基準日又は第一基準日を始期として、第二基準日から1年を経過する日を終期とする期間をいう。)の月数を12で除した数に5を乗じた日数について、当該履行期間中に、その時季を定めることにより与えること ができること。

 

 ウ 第一基準日から1年以内の期間又は履行期間が経過した場合の取扱い(新労基則第24条の5第3項関係)

第一基準日から1年以内の期間又は履行期間が経過した場合においては、その経過した日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日を基準日とみなして新労基法第39条第7項本文の規定を適用するものであること。

 

エ 年次有給休暇の一部を基準日より前の日から与える場合の取扱い(新労基則第24条の5第4項関係)

使用者が年次有給休暇のうち10労働日未満の日数について基準日以前の日(以下「特定日」という。)に与えることとした場合において、特定日が複数あるときは、当該10労働日未満の日数が合わせて10労働日以上になる日までの間の特定日のうち最も遅い日を第一基準日とみなして新労基則第24条の5第1項から第3項までの規定を適用するものであること。この場合において、第一基準日とみなされた日より前に、労働基準法第39条第5項又は第6項の規定により与えた年次有給休暇の日数分については、時季を定めることにより与えることを要しないこと。

 

 ⑶ 半日単位の年次有給休暇の取扱い

年次有給休暇の半日単位による付与については、年次有給休暇の取得促進の観点から、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限りにおいて、問題がないものとして取り扱うこととしているが、この取扱いに変更はないものであること。 この現行の取扱いに沿って、半日単位の年次有給休暇を労働者が取得した場合については、新労基法第 39 条第8項の年次有給休暇を与えた場合として取り扱って差し支えないものであること。 また、新労基則第 24 条の6第1項の規定により労働者の意見を聴いた 際に半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、使用者が新労基法第 39 条第7項の年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことも差し支えないものであること。 これらの場合において、半日単位の年次有給休暇の日数は 0.5 日として 取り扱うものであること。

 

3 労働者からの意見聴取(新労基則第 24 条の6関係)

 使用者は、新労基法第 39 条第7項の規定により、労働者に年次有給休暇を時季を定めることにより与えるに当たっては、あらかじめ、当該年次有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならないものであること。 また、使用者は、年次有給休暇の時季を定めるに当たっては、できる限り 労働者の希望に沿った時季指定となるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければならないものであること。

 

4 年次有給休暇管理簿(新労基則第24条の7及び第55条の2関係)  

 使用者は、新労基法第 39 条第5項から第7項までの規定により年次有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(以下「年次有給休暇管理簿」と いう。)を作成し、当該年次有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後 3年間保存しなければならないこと。

 また、年次有給休暇管理簿については、労働者名簿又は賃金台帳とあわせて調製することができるものであること。  

 なお、年次有給休暇管理簿については、労働基準法第 109 条に規定する重要な書類には該当しないものであること。

 

5 罰則(新労基法第 120 条関係)

 新労基法第 39 条第7項に違反した使用者に対しては、新労基法第 120 条第1号の罰則の適用があること。

 

6 施行期日(整備法附則第1条関係)  

 年次有給休暇に係る改正規定の施行期日は、平成 31 年4月1日である こと。

 

7 経過措置(整備法附則第4条関係)  

 整備法の施行の際4月1日以外の日が基準日(年次有給休暇を当該年次有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとした場合はその日)である労働者に係る年次有給休暇については、整備法の施行の日後の最初の基準日の前日までの間は、新労基法第 39 条第7項の規定にかかわらず、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法第 39 条が適用されるものであること。

 

 

<時季指定義務>

年次有給休暇を取得するにあたって、労働者は時季を指定できます。この権利が時季指定権です。「○月○日に」と指定するわけですから、言葉としては「取得日指定権」でしょう。しかし欧米では、長期連休を取る習慣がありますから、労働基準法では、これに倣って「時季」という言葉が使われています。

さて、平成31(2019)年4月1日からは、労働基準法の規定により、年次有給休暇が10日以上付与される労働者については、実際に5日以上取得させる義務が使用者に課されます。年間で4日以下の労働者がいると、1人につき30万円の罰金が科されうるようになります。この5日間については、使用者側が時季指定義務を負うという形になります。

労働者が自主的に年次有給休暇を取得しないのなら、使用者はこれを放置しておいても良かったのが、法改正によって、労働者の意見を聞きながら積極的に年次有給休暇を取得させる義務が生じたわけです。

 

<中小企業では>

上記の通達の中の2(2)と(3)は、労働基準法の規定を超えて労働者の権利を拡大する場合の話ですから、中小企業ではあまり参考になりません。

むしろ、今まで年次有給休暇の取得に目が行かなかった会社では、4に示されている「年次有給休暇管理簿」は必須だと思われます。これが無ければ、うっかり年次有給休暇の取得が1日足りない労働者が出てしまうかもしれません。

 

<法改正への対応のためにやるべきこと>

業務を減らすしかありません。社内で知恵を絞り、取引先とも相談して、あるいは外部の専門家の力を借りて徹底的に行いましょう。

これができないと、人員を増やして対応せざるを得ませんが、どうしても人件費が増えてしまいます。

過去の習慣にとらわれず、思い切った改革が必要になると思われます。

 

2018.10.06.解決社労士