時間外労働の上限規制についての通達(働き方改革)

LINEで送る

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第2 時間外労働の上限規制(新労基法第36条及び第139条から第142条まで、新労基則第16条等並びに指針関係)

1 趣旨 長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっている。これに対し、長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつく。

 こうしたことから、時間外労働の上限について、現行の労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成 10 年労働省告示第 154 号。以下「限度基準告示」という。)に基づく指導ではなく、これまで上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を法律に規定し、これを罰則により担保するものであること。

 

2 新労基法第 36 条第1項の協定の届出(新労基法第 36 条第1項並びに新労基則第 16 条及び第 70 条関係)

 新労基法第 36 条第1項の協定(以下「時間外・休日労働協定」という。)の届出様式を改めたものであること。具体的には、時間外・休日労働協定に特別条項(新労基法第 36 条第5項に規定する事項に関する定めをいう。以下同じ。)を設けない場合にあっては新労基則様式第9号により、特別条項を設ける場合にあっては新労基則様式第9号の2により、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないものであること。

 併せて、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に対応した様式(新労基 則様式第9号の3)、新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条 第4項又は第 142 条の規定により読み替えて適用する新労基法第 36 条の規定に対応した様式(新労基則様式第9号の4から第9号の7まで)を整備したものであること。

 

3 時間外・休日労働協定における協定事項(新労基法第 36 条第2項及び新労基則第 17 条第1項関係)

 時間外・休日労働協定において、以下の⑴から⑸までの事項を定めることとしたものであること。

 ⑴ 新労基法第 36 条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲(新労基法第 36 条第2項第1 号関係)時間外・休日労働協定の対象となる「業務の種類」及び「労働者数」を協定するものであること。

⑵ 対象期間(新労基法第 36 条第2項第2号関係) 時間外・休日労働協定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、時間外・休日労働協定において、1年間の上限を適用する期間を協定するものであること。

 なお、事業が完了し、又は業務が終了するまでの期間が1年未満である場合においても、時間外・休日労働協定の対象期間は1年間とする必要があること。

⑶ 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合(新労基法 第 36 条第2項第3号関係)時間外労働又は休日労働をさせる必要のある具体的事由について協定するものであること。

⑷ 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数(新労基法第 36 条第2項第4号関係)整備法による改正前の労働基準法における時間外・休日労働協定は、労働基準法施行規則第 16 条第1項において「1日」及び「1日を超える一定の期間」についての延長時間が必要的協定事項とされているが、今般、新労基法第 36 条第4項において、1箇月について 45 時間及び1年につい て 360 時間(対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により 労働させる場合は1箇月について 42 時間及び1年について 320 時間)の 原則的上限が法定された趣旨を踏まえ、整備法の施行後の時間外・休日労働協定においては「一日」、「一箇月」及び「一年」のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数について定めるものとしたものであること。

⑸ 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項(新労基法第 36 条第2項第5号及び新 労基則第 17 条第1項関係) ア 時間外・休日労働協定の有効期間の定め(新労基則第 17 条第1項第 1号関係) 

 時間外・休日労働協定(労働協約による場合を除く。)において、当該時間外・休日労働協定の有効期間を定めるものであること。

イ 新労基法第 36 条第2項第4号の規定に基づき定める1年について労働時間を延長して労働させることができる時間の起算日(新労基則第 17 条第1項第2号関係)

 時間外・休日労働協定において定めた新労基法第 36 条第2項第4号 の1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を適用する期間の起算日を明確にするものであること。

ウ 新労基法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件を満たすこと。(新労基則第 17 条第1項第3号関係)

 時間外・休日労働協定で定めるところにより時間外・休日労働を行わせる場合であっても、新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号に規定する時間を超えて労働させることはできないものであり、時間外・休日労働協定においても、この規定を遵守することを協定するものであること。

 これを受け、新労基則様式第9号及び第9号の2にチェックボックスを設け、当該チェックボックスにチェックがない場合には、当該時間外・ 休日労働協定は法定要件を欠くものとして無効となるものであること。

エ 限度時間を超えて労働させることができる場合(新労基則第 17 条第 1項第4号関係)

 時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合において、限度時間 (新労基法第 36 条第3項の限度時間をいう。以下同じ。)を超えて労働させることができる具体的事由について協定するものであること。

オ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(新労基則第 17 条第1項第5号関係)

 過重労働による健康障害の防止を図る観点から、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合においては、限度時間を超えて労働させる労 働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(以下「健康福祉確保 措置」という。)を協定することとしたものであること。なお、健康福祉 確保措置として講ずることが望ましい措置の内容については、指針第8 条に規定していること。

カ 限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率(新労基則第 17 条第1項 第6号関係)

時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合においては、限度時間 を超える時間外労働に係る割増賃金率を1箇月及び1年のそれぞれについて定めなければならないものであること。

 なお、限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率については、労働基準法第 89 条第2号の「賃金の決定、計算及び支払の方法」として就 業規則に記載する必要があること。

キ 限度時間を超えて労働させる場合における手続(新労基則第 17 条第 1項第7号関係)

 限度基準告示第3条第1項に規定する手続と同様のものであり、時間外・休日労働協定の締結当事者間の手続として、時間外・休日労働協定を締結する使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)が合意した協議、通告その他の手続(以下「所定の手続」という。)を定めなければならないものであること。

 また、「手続」は、1箇月ごとに限度時間を超えて労働させることができる具体的事由が生じたときに必ず行わなければならず、所定の手続を経ることなく、限度時間を超えて労働時間を延長した場合は、法違反となるものであること。

 なお、所定の手続がとられ、限度時間を超えて労働時間を延長する際には、その旨を届け出る必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要が あること。

 

4 健康福祉確保措置の実施状況に関する記録の保存(新労基則第 17 条第2 項関係)

 使用者は、健康福祉確保措置の実施状況に関する記録を当該時間外・休日労働協定の有効期間中及び当該有効期間の満了後3年間保存しなければならないものであること。

 

5 限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項関係)

 時間外・休日労働協定において新労基法第 36 条第2項第4号の労働時間を延長して労働させる時間を定めるに当たっては、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限るものとしたこと。 また、限度時間は、1箇月について45 時間及び1年について 360 時間( 対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は、1箇月について 42 時間及び1年について320時間)であること。

 

6 特別条項を設ける場合の延長時間等(新労基法第 36 条第5項関係)

 時間外・休日労働協定においては、上記3に掲げる事項のほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を定めることができることとしたものであること。

 この場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間については、上記3⑷に関して協定した時間を含め 100 時間未満の範囲内としなければならず、1年について労働時間を延長して労働させることができる時間については、上記3⑷に関して協定した時間を含め 720 時間を超えない範囲内としなければならないも のであること。

 さらに、対象期間において労働時間を延長して労働させることができる時間が1箇月について 45 時間(対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は 42 時間)を超えることができる月数を1年について6箇月以内の範囲で定めなければならないものであること。

 

7 時間外・休日労働協定で定めるところにより労働させる場合の実労働時間数の上限(新労基法第 36 条第6項及び新労基則第 18 条関係)

 使用者は、時間外・休日労働協定で定めるところにより時間外・休日労働を行わせる場合であっても、以下の⑴から⑶までの要件を満たすものとしなければならないこと。また、以下の⑵及び⑶の要件を満たしている場合であっても、連続する月の月末・月初に集中して時間外労働を行わせるなど、短期間に長時間の時間外労働を行わせることは望ましくないものであること。

 なお、労働者が、自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、その使用者が当該労働者の他社での労働時間も適正に把握する責務を有しており、以下の⑴から⑶までの要件については、労働基準法第 38 条に基づき通算した労働時間により判断する必要があること。その際、労働基準法における労働時間等の規定の適用等については、平成 30 年1月 31 日付け基発 0131 第2号「「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の周知等について」の別添1「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考とすること。

 ⑴ 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、 1日における時間外労働時間数が2時間を超えないこと。(新労基法第 36 条第6項第1号及び新労基則第 18 条関係)

 整備法による改正前の労働基準法第 36 条第1項ただし書と同様の内容であること。

 ⑵ 1箇月における時間外・休日労働時間数が 100 時間未満であること。(新 労基法第 36 条第6項第2号関係)

 1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働さ せた時間の合計時間が 100 時間未満であることを規定したものであること。

 ⑶ 対象期間の初日から1箇月ごとに区分した各期間の直前の1箇月、2 箇月、3箇月、4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間における 時間外・休日労働時間数が1箇月当たりの平均で80時間を超えないこと。(新労基法第 36 条第6項第3号関係)

 時間外・休日労働協定の対象期間におけるいずれの2箇月間ないし6 箇月間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1箇月当たりの平均時間が 80 時間を超えないことを規定したものであること。

 

8 厚生労働大臣が定める指針(新労基法第 36 条第7項から第 10 項まで関係)

 厚生労働大臣は、時間外・休日労働協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができるものとし、今般、指針を定めたものであること。 労使当事者は、当該時間外・休日労働協定の内容が指針に適合したものとなるようにしなければならないものであること。 また、行政官庁は、指針に関し、労使当事者に必要な助言及び指導を行うことができるものとし、当該助言及び指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならないものであること。 指針の内容等については、下記 11 のとおりであること。

 

9 適用除外(新労基法第 36 条第 11 項関係)

 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務の特殊性が存在する。このため、限度時間(新労基法第 36 条 第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件 (新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及 び第3号)についての規定は、当該業務については適用しないものであるこ と。 なお、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務とは、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいうものであること。

 

10 適用猶予(新労基法第 139 条から第 142 条まで並びに新労基則第 69 条 及び第 71 条関係)

 以下の⑴から⑷までに掲げる事業又は業務については、その性格から直ちに時間外労働の上限規制を適用することになじまないため、猶予措置を設けたものであること。

 ⑴ 工作物の建設等の事業(新労基法第 139 条及び新労基則第 69 条第1項 関係) 工作物の建設その他これに関連する事業として厚生労働省令で定める事業(以下「工作物の建設等の事業」という。)については、平成 36 年3 月 31 日までの間、新労基法第 36 条第3項から第5項まで及び第6項(第 2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年 4月1日以降、当分の間、災害時における復旧及び復興の事業に限り、新労基法第 36 条第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととしたものであること。

 ア 猶予対象となる事業の範囲(新労基則第 69 条第1項関係) 新労基法第 139 条により時間外労働の上限規制の適用が猶予される 工作物の建設等の事業の範囲は、新労基則第 69 条第1項各号に掲げる事業をいうものであること。

 新労基則第 69 条第1項第2号に規定する事業とは、建設業に属する事業の本店、支店等であって、労働基準法別表第1第3号に該当しないものをいうものであること。

 また、新労基則第 69 条第1項第3号に規定する事業については、当該事業において交通誘導警備の業務を行う労働者に限るものであること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 139 条第2項及び新労基則第 71 条関係) 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用されないものであること。

 ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 139条第1項関係)     

平成 36 年4月1日以降は、災害時における復旧及び復興の事業を除 き、工作物の建設等の事業に対して新労基法第 36 条の規定が全面的に 適用されるものであること。      災害時における復旧及び復興の事業については、平成 36 年4月1日 以降も、当分の間、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及 び第3号)についての規定は適用されず、特別条項において定める1箇 月の時間外・休日労働時間数は、労使当事者間において、事業場の実情に応じた時間数を協定するものであること。

 ⑵ 自動車の運転の業務(新労基法第 140 条及び新労基則第 69 条第2項関係)

 自動車の運転の業務については、平成 36 年3月 31 日までの間、新労基法第 36 条第3項から第5項まで及び第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年4月1日以降、当分の間、時間外労働の上限規制として1年について 960時間以内の規制を適用することとしたものであること。

 ア 猶予対象となる業務の範囲(新労基則第 69 条第2項関係)

 新労基法第 140 条により時間外労働の上限規制の適用が猶予される 自動車の運転の業務の範囲は、新労基則第 69 条第2項に規定する業務をいうものであり、自動者運転者の労働時間等の改善のための基準(平 成元年労働省告示第7号)の対象となる自動車運転者の業務と同義であること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 140 条第2項及び新労基則第 71 条関係)

 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時 間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用されないものであること。 

  ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 140 条第1項関係)

 平成 36 年4月1日以降は、当分の間、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法 第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されず、特別条項において定める時間外・休日労働時間数は、労使当事者間において、1箇月については事業場の実情に応じた時間数を、1年については 960 時間を超えない範囲内の時間数をそれぞれ協定するものであること。

 ⑶ 医業に従事する医師(新労基法第 141 条関係)

 医業に従事する医師については、時間外労働の上限規制を適用するに当たって、医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 19 条第1項に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要であることから、平成 36 年4月 1日から時間外労働の上限規制を適用することとし、具体的な規制の在り方等については、現在、医療界の参加の下で有識者による検討を行っているものであること。

 ア 猶予対象となる医師の範囲(新労基法第 141 条第1項関係)

 新労基法第 141 条第1項に規定する医師の範囲については、有識者による検討結果等を踏まえながら、今後厚生労働省令で定めることとしているものであること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 141 条第4項及び新労基則第 71 条関係)    

 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算 して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものである こと。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用 れないものであること。

 ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 141 条第1項から第3項まで関係)

 平成 36 年4月1日以降は、当分の間、労働時間を延長して労働させ ることができる時間を協定するに当たっては、新労基法第 36 条第2項 第2号の対象期間における時間数を協定するものであり、1日、1箇月 及び1年の区分は設けないものであること。また、新労基法第 36 条第2項第3号に基づき協定する時間外労働の原則的上限については、別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 また、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の協定事項や時 間外・休日労働時間数の上限については、新労基法第 36 条第5項によらず、別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 さらに、時間外・休日労働協定で定めるところにより労働させる場合の実労働時間数の上限については、新労基法第 36 条第6項によらず、 別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 ⑷ 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業(新労基法第 142 条及び新労基則第 71 条関係)

 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業については、平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労 働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過 する日)までの間、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の1箇月についての上限(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用され ないものであること。 平成 36 年4月1日以降は、新労基法第 36 条の規定が全面的に適用されるものであること。

 

11 労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の 労働について留意すべき事項等に関する指針関係

 ⑴ 目的(指針第1条関係)  

 指針は、時間外・休日労働協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項を定めることにより、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとすることを目的とするものであること。

 ⑵ 労使当事者の責務(指針第2条関係)

時間外・休日労働協定による労働時間の延長及び休日の労働は必要最小限にとどめられるべきであり、また、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることから、労使当事者は、これらに十分 留意した上で時間外・休日労働協定をするように努めなければならないものであること。 

 ⑶ 使用者の責務(指針第3条関係)

 使用者は、時間外・休日労働協定において定めた範囲内で時間外・休日労働を行わせた場合であっても、労働契約法(平成 19 年法律第 128 号) 第5条の規定に基づく安全配慮義務を負うことに留意しなければならないものであること。   

 また、使用者は、平成 13 年 12 月 12 日付け基発第 1063 号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」において、①1週間当たり 40 時間を超えて労働した時間が1箇月に おいておおむね 45 時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まると評価できるとされていること、②発症前1箇月間におおむね 100 時間又は発症前2箇月間から6箇月間までにおい て1箇月当たりおおむね 80 時間を超える場合には業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと評価できるとされていることに留意しなければならないものであること。

 ⑷ 業務区分の細分化(指針第4条関係)

労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し、又は 休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、 業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならないものであること。   

 これは、業務の区分を細分化することにより当該業務の種類ごとの時 間外労働時間をきめ細かに協定するものとしたものであり、労使当事者は、時間外・休日労働協定の締結に当たり各事業場における業務の実態に即し、業務の種類を具体的に区分しなければならないものであること。 

 ⑸ 限度時間を超えて延長時間を定めるに当たっての留意事項(指針第5 条関係)     労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働させることができる場合を定めるに当たっては、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など恒 常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められないことに留意しなければならないものであること。   

 また、労使当事者は、特別条項において1箇月の時間外・休日労働時間 数及び1年の時間外労働時間数を協定するに当たっては、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることに十分留意し、当該時間を限度時間にできる限り近づけるように努めなければならない ものであること。   

 さらに、労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働時間を延長して労働させることができる時間に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(平成 6年政令第5号)で定める率(2割5分)を超える率とするように努めなければならないものであること。 

 ⑹ 1箇月に満たない期間において労働する労働者についての延長時間の 目安(指針第6条関係)   

 労使当事者は、期間の定めのある労働契約で労働する労働者その他の1箇月に満たない期間において労働する労働者について、時間外・休日労働協定において労働時間を延長して労働させることができる時間を定めるに当たっては、指針別表の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる目安時間を超えないものとするように努めなければならないものであること。

 

別表(第6条関係)

期  間

目 安 時 間

1週間

15 時間

2週間

27 時間

4週間

43 時間

備考 期間が次のいずれかに該当する場合は、目安時間は、当該期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げる。)とする。 一 1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間 15 時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間

 二 1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間 27 時間に当該日数を14 で除して得た数を乗じて得た時間

 三 2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間 43 時間に当該日数を28 で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が 27 時間を下回るときは、27 時間)

 

 ⑺ 休日の労働を定めるに当たっての留意事項(指針第7条関係)

 労使当事者は、時間外・休日労働協定において休日の労働を定めるに当たっては労働させることができる休日の日数をできる限り少なくし、及び休日に労働させる時間をできる限り短くするように努めなければならないものであること。 

 ⑻ 健康福祉確保措置(指針第8条関係)

 労使当事者は、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合において、健康福祉確保措置を協定するに当たっては、次に掲げるもののうちから協定することが望ましいことに留意しなければならないものであること。

 ① 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。

 ② 労働基準法第 37 条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。  

 ③ 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。 

 ④ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。  

 ⑤ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。  

 ⑥ 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。 

 ⑦ 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。  

 ⑧ 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。  

 ⑨ 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。 

 ⑼ 適用除外等(指針第9条及び指針附則関係)

 ア 新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務(指針第9条関係)

 新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務については、指針第5条、第 6条及び第8条の規定は適用しないものであること。

 また、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に係る時間外・休日労働協定をする労使当事者は、延長時間を定めるに当たっては、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しなければならないものであること。

 さらに、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に係る時間外・休日労働協定をする労使当事者は、限度時間に相当する時間を超えて労働時間を延長して労働させることができることとする場合においては、当該時間外・休日労働協定において当該時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置を定めるように努めなければならず、当該措置については、指針第8条各号に掲げるもののうちから定めることが望ましいことに留意しなければならないものであること。  

 イ 新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条第4項又は第 142 条の規定の適用を受ける時間外・休日労働協定(指針附則第3項関係)

  新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条第4項又は第 142 条の規定の適用を受ける時間外・休日労働協定についても、平成 36 年3月 31 日までの間、必要な読替えを行った上で、指針第9条第1項 及び第2項を適用するものであること。  

 ウ 限度基準告示の取扱い(指針附則第2項関係)

 限度基準告示は、廃止するものであること。

 

12 罰則(新労基法第 119 条関係)

 新労基法第 36 条第6項に違反した使用者に対しては、新労基法第 119 条 第1号の罰則の適用があること。

 

13 施行期日等(整備法附則第1条及び指針附則第1項関係) 時間外労働の上限規制に係る改正規定の施行期日及び指針の適用日は、平成 31 年4月1日であること。

 

 14 経過措置(整備法附則第2条及び第3条関係)

 ⑴ 時間外・休日労働協定に関する経過措置(整備法附則第2条関係)

  新労基法第 36 条の規定(新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、 第 141 条第4項及び第 142 条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)は、平成 31 年4月1日以後の期間のみを定めている時間外・休日労 働協定について適用するものであること。 平成 31 年3月 31 日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法 第 36 条、労働基準法施行規則及び限度基準告示等が適用されるものであ ること。 

 ⑵ 中小事業主に関する経過措置(整備法附則第3条関係)

 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が 300 人(小売業を主たる事業とする事業主について は50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100 人)以下である事業主をいう。以下同じ。)の事業に係る時間外・休日労 働協定(新労基法第 139 条第2項に規定する事業、第 140 条第2項に規定する業務、第 141 条第4項に規定する者及び第 142 条に規定する事業 に係るものを除く。)については、平成 32 年4月1日から新労基法第 36 条の規定を適用するものであること。

 平成 32 年3月 31 日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法 第 36 条、労働基準法施行規則及び限度基準告示等が適用されるものであること。   

 また、平成 32 年3月 31 日を含む期間を定める時間外・休日労働協定をする労使当事者は、当該協定をするに当たり、新労基法第 36 条第1項 から第5項までの規定により当該協定に定める労働時間を延長させ、又 は休日において労働させることができる時間数を勘案して協定をするように努めなければならないものとし、政府は、必要な情報の提供、助言その他の支援を行うものとしたこと。

 さらに、行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し新労基法第 36 条第 9項の助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう配慮するものとしたこと。

 

ずいぶん長いですね。言いたいことのすべてを尽くしている感があります。

働き方改革関連法ということで注目を集めていますから、この機会にすべてを述べておきたいのでしょう。

特に、基準適用の先送りが行われた業種について、決して規制がかかるまで放置する意図ではないこと、一般の基準と業界や業種の実態とがあまりにもかけ離れているので、やむを得ず先送りしたことが丁寧に説明されています。

 

「労使が合意した場合であっても長時間労働は悪である」ということを忘れてはなりません。

家庭の事情から、過労に陥ることを覚悟のうえで長時間働いてより多くの収入を得ようとする人たちがいます。

しかし、健康を害したら、ましてや命を失ったら働けません。

本当は、適正な労働時間で十分な収入が得られることを望んでいるはずです。

今の仕事が好きだから、会社を気に入っているから、家族のために…こう思って働いている皆さんにどうやって報いることができるのか、これが社会全体の課題です。

 

2018.10.05.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。