フレックスタイム制についての通達(働き方改革)

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働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第1 フレックスタイム制(新労基法第 32 条の3及び第 32 条の3の2並びに 新労基則第 12 条の3関係)

1 趣旨 フレックスタイム制は、一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能とし、労働時間を短縮しようとする制度である。 整備法においては、子育てや介護、自己啓発など様々な生活上のニーズと仕事との調和を図りつつ、効率的な働き方を一層可能にするため、フレックスタイム制がより利用しやすい制度となるよう、清算期間の上限の延長等の見直しを行ったものであること。

なお、フレックスタイム制の運用に当たっては、使用者が各日の始業・終業時刻を画一的に特定することは認められないことに留意すること。

 

2 清算期間の上限の延長(新労基法第 32 条の3第1項関係)

 仕事と生活の調和を一層図りやすくするため、フレックスタイム制における清算期間の上限をこれまでの1箇月以内から3箇月以内に延長したものであること。  

 

3 清算期間が1箇月を超え3箇月以内である場合の過重労働防止(新労基法 第 32 条の3第2項関係) 

 清算期間を3箇月以内に延長することにより、清算期間内の働き方によっては、各月における労働時間の長短の幅が大きくなることが生じ得る。

 このため、対象労働者の過重労働を防止する観点から、清算期間が1箇月を超える場合には、当該清算期間を1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間を生じたときには、当該期間)ごとに当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間が 50 時間を超えないこととしたものであること。

 また、フレックスタイム制の場合にも、使用者には各日の労働時間の把握を行う責務があるが、清算期間が1箇月を超える場合には、対象労働者が自らの各月の時間外労働時間数を把握しにくくなることが懸念されるため、使用者は、対象労働者の各月の労働時間数の実績を対象労働者に通知等することが望ましいこと。

 なお、整備省令による改正後の労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)第 52 条の2第3項に基づき、休憩時間を除き 1 週間当たり 40 時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が 1 月当たり80時間を超えた労働者に対しては、当該超えた時間に関する情報を通知しなければならないことに留意する必要があること。

 加えて、清算期間が1箇月を超える場合であっても、1週平均 50 時間を超える労働時間について月 60 時間を超える時間外労働に対して5割以上の 率で計算した割増賃金の支払が必要であることや、法定の要件に該当した労働者について労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)に基づき医師による面接指導を実施しなければならないことは従前と同様であり、使用者には、長時間労働の抑制に努めることが求められるものであること。

 

4 完全週休2日制の場合の清算期間における労働時間の限度(新労基法第 32 条の3第3項関係)

 完全週休2日制の下で働く労働者(1週間の所定労働日数が5日の労働者)についてフレックスタイム制を適用する場合においては、曜日のめぐり次第で、1日8時間相当の労働でも清算期間における法定労働時間の総枠を超え得るという課題を解消するため、完全週休2日制の事業場において、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を清算期間における法定労働時間の総枠とすることができるようにしたものであること。

 この場合において、次の式で計算した時間数を1週間当たりの労働時間の限度とすることができるものであること。

 

(8×清算期間における所定労働日数)÷(清算期間における暦日数 ÷ 7)

 

5 労使協定の締結及び届出(新労基法第 32 条の3第4項及び新労基則第 12 条の3関係)  

フレックスタイム制の導入に当たっては、新労基法第 32 条の3第1項の規定に基づき、就業規則等の定め及び労使協定の締結を要するものであるが、今回の改正により、清算期間が1箇月を超えるものである場合においては、 労使協定に有効期間の定めをするとともに、新労基則様式第3号の3により、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならないものであること。

 

6 清算期間が1箇月を超える場合において、フレックスタイム制により労働させた期間が当該清算期間よりも短い労働者に係る賃金の取扱い(新労基法 第 32 条の3の2関係)  

清算期間が1箇月を超える場合において、フレックスタイム制により労働させた期間が当該清算期間よりも短い労働者については、当該労働させた期間を平均して1週間当たり40 時間を超えて労働させた時間について、労働基準法第 37 条の規定の例により、割増賃金を支払わなければならないもの であること。

 

7 法定時間外労働となる時間

 フレックスタイム制を採用した場合に法定時間外労働となるのは、以下の ⑴及び⑵に示す労働時間であること。なお、上記4の特例に留意すること。

  ⑴ 清算期間が1箇月以内の場合    従前のとおり、清算期間における実労働時間数のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定時間外労働となるものであること。具体的な計算方法は、次の式によること。

 

清算期間における実労働時間数 -(週の法定労働時間 × 清算期間における暦日数 ÷7)

 

 ⑵ 清算期間が1箇月を超え3箇月以内の場合

次のア及びイを合計した時間が法定時間外労働となるものであること。

ア 清算期間を1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間 を生じたときには、当該期間)における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間当たり 50 時間を超えて労働させた時間。具体的な計算方法は、次の式によること。

 

清算期間を1箇月ごとに区分した期間における実労働時間数 

-(50 × 清算期間を1箇月ごとに区分した期間における暦日数 ÷ 7)

 

  イ 清算期間における総労働時間のうち、当該清算期間の法定労働時間 の総枠を超えて労働させた時間(ただし、上記アで算定された時間外 労働時間を除く。)

 

8 罰則(新労基法第 120 条関係)

 新労基法第 32 条の3第4項に違反した使用者に対しては、新労基法第 120 条第1号の罰則の適用があること。

 

9 施行期日(整備法附則第1条関係)  

 フレックスタイム制に係る改正規定の施行期日は、平成 31 年4月1日 であること。

 

働き方改革関連法ということで注目を集めていますから、この機会に、従来のフレックスタイム制の注意点について再確認したという色合いが強いと思います。

清算期間を3か月にまで延長できるようにしたのは、労働時間を短縮しようとする制度の効果拡大を狙ってのものです。

 

次の点に注意していただきたいです。

・法定の手続きを踏まずに導入するのは違法であること。

・自己流の運用も、ほとんどの場合に違法となること。

・違法であれば、遡って賃金の計算をやり直し、差額の精算が必要となること。

・違法行為には罰則があること。

 

結果的に、残業手当が減額されたり、年次有給休暇を取得する必要性が低下したりということはあります。

しかし、これは結果論であって、フレックスタイム制というのは、あくまでも労働時間を短縮しようとする制度であることを忘れないようにしましょう。

 

2018.10.04.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。