社会保障を支える世代に関する意識調査

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<調査の目的>

平成30(2018)年9月14日、厚生労働省が「平成28(2016)年社会保障を支える世代に関する意識調査」について調査結果を取りまとめ公表しました。

急速な少子高齢化の進行、経済情勢や雇用基盤の変化、就業形態の多様化の進展など、社会保障制度を取り巻く環境が大きく変化しています。

これらの変化に対応して、充実と重点化・効率化を同時に図ることで、誰もが安心できる持続可能な社会保障制度を確立していくことが求められています。

この調査は、こうした状況を背景として、社会保障を支える世代の就業状況や子育て、親への支援の状況の実態を把握するとともに、理想の働き方や社会保障に係る負担のあり方などについての意識を調査し、今後の厚生労働行政施策の企画・立案のための基礎資料を得ることを目的としています。

 

【調査結果のポイント】

(1) 子育ての状況について

・子育てと仕事の両立について、男女ともに「仕事が忙しくて、十分な子育てができない」が最も多く、男性は53.9%、女性は25.5%。次いで、男性では「苦もなくできている」が33.5%、女性では「そもそも仕事をしていない」が24.0%だった。

 

(2) 親への支援の状況について

・親への手助けや見守りで負担に感じることについて、男女ともに「ストレスや精神的負担が大きい」が最も高く、男性は33.0%、女性では44.7%だった。

 

(3) 就業状況について

・一番理想とする働き方や労働条件については、年齢層が上がると「残業が少なく、定時どおりに帰宅しやすい環境」や「有給休暇が取得しやすい環境」が低下し、「退職金や企業年金が充実」が上昇する傾向にある。女性の若年層においては、「育児休業が取得しやすいなど、子育てと両立しやすい環境」が比較的高くなっている。

 

(4) 社会保障制度に対する意識について

・今後、充実させる必要があると考える社会保障の分野について、男女ともに「老後の所得保障(年金)」が最も高く、次いで「高齢者医療や介護」、「子ども・子育て支援」となっている。

・社会保障の給付と負担の考え方については、男女ともに「社会保障の給付水準を維持し、少子高齢化による負担増はやむを得ない」が最も高く、男性は25.4%、女性は23.7%だった。

 

<子育て中の社員への対応>

子育ての状況については、男女間の意識差が感じられます。

また男女ともに、「仕事が忙しくて、十分な子育てができない」が最多数であるにもかかわらず、2番目に多いのが男性では「苦もなくできている」、女性では「そもそも仕事をしていない」という結果です。

これは、家庭ごとに事情が大きく異なることを示しています。

会社が子育て中の社員への対応を考える場合に、「平均値」的なものにとらわれず、各家庭の事情に応じて、対象者が会社の対応を選べるようにすることが必要でしょう。

育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が、会社の取るべき対応を1つに絞り込まず、複数の中から選択できる形をとっているのも、こうした事情を踏まえてのことだと考えられます。

 

<親を支援する社員への対応>

親を支援する世代の社員には管理職が多いと思われます。

最近では、働き方改革と称して、部下の仕事を残業手当の付かない管理職にシフトさせる動きが見られます。

ここには、働き方改革に対する誤解があるようです。

たしかに、働き方改革の定義は必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

社員は人間ですから、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

特に親を支援している管理職には業務を集中させず、メンタルヘルス不調を来さないように、十分な管理が必要となるでしょう。

 

2018.09.25.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。