同一労働同一賃金ガイドライン案の趣旨と目的

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ガイドライン案の内容は↓こちらをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000190750.pdf

 

<示している内容>

このガイドライン案は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差がある場合に、次の2つを区別するための基準を示しています。

 

・不合理な待遇差

・不合理ではない待遇差

 

しかし、次の2つは示されていません。

 

・不合理な待遇差を含む就業規則の例(これは許されない)

・不合理ではない待遇差を含む就業規則の例(ここまでは許される)

 

なぜなら、1つの規定だけを見て、それが不合理な待遇差であるか否かは判断できないからです。

実際には、2組の規定の組合せを見て判断することになります。

 

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

<比較される2つのグループ>

このガイドライン案は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消することを目的としています。

単純に正社員とパート社員のような比較ではなく、2つのグループ間での比較になります。

 

正規雇用労働者 =「無期雇用」かつ「フルタイム」

雇用期間に区切りが無く定年まで働く予定であることと、1日8時間、週5日のようにフルタイムで働くこととの両方が条件となります。

「パートさん」「契約社員」と呼ばれていても、契約期間の定めが無くて、フルタイムで働いていれば、ここに言う正規雇用労働者です。

「正社員」と呼ばれていても、フルタイムで働いていない人は正規雇用労働者に含まれません。ただし、普段はフルタイムで、育児などの理由により一定の期間だけフルタイムで働かないという人は、正規雇用労働者に含まれます。

 

非正規雇用労働者 = 正規雇用労働者の条件を満たさない人

雇用期間に区切りのある有期雇用の人、フルタイムの人よりも短時間勤務の人、フルタイムの人よりも勤務日数が少ない人は、すべて正規雇用労働者の条件を満たしませんから非正規雇用労働者です。

「正社員」の中にも稀に有期雇用の人がいますが、この人は非正規雇用労働者に含まれます。

 

このガイドライン案が対象としているのは、正規雇用労働者のグループに含まれる人と、非正規雇用労働者のグループに含まれる人との比較です。

同じグループに含まれる正社員同士や、パートとアルバイトとの比較は対象外となります。

 

結局、就業規則の規定が、このガイドライン案によって不合理とされるか否かの判断のためには、次の2つの比較が必要となります。

 

正規雇用労働者についての次の2つの規定の組合せ

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

非正規雇用労働者についての次の2つの規定の組合せ

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

不合理だと判断されるのは、非正規雇用労働者の待遇または待遇の基準についての規定の内容です。

 

<比較される対象者の範囲>

このガイドライン案は、同一の企業・団体における不合理な待遇差の是正を目的としています。

世界的に見ると、労働組合が全企業にまたがって職種ごとに組織されてきた国が多いようです。こうした国々では、同一労働同一賃金も全企業にまたがって考えられています。

しかし、日本では企業ごとに労働組合が組織されてきた歴史があり、同じ仕事をしていても、企業によって待遇差が大きいという実態があります。

こうした実態を踏まえて、このガイドライン案は同一の企業・団体の内部での比較を考えています。

 

2018.09.17.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。