過労死等の労災補償状況(平成29(2017)年度)

LINEで送る

<概要>

「過労死等」は、過労死等防止対策推進法2条で、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。

平成30(2018)76日、厚生労働省は平成29(2017)年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ公表しました。

これは、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年1回取りまとめて公表しているものです。

今回は、過去4年分の裁量労働制対象者に関する決定件数などについても公表されています。

 

<ポイント>

労災というとケガを思い浮かべやすいのですが、今回の公表の対象となっているのは、過重労働による脳血管疾患、心臓疾患、精神障害やこれらが原因となった死亡です。

つまり、範囲は限定されているのですが、以下に引用するように多数に上っています。

なお、最後の裁量労働制の資料は、国会での働き方改革関連法案の審議の過程でクローズアップされたことから加えられたものと思われます。

 

1 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況

 

(1) 請求件数は840件で、前年度比15件の増となった。

(2) 支給決定件数は253件で前年度比7件の減となり、うち死亡件数は前年度比15件減の92件であった。

(3) 業種別(大分類)では、請求件数は「運輸業,郵便業」188件、「卸売業,小売業」115件、「建設業」112件の順で多く、支給決定件数は「運輸業,郵便業」99件、「卸売業,小売業」35件、「宿泊業,飲食サービス業」28件の順に多い。

業種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「運輸業,郵便業」のうち「道路貨物運送業」145件、85件が最多。

(4) 職種別(大分類)では、請求件数は「輸送・機械運転従事者」169件、「専門的・技術的職業従事者」と「販売従事者」98件の順で多く、支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」89件、「サービス職業従事者」36件、「販売従事者」29件の順に多い。

 職種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「輸送・機械運転従事者」のうち「自動車運転従事者」164件、89件が最多。

(5) 年齢別では、請求件数は「50~59歳」290件、「60歳以上」239件、「40~49歳」230件の順で多く、支給決定件数は「40~49歳」と「50~59歳」97件、「60歳以上」32件の順に多い。

(6) 時間外労働時間別(1か月または2~6か月における1か月平均)支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」42件が最も多い。また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」96件が最も多い。

 

2 精神障害に関する事案の労災補償状況

 

(1) 請求件数は1,732件で前年度比146件の増となり、うち未遂を含む自殺件数は前年度比23件増の221件であった。

(2) 支給決定件数は506件で前年度比8件の増となり、うち未遂を含む自殺の件数は前年度比14件増の98件であった。

(3) 業種別(大分類)では、請求件数は「医療,福祉」313件、「製造業」308件、「卸売業,小売業」232件の順に多く、支給決定件数は「製造業」87件、「医療,福祉」82件、「卸売業,小売業」65件の順に多い。

 業種別(中分類)では、請求件数は、業種別(大分類)の「医療,福祉」のうち「社会保険・社会福祉・介護事業」174件、支給決定件数は、業種別(大分類)の「運輸業,郵便業」のうち「道路貨物運送業」45件が最多。

(4) 職種別(大分類)では、請求件数は「専門的・技術的職業従事者」429件、「事務従事者」329件、「販売従事者」225件の順に多く、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」130件、「サービス職業従事者」70件、「事務従事者」66件の順に多い。

 職種別(中分類)では、請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「事務従事者」のうち「一般事務従事者」222件、48件が最多。

(5) 年齢別では、請求件数は「40~49歳」522件、「30~39歳」446件、「20~29歳」363件、支給決定件数は「40~49歳」158件、「30~39歳」131件、「20~29歳」114件の順に多い。

(6) 時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数は、「20時間未満」が75件で最も多く、「160時間以上」が49件であった。

(7) 出来事別の支給決定件数は、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」88件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」64件の順に多い。

 

3 裁量労働制対象者に関する労災補償状況

 

平成29年度の裁量労働制対象者に関する脳・心臓疾患の支給決定件数は4件で、すべて専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定であった。また、精神障害の支給決定件数は10件で、うち専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が8件、企画業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が2件であった。

 

2018.07.09.解決社労士