長時間労働への是正勧告(大東建託)

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<ニュース>

賃貸住宅建設の大東建託で、神奈川県内の支店が労使協定で定められた上限を超えて社員に時間外労働をさせたとして、6月上旬に労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かったそうです。

この是正勧告の前提となる監督(調査)の中で、過酷な労働実態や、残業時間の「過少申告」があったと複数の社員や元社員が証言しているそうです。

この元社員は、残業時間を実際より短く申告していたそうです。「残業を月70時間超つけると始末書を書かされ、残業時間も修正させられると上司から聞いた」からだそうです。

 

<残業の制限規定>

会社は従業員に、1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法32条〕

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法119条〕

ですから、基本的にこの制限を超える残業は「違法残業」ということになります。

 

<三六協定>

しかし会社は、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署に届け出た場合には、協定の定めに従って18時間を超え、また週40時間を超えて従業員に働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

 

<その手続き>

労働組合が無い場合には、その事業場ごとに労働者の過半数を代表する者を選出します。あくまでも労働者の代表ですから、会社からの指名ではなく従業員同志の話し合いを基本に民主的に選出します。

そして、労働時間の上限や休日出勤について、会社と代表とが書面で協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出ます。

協定書を届け出たときから協定が有効になりますので、手続きをしないで制限を超える残業があれば違法残業となります。

また、協定の期間は最長1年間ですから、毎年届け出が必要となります。

 

<協定書を届け出ても違法となる場合>

まず、協定に定めた残業の上限時間を超える残業が「違法残業」となります。

今回の大東建託の場合がこれに該当します。

つぎに、労働者の代表が民主的に選出されず、会社に指名されていた場合にも協定が無効ですから「違法残業」となります。

さらに、協定書の届け出前や期限が切れた後の残業も「違法残業」となります。

 

<問題の本質>

店長、支店長、営業所長は、より少ない人件費でより多くの営業利益を上げることがその使命です。

しかし、「三六協定を遵守したうえで」という前提が抜け落ちていることが多々あります。

社員研修でも、営業利益を上げるためのプラスの研修は盛んに行われ参加率も高いのに対して、足元をすくわれないためのマイナスの研修は少なめで参加率も低くなります。

今回のようにマスコミに報道されてしまうと、その支店だけではなく、全社的にダメージを受けてしまいます。

労働法遵守に向けられる努力が足りないと、全社的なダメージを受けることがあるのは、企業にとって恐ろしい事実です。

労働基準法や労働契約法など労働法については、アリの一穴となりうるのですから、対策を怠らないようにしましょう。

 

2018.07.07.解決社労士