高度プロフェッショナル制度に関する付帯決議

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<働き方改革関連法成立前の付帯決議>

平成30(2018)629日、働き方改革関連法案が参議院の本会議で自民・公明の両党と日本維新の会などの賛成多数により、可決・成立しました。

前日の厚生労働委員会では、働き方改革関連法案に対しての要望や監督指導の徹底などについての付帯決議が賛成多数で可決されました。

この付帯決議には、法案に反対した野党の国民民主党、立憲民主党も賛成に回りました。

与野党が激しく対立した高度プロフェッショナル制度(高プロ)に関するものは13項目で、制度の乱用を防ぐために野党側が求めた要望や対策が中心となっています。

 

<付帯決議の高度プロフェッショナル制度関連項目(一部抜粋)>

・導入する全事業場に労働基準監督署が臨検監督(立入り調査)を行い、適用の可否をきめ細かく確認する。

・省令で定める対象業務は、具体的かつ明確に限定列挙する。また、労使委員会による対象業務の決議を労働基準監督署が受け付ける際は、適用対象に該当するものであることを確認する。

・労使委員会の決議は、有効期間を定め、自動更新は認めないと省令で規定する。本人同意は短期の有期労働者は労働契約の更新ごと、無期労働者は1年ごとに更新するべきだと指針で規定する。

・3年をめどに適用対象者の健康管理時間の実態、労働者の意見、導入後の課題などについてとりまとめて国会に報告する。

・会社側が始業・終業時刻や深夜・休日労働など労働時間に関わる業務命令や指示をしてはいけないこと、働き方の裁量を奪うような成果や業務量を要求したり、期限や納期を設定したりしてはいけないことを省令で明確に規定する。

・本人が同意を撤回する手続きも明確に決議し、撤回を求めた労働者を不利益に取り扱ってはいけないと監督指導を徹底する。

 

<労働基準監督官の実態>

導入する全事業場に労働基準監督署が臨検監督(立入り調査)を行うことが決議されています。

実際に行うのは、労働基準監督官ということになります。

この決議によって、労働基準監督官の負担が増すことになるでしょう。

しかし労働基準監督官は、少し増員されてはいるものの人員が足りないそうです。

平成29(2017)年度は、労働基準監督官採用試験の合格者数が増えて478名となりました。合格率は13%弱です。(いずれも法文系と理工系との合計)

それでも予算がありますので、たとえば今年度の採用予定者数は280名だそうです。

これとは別に、ハローワークの求人情報を見ると、労働基準監督官の経験者などをパート労働者として雇っていることが分かります。

労働基準監督官不足で臨検監督(立入り調査)の実施が遅れ、その間に違法な制度運用が行われてしまうと、高度プロフェッショナル制度のもとで働く社員は不幸ですし、後になってから違法性を指摘された会社も不幸です。

 

<労働基準監督署の実態>

労働基準監督署では、労働基準監督官以外の人員が削減されていて、監督官が他の業務を手伝っている状態だそうです。

労使委員会による対象業務の決議などは、労働基準監督署が受付けるのですが、窓口業務を行っている方の多くがパート労働者ですから、監督官がフォローに入る機会が増えることでしょう。

こうなると、過重労働を取り締まる役目の労働基準監督官自身が、過重労働に陥ってしまうのではないか心配です。

 

2018.07.03.解決社労士