2021/08/24|803文字
<年次有給休暇の取得促進>
労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持を図るための年次有給休暇は、その取得率が50%前後の水準で推移しています。
こうした現状を踏まえ、有給休暇取得促進のため、1日単位にこだわらない取得が認められるようになっています。
<半日単位の取得>
労働者が希望し、会社が同意した場合であれば、半日単位で有給休暇を消化することが認められています。
ただし、「午前中で終わる用事のためなら、1日休まなくても半日有給でいいですね」と会社側から働きかけるような、1日単位での有給休暇の消化を阻害する行為は認められません。
<1時間単位の取得>
5日以内なら労使協定を交わすことによって、1時間単位の年次有給休暇取得も可能です。〔労働基準法第39条第4項〕
また、労使協定の定めによって、対象者の範囲を限定することもできます。
この場合には、異動などによって対象者から外れた場合の取り扱いについて、あらかじめ労使で取り決めておく必要があります。
<1時間単位なら不安も少ない>
年次有給休暇の取得を申し出るには、労働者の側に次のような不安があります。
・みんなに迷惑がかかるのではないか
・休み明けに忙しくなるのではないか
・職場が年次有給休暇を取得できる雰囲気ではない
・上司が嫌な顔をしそうだ
1時間単位で希望の時間だけ年次有給休暇を取得する場合には、こうした不安も軽減されるでしょう。
<解決社労士の視点から>
年次有給休暇を1時間単位で取得できるようにする/しないは、それぞれの会社の自由ですが、法的権利であると思い込んでいる労働者が多いのも事実です。
それほど労働者のニーズが高い一方で、この制度の導入は会社の負担が大きくありません。
働き方改革は、企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善だと考えられますから、1時間単位の年次有給休暇の導入は優先順位が高いといえるでしょう。